あなたに贈る
いい?今日は母さんが一番大切なお話をしますからね。よく聞くのよ。
ーーうん。
ねこを信仰する者の危険さは、何度もあなたに言っていたし、あなたもそれは知っているわよね?
ーーうん。
だから、今日はねこを信仰する者の見分け方を教えます。…あなたが、殺されてしまわないように。
まず、ねこを信仰する者は、ねこの毛を全身につけているわ。ねこの臭いも、ぷんぷんする。
ーーそうなの?
ええ。そして、体のどこかに変な傷がたくさんついているわ。
ーーほかには?
それで、これが一番重要なのだけれどね。彼らはねこを見つけると溶けてしまうの!文字通りね!
ーーそんなことって、ありえるの?
ええ、あの者たちなら。現に、あなたの父さんも溶けたねこを信仰する者に見殺しにされ、ねこに嬲り殺されたのよ……!!
ーーうそだ!
本当の、本当のことなのよ。この世は、そういうことが起こりうるの。母さんがあなたに振りかかる爪をすべてはらえたら良かったのだけど、流石に母さんのこの身体ひとつでは難しいわ。だからね、わたしたちはあのひとの分まで逞しく生きなくちゃならない。誇り高きネズミの一族として。
ーーわかったよ、母さん。ぼく、立派なネズミになる。そして、いつの日かあの邪悪なるねこを信仰する者を皆殺しにしてやるんだ!!
っ、それでこそ、それでこそ母さんとあのひとの息子だわ。……さ、この話はもうおしまい。そろそろ寝る時間よ。おやすみ、愛しいわたしの子。
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