第3話

「チェッ、ボールじゃないや。フン、こんなもの・・・」

 ヨシオ君はがっかりして、それを捨てようとしました。でも、よく見ると何だか変です。確かにボールではありません。でも、ただの石っころでもないようです。それは野球のボールよりもちょっと小さくて、白っぽい色をしていました。石のようにかたくはなくて、なんといったらいいか、そう、ちょうどケシゴムくらいのかたさです。

「なんだい、これ。」

と、ヨシオ君は思いました。でも、いくら考えてもどうしてもわかりません。たまごのように見えないこともないのですが、こんなたまごなんて、見たことも聞いたこともありません。

 ヨシオ君は、ふと、これがすごく珍しいものかもしれないと思いました。そうしたら、急に捨てるのが惜しくなってきました。それで、家に持って帰って、大事にしまっておくことにしました。

「これは、僕の秘密の宝物なんだ。絶対、誰にも見せたりしないぞ。隣のなおちゃんにだって見せないんだから。」

 ヨシオ君はそう決心すると、そのたまを、そっとポケットに入れました。そして、急いで家に帰りました。

「ただいまあ。」

と、大声で言って玄関を開けると、すぐに

「どこへ行ってたの、もうご飯ですよ。」

と、お母さんの声がしました。

「原っぱで遊んでたんだ。すぐ行くから、ちょっと待ってね。」

 そう言うと、ヨシオ君は自分の部屋へ上がって行きました。ヨシオ君の部屋は二階にあります。三つ年上のお姉さんと一緒に使っているのです。ヨシオ君はいすに座ると、自分の机の上に、あのたまを置きました。そして、じっと見つめました。

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