異変

第1話 白鷺

 夏が終われば秋が来る。

 当たり前の事ではあるが、ささやかで、とても意味のある事だ。

 服の袖は長くなり、厚手の物を好むようになる。食事も冷たいものから熱いもの。

 陽の威光は過去のものに、月がその存在を大きく増す。

 燃えるように暑い夜は過ぎ去り、死を連想させるような凍える夜が待ち受ける。


 闇夜の静けさが、暗がりがヤツらを活発化させる。

 血に飢え、肉を求め、徘徊する悪鬼。

 今宵もそれは変わりがなかった。

 手頃な男、手頃な女。品定めをして、人気のない場所に誘い出し、食事をする。


 人の良さそうな優男だった。

 見た目から羽振りの良さそうな眼鏡をかけたサラリーマン。

 長身でグレーのブランドスーツ、左腕には金の時計。靴も一目で分かるブランドものを履く。

 甘いマスクと話術で女性をだまし、「何時もの」廃ビルへと連れだし今日もご馳走にありつく。

 今日の晩餐は女子高生だった。

 遅い時間まで街をたむろし、それとなく臭わせる金への欲求。

 簡単な釣りだった。

 金をちらつかせ、あとは食らいついたらこっちのもの。

 一ヵ月で何人の肉を食らったか、彼自身は覚えていなかった。

 綺麗に後片付けをし、スーツのポケットから取り出した白いハンカチで口元を拭う。

 白のハンカチはあっという間にその色を赤に染め上げる。


 意気揚々とサラリーマンはその場から去ろうとした時。

 後ろに誰かが立っていた。

 少女だった。ショートヘアの女の子。

 サラリーマンの好みとは真逆の、凹凸の少ない体躯。それをオレンジの長い袖のシャツが覆い、下は肌に密着する白のパンツスタイル。

 何処にでもいそうな幼い女の子。

 だが、その眼光は灯りのないビルの中でもギラギラと輝いているのが印象的だった。

 そして、手には刀を持って。


「こんなところで何をしているのかな?」


 サラリーマンは女の子に近づく。

 何の事情も知らない男は、女の子が迷い込んだと思っていた。

 不用意に、その手を伸ばした先に居るのは、死神とも知らず。

 キン、と一瞬何かが鳴る。

 ビルに反響する音の出所が分からず、男は首を横に振った。

 瞬間、首は一回転をした後、ゴトリ、と地に落ちた。

 あっという間の出来事。

 男の首と体はぐずぐずに崩れていき、その身は塵と化した。

 その光景を、少女は心無い目で見送った。

 見届け、手にした刀は役目を終えたのか、光となり、雲散霧消と化していく。


 ぱち、ぱち。まばらな音が少女の背後から聞こえる。

 振り返れば、入口で長身の女性が手を叩いていた。

 亜麻色の長髪で、サングラスをかけており、口元だけでもその容貌の高さがうかがえる。

 加えて、スタイルに自信があるのか、胸元が大きく開いた服を着て、その上から黒のジャケットを羽織る。下はデニムのジーンズで、グッと足が引き締まり、色香を放つ。

 少女はその女性を見るなり、怪訝な顔を見せる。


「お見事。流石は『九条一心抜刀術』の後継者やな」


 言葉では誉めつつも、その声色は何処か、からかいを感じる。


「何の用だ、詐欺師」


 それを少女が言うと、女性は口をとがらせる。


「まーた、その言い方。うちは詐欺師じゃなくて『白鷺しらさぎまい』っていっつも言ってるでしょうに」

「事実を言ったまでだ」


 白鷺は肩をすくめる。だが、何故か否定はしない。

 そして、何か思いついたのか、途端に気配が変わる。


「その、詐欺って言うのはやっぱり、この体の事かなぁ? まぁ、気持ちは分からなくないわね」


 ちらり、と白鷺の視線が少女の体に向く。少女も見られている事に気づくと、口がゆがみ、青筋が浮き上がる。白鷺は更に挑発するかのように、自分の豊かな胸やくびれのある腰に手を当てる。


「そういう問題じゃない!」

「分かってるわよ。でも、貴女の大きい所って言えば、態度と、何時も口に咥えているどら焼きぐらいよねぇ? ねぇ、九条ちゃん?」


 くすくす、と馬鹿にしたような笑い。九条の口がへの字に曲がる。


「キリ!」


 一言九条が告げると、その傍らに白い犬がどこからともなく現れる。


「冗談よ、冗談。怖いからさっさとしまってよ。うちの「猫」が怖がってるわ」


 白鷺の胸元がもぞもぞ動いたと思ったら、そこからスポッと顔をのぞかせる黒い猫。

 するり、と胸から飛び出し、白鷺の横に降り立つと、犬と視線をバチバチ交わす。

 しばしにらみ合いが続いたが、先に降りたのは九条だった。

 キリ、と一言告げると、その姿を消し去った。

 犬が消えたのを確認すると、猫は白鷺の体をよじ登り、そこが定位置であるかのように谷間に入っていく。


「で、本当は何の用だ白鷺」

「そうね。かなり脱線してしまったし、これから本来の事を語るんだけど……どうも、時間が来てしまったみたいね」

「時間?」


 九条はハッ、とした表情を浮かべると、ポケットから携帯を取り出し画面を見る。

 そこに記された時間は夜の九時だった。


「なるほど、もうそんな時間だったか」

「そういう事。だから、遠慮なくいかせてもらうわよ」

「良いだろう。こっちも手加減はしない」


 互いに真剣な眼差しで見つめ合う二人。

 片足をゆっくり後方に引き、その身体はやや前傾姿勢。

 そして高々と片方の手を両者共に突き上げる。

 ごくり、と喉を鳴らすと、開始の合図の如く、腹の虫がお互いから響いた。


「最初はぐー! ジャンケン、ポン!」



 ★★




 夜には、昼とは違った一面が存在する。

 昼とはまるで別の顔を見せる繁華街。昼にはない、独特の活気が街にあふれていた。

 その繁華街にある幾つもの料理屋の中に、年季の入った小さい焼き肉屋「徐々」がある。

 店内は壁に貼り付けられた直筆のメニューが張られ、芸能人のサインなどが飾られる。通路を挟んで、テーブル席が6席と狭いが、絶大な人気を誇る。

 高い肉の品質を保ち、気さくな店主と、気遣いの行き届いた店員たちの仕事。それらは地元の民に愛され、人気のある肉はタン塩、カルビ、ホルモン。

 店内は当然、今日も満員御礼で、肉の焼ける音と臭いが店内に充満し、あふれんばかりに肉汁と涎を流していた。


 その席の一つ。そこには先程までいがみ合っていた二人の姿があった。

 だが、その顔色は打って変わっていた。

 白鷺はご満悦な様子で、ジョッキの中にある麦酒をぐいぐいと飲み、九条は徹夜でもしたかのようにどんよりとした目つきで白鷺を睨んでいた。

 お互い対面で座り、挟んだテーブルの上には所狭しと並んだ肉の盛った皿。中央には熾火の炭が入っており、その上に網が敷かれて上等な肉が焼かれていた。


「あ~! 美味しいっ! 仕事の後は、やっぱりこれよね!」


 ジョッキに入った麦酒を一気に飲み干し、その余韻に浸る白鷺。


「仕事をしたのは、私なんだが?」

「また人の奢りってのが! か・く・べ・つ!」


 天にも昇りそうな夢心地の白鷺に対し、不快と不満で堪らないと正反対の九条。

 九条も自分の金なので、焼けた肉をポイポイ口に放り込んでいく。


「少しは遠慮してくれて構わないぞ? もうその身体に栄養は要らんだろ?」

「体型を維持するために、必要なのよ。あ、スミマセン! 生、もう一杯」


 そこらを歩いていた店員を呼び止め、空のジョッキを差し出す白鷺。

 一体これで何杯目だ? と少し不安になる九条。


「おい、食事も良いが、そろそろ本題に入れ。お前は私の財布を破壊しに来たのか?」

「や~ね~、もう本題? もうちょっと食事楽しみたーいな」

「お前が酔いつぶれたら意味がないだろ」


 既に白鷺の顔はやや赤みが差しており、サングラスの奥の目がとろん、としていた。本人も少し自覚があるのか、追加の麦酒は手を付けず、横に置いた。


「まぁ、色々あるけど、とりあえず世間話しようか」

「世間話など言ってる場合か?」

「ここ最近、どう思う九条ちゃん? 悪鬼について」

「と、言うと?」

「感じた事をありのまま。まさか気づいてない、ってことは無いでしょ?」

「……そうだな、最近、あまりにも数が多い」


 でしょ? と肯定する白鷺。

 日増しにそれは九条が感じていた事。

 一年で十数体の悪鬼を倒してきた九条。言うなれば、それぐらいしか悪鬼は出て来ず、頻繁に出てくるような生物ではない。にも、関わらず最近はそれをとっくに超え、秋になった今の時点で倍以上の数の悪鬼を葬る事になっている。

 流石に異常と言わざるを得ない。


「何か原因があるのか?」

「それを調べるのが私たちだ、って「クラウン」の本部は言ってるわよ。全く、役に立たないわー」

「まぁ、仕方ないだろ。本部とは名ばかりの連絡役なだけだ」

「なぁにが、クラウンよ。御大層な名前つけた割に、何もできない」


 隅にやっていた麦酒を手に、再び飲み始める白鷺。


「仕方あるまい。私たちのような悪鬼と戦える『異能者』は少ない。故に貴重な存在とされ、重宝される。おかげで命を賭しただけの金額を受け取っているだろ」

「慈善事業で悪鬼狩りは出来ないわよ。そうでしょ? 九条ちゃん?」


 赤い顔で九条に同意を求める白鷺。

 九条は口に含んだ肉を飲み込むと、刀の切っ先のように鋭い視線を白鷺に向ける。


「一緒にするな。例え、金を貰わずとも悪鬼は殺す。必ずな」


 ヒック、と一度しゃっくりを上げる白鷺。場に緊張が流れた後、白鷺はテーブルから身を乗り出し、九条の頭を引き寄せ、その豊かな胸に押し当てながら頭を撫でる。


「やーん! もう、九条ちゃん可愛い! いけず!」

「き、貴様酔ってるな! おい、離せ! これは私に対する当てつけか!」


 胸の中に沈む九条は気持ちよさの反面、怒りが頂点に達する寸前だった。

 無理やり白鷺の束縛を解くと、ギロリと睨む。

 白鷺はというと、愉快そうに笑う。


「九条ちゃん、まーだ追ってるの? あの青い目をした悪鬼」

「当然だ。それが私の始まりであり、終着点だ」


 昔の話。

 九条綾がまだ血で汚れていない時間の話。

 普通の中学生だった九条には親と兄がいた。家系で悪鬼を倒す一族というのは理解しており、九条にも才能があったが、兄の「恭弥(きょうや)」にも才能があり、長男と言う事もあって家系を継ぐことになっていた。

 だが、一日の出来事が全てを狂わせてしまう。

 その日は兄の恭弥が後継者となる日だった。代々伝わる式神『羽々斬』を父から受け継ぎ、悪鬼を葬る異能者として。

 学校から遅くに帰ってきた九条は、家の庭にある道場へと向かう。


 ”ただいま――”


 そこにあったのは、凄惨な光景。

 道場の入口の引き戸を開けると、すぐ近くに父と母が血溜まりに倒れており、その近くで立っている「何か」を目撃する。暗くて姿は分からなかったが、目に飛び込んできたのは海よりも深い蒼い瞳が九条を見ていたことだった。

 九条は恐怖でその場から動けなかったが、青い瞳のそれは道場の壁をぶち破り外へと出ていく。暫く放心状態の九条だったが、父がかろうじて息があった。

 そこで聞かされたのは悪鬼に襲われたという証言。そして、兄に受け継ぐはずだった「羽々斬」を九条に託した事。兄の姿は見当たらず、行方知れずとなった。

 その日から、青い瞳の悪鬼を探し続ける復讐が始まった。


「最近倒した悪鬼の中にはいなかったの?」

「いないな。どれもこれも雑種で、一人として『上位種』はいなかった」


 悪鬼の中にはランクがある。

 以前倒した杉山などは高い身体能力を有してはいるが、それだけの話。そういうものを「雑種」と呼び、一般人においてはとてつもない脅威となるが、九条達にとっては何の障害もならない。だが、その上に存在する「上位種」は別。

 上位種は各々が持つ特殊な力を保持しており、それらは癖が強く厄介な物ばかり。そうなると、九条達でも手を焼く。

 そして、父は異能者として現役であり、その腕は九条に引けを取らない。殺した存在は「上位種」であることは間違いないと確信していた。


「そういえば、増えたのも雑種よね」

「言われてみればそうだな。悪鬼については未だに謎が多い部分もある。どのように増えているのかよくわかっていないしな」

「もしかして、上位種の能力だったりして?」

「あながち、無くも無いな」

「あんまり私は考えたくないわねぇ……女王蜂を倒さないと終わらないなんて」

「女王(クイーン)か……まぁ、憶測で物を考えても仕方あるまい」


 目の前のコップに注がれた水を九条はぐい、と一気に飲み干す。今までの嫌な考えを全て飲み込むように。


「おい、そろそろ本題に移せ詐欺師。話が脱線してるぞ」

「あら、覚えてた?」

「当たり前だ。のらりくらり避けて何がしたい」

「あんまり言いたくないのよねぇ……きっと聞くと後悔するわよ?」

「どういう意味だ?」

「こういう意味でーす」


 何処からともなく白鷺は携帯を取り出し、画面を九条に見せる。

 そこには一人の金髪の少女が映し出されていた。

 背丈は九条よりも少し大きいが、それでも低い部類。金色の長髪に、青い瞳。まるで西洋の人形を思わせる風体。白いワンピースを着用し、手にはクマのぬいぐるみを持って笑っていた。


「誰だ? この子は?」

「名前はソフィア=ラングレンで、今は12歳の子ね。大人しい性格なんだけど、結構病弱で一ヵ月の半分はベッドで寝たきりな子らしいわよ」

「御託はいい。何故、この子の写真を私に見せる?」

「本部からぁ、この子を探して欲しいらしいのよ、私と一緒に」

「…………」


 理解できない。

 そう、言いたそうに九条は目頭を食指と親指でつまんで悩ませる。


「待て、ちょっと待て。色々言いたいことがあるが、まず何故私たちが探さなければならない」

「今、行方不明だから。どうも、誘拐されたって聞いてるわ」

「誘拐?」

「そそ。なんかお付きの一人が目を盗んでお嬢様を誘拐したって。それの捜索」

「そんなもの警察や、探偵にでも任せておけばいいだろう」

「でしょ! そう思うじゃない? でもなぜかお鉢が私たちに回ってきたのよね」


 やってられないわ! と白鷺は愚痴をこぼしながら麦酒を飲み干し、空になったので、追加注文をする。


「そしてもう一つ聞きたい事があったが、何故白鷺が一緒なんだ?」

「いいじゃない、私と九条ちゃん、うちらの仲だし」

「その依頼、実際はお前一人に頼まれたヤツじゃないのか?」

「ピンポーン、大正解。正解のご褒美として、私と一緒に迷子を捜す権利を授けまーす」

「必要ない。自分一人でやれ」

「お願いよ九条ちゃん! こんなの私もやりたくないんだけど、本部が買い物や酒のツケを払えって脅してきて仕方なく……!」

「それは自業自得という奴だ!」


 きゃんきゃん、犬のように吠える二人。そんなバカみたいなやり取りをしている二人の席に、ゆっくりと近づく影があった。


「あの、ちょっとよろしいですか?」


 落ち着いた声が、二人の間に割って入る。

 聞きなれぬ声に、吠えていた二人は声を抑えてその主を見た。

 それは黒一色に染まった男だった。

 黒いハットと肩まで伸びた白髪。銀縁の眼鏡をつけ、その奥には細い目つきが見える。

 黒の上下のスーツを着用し、胸元には赤いアスコットタイが目に付く。

 見た目は20から30ぐらいの若い男性に見えた。


「誰だ? 貴様」


 噛みつくように九条が言う。


「失礼、私こういう者でして……」


 スーツのポケットから名刺を取り出し、九条と白鷺に手渡してくる。

 その名刺には一文字探偵事務所という文字と「一文字 由良」と記してあった。


「いちもんじ……ゆら?」

「はい。私、この近くで探偵事務所を経営している、一文字由良と申します」

「その探偵さんが、うちらに何の用で?」

「実は、先程お二人がお話していた内容を耳にしてしまいまして……盗み聞きするつもりは無かったのですが」


 うっ、と気まずい様子の二人。

 流石にこんな何処ともしれない店の中で色々と話したのはまずかった、と今頃になって反省をする二人。しかし、時すでに遅し。


「それでその探偵が何の用だ?」

「はい、お二人の会話でソフィア=ラングレンさんのお名前が出たので、少しお聞きしたくて」

「生憎だが、私たちは探している最中だ。見つけては――」

「あ、いえ。実はその人の場所は既にこちらで把握しておりまして」


 何だって! と勢いよく立ち上がる二人。


「なんや、今日は良い事づくしやな!奢りに、迷子も見つかる。いう事ない」


 浮かれる白鷺に対し、九条は一文字から何かを感じ取っていた。


「何故知っている?」

「実は、親御さんから捜索を頼まれまして。ですから知っているわけですね」

「おかしいな」

「何? どうしたの九条ちゃん?」

「何か隠しているな? どうして私たちに声をかけた? 捜索中の娘が見つかったのなら、親御さんに報告すればいいだけの話であろう。何故だ?」


 直感だった。

 このあからさまに怪しい男は、自分達に興味本位で話しかけてきたわけではない。加えて、何か違う意図があって、自分達に接触してきたのだと悟る。

 その九条の直感は、当たっていた。


「そうですね……確かに、貴女のおっしゃる事はあながち外れではありません。ですが、ここでお話しするのは少々苦しいので、後日私の事務所でお話しませんか?」

「何をだ?」

「ソフィア=ラングレンさんについて。私はその方の所在を知っている。そして、その情報をあなた方に提供してもいい。断る理由もないでしょう? ついでに、お近づきの印としてここでの食事代は私が奢って差し上げます」

「随分と気前がいいな。だが、そんな事をしなくても別に結構だ。たかが夕飯の食事代ぐらいそんな大した額ではない」


 近くの店員を呼んで会計を頼む九条。

 店員は持っていた機器で、九条達の食べた食事代金をレシートとして発行する。

 それを手に取り、見た九条の顔から笑みが消える。


「ここはご厚意に甘えるとしよう。では後日、会わせてもらう」


 レシートを一文字に押し付けるように渡すと、そそくさと店を出る九条。ちょっと、まってよーと千鳥足でそれを追う白鷺。

 背中を見送りながら、一文字は不敵に笑う。


「はてさて、私の願いをかなえてくれる人物であることを願いますよ」


 九条から渡されたレシートを見る。

 すると、一文字は何度も瞬きを繰り返す。

 一つ一つ丁寧に、その額を数えていく。そして、店員を呼ぶ。


「すみません、これ、桁一つ多くないですか?」























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