あの国へ
『チョコレートはひとを救う。けれど、それと同時にひとを破壊するのよ。だからわたしは、こんな姿になってしまった。まるで、茹でるのに失敗したゆで卵のようだわ。ぶくぶくの、ぼこぼこ。なんて醜いのかしら』
『だから、わたしはありったけのチョコレートをトランクに詰めてあの国へ行くわ。そう、ゆで卵の国にね。かの国はチョコレートが一欠片もないと聞くから、どうかいつまでもわたしの誕生日にあの花とともに送って頂戴。ーーああでも、』
『あなたの誕生日にカタツムリと貝柱が送られてこなかったら、送ってくれなくていいわ。そのときは、わたしが死んだのだと思ってね』
『……それにしても、あなたの趣味って本当に変わっているわ。貝しか愛せないっていうのも難儀なものね』
『でもね、そんなところがわたしは愛おしいと、そう思うのよ』
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