第3話

ステーションについた一行は燃料補給や消耗品の購入を行った

リトとシトリーたちは水や食料を、

るーちぇたちは日用品を、それぞれ買い物を済ませ集合場所の発出港で落ち合った

「その人、ここから近くまでは来てるみたいですぐに会えそうです」

「はぁ、またアイツに会うんですか〜」

先程からシトリーはあまり乗り気ではない様子でムスッとしている

「なにかあったの?」

るーちぇが立ち寄ったお店で購入した1口サイズのコロネをもぐもぐと食べながらシトリーにたずねる

「何かあったってよりは苦手なんです〜、なんていうかノリが…」

「そうなんだ」

「なんていうか、げるまんみたいな喋り方でもっとこう、"より"うざい感じです〜」

「ちょ、"より"ってなんや!オレもうっとおしいみたいに言うなや!」

るーちぇのコロネをひとつ貰いながらシトリーはげるまんを見てはなす

げるまんは足元でばたばたと抗議をしていて

「まぁそれ以外は商い上手なトレイダーって感じです〜」

「へぇ商人なんだ、星に詳しいからてっきり天文学者なのかと思ってた」

るーちぇはコロネをもう1つ咥えると、まだ余っているコロネをリトに差し出しながら話して

「彼…でいいのかな彼。その人旅商人でこの銀河の色んなところを回ってたんですだから色んな星に詳しくて」

ありがとうと受け取ったリトもコロネをもぐもぐと口に含み、とりあえず行きましょうと伝える


それぞれが船に乗り込み港を後にしステーションからも離れる。ある程度の距離を開けると予めリトに教えてもらった座標を打ち込み同時にリミナルドライブを発動する

点だった星々が線となり高速航行状態に入った

到着予定時刻は5分を指していた為その間の短時間でリト達は自分たちのことについて話してくれた。


リトとシトリーはここから遠く離れた惑星からやって来た旅人で、旅の目的は姉のシトリーが見たいという星へ向かっている途中らしい

こう見えてシトリーはメカニックのアビリティ持ちで小型船の砲手を担当している。

その為道中の海賊達からの被害も無くいままで順調に旅が進んでいたらしい。

リトはアビリティこそ持っていないノーバディだが運転手としての技量は良く小惑星の群れの中をすばやく泳げると、誇らしげに話した。


そんな他愛ない会話をしているうちに目的の座標へジャンプが完了した

到着したのはさっきよりも小さなステーションでいわゆる田舎のステーションと呼ばれている場所だ。

港も4隻までしか止められずそれも中型船がギリギリ停めれる程であった

既に1隻、少し派手なみるからに商人船と思われる船が停泊していて、その横にお互いの船を止めた。


「いなのはさん!」

港についたリトが広場のほうに目をやり名前を呼ぶ

「おーっ!リトにシトリーか!なはは、元気しおったかー!」

いなのはと呼ばれたヒトが反応すると持っていた扇を開き仰ぎながら挨拶をする


シトリー達と同じく獣人ではあるがウサギ族で派手な髪色をしており和服のような衣服を纏っている、目は糸目だが気さくな雰囲気が漂う

しかし外見上では男性なのか女性なのか分からない中性的な容姿、声色をしていた

「珍しいなぁ、リトから会いたいって連絡してくるなんてー、シトリー相変わらず眠そうな顔やなぁ」

「う、うるさいです〜!」

いなのはが笑いながら扇でシトリーを指し、その様子にシトリーはムッとしながら指された扇を払いのける

「紹介します、話してた商人のいなのはさん。

こっちはボクたちの命の恩人るーちぇさんとげるまんさん」

「よ、よろしくです」

お互いを紹介したリトを間にるーちぇがお辞儀をする、いなのはもソレをみてよろしくと挨拶をした

「おいあんた、オレの喋り方と一緒やな!」

「んおお、この話し方のやつワシ以外におったんか!」

げるまんがいなのはの喋り方について食いつく、

いなのはもげるまんの話し方に嬉しそうに反応をしお互い握手を交わした

「本題に入りましょう、るーちぇさんあの星を見てもらいましょう」

「そうだね、いなのはさん見てもらいたい星があります」

るーちぇの宇宙服の腕パネルをポチポチと打ち込み空中に画像を出す。例の表記がおかしい星の絵を見せる。

「これなんですが…」

「なっ、アンタ…どうしてこの座標を?!」

食い気味にいなのはが声をあげた

「っ、ここじゃその画像は見せたアカン!こっち来ぃ…!」

「えっ、は、はいっ」

慌てて投影された画像を消しいなのはの案内に従う。

先程説明した、いかにも商人船らしい派手な船…いなのはの船内へと一行は案内される。


小型船だが入ってみると意外と中は広く部屋が奥に続いていた

「ワシな、多分リトから聞いてるやろうけどいろんな星を旅してたんや。せやからいろんな情報もある。商いしつつ情報屋もやってんねん」

「はぁ…」

背中を向け部屋の奥へと歩きながらいなのはが説明をする

「おじょうちゃん…るーちぇやったか。どういう経緯でその座標手にしたか知らんけどその星はな違法惑星なんや存在を知ることも許されへん星や」

「えっ」

「ええっ…?」

意外な言葉に一同が驚いた

「いなのは、どういうことです〜?」

「せや、どういうこっちゃ?」

シトリーとげるまんが驚きながらも反応した

「その星な、探検家の中では有名なファントムって星や。正確にはそう呼ばれてる星の一種や」

奥の部屋へと繋がる扉の壁にいなのはが手をあてがう、生体波紋の認証でロックを解除し扉をあけた

そこには様々な星の写真や謎のテキストや本などがたくさん散らばっていた

「ファントムっちゅー星々は莫大なエネルギーと、この銀河には存在しない未知の物質から出来ててな、なんでも不可能を可能にするチカラを備えてあるて言われとる。探検家からしたら夢を叶える星ってことで通ってる幻の星や。けどな…」

部屋の中に入ると足元に散らばっていた紙を1枚取り、るーちぇに見せる

「この資料に書いてるんやけど、ある時星が一気に消滅した。…詳しい原因までは掴めんかったけど恐らくファントムが元凶や」

「そんな…」

資料には、真っ黒な銀河の1部の写真、そして謎の惑星一斉消失というタイトルと一緒に原因不明の星の連鎖で一瞬にして幾つもの星が跡形も無く消えたと記された新聞の切り抜きのような物が書かれていた

「昔、まだ違法惑星に指定されんかった頃にファントムを探す探検家達がたくさんいてな。何人か巡り会えた者達がいてそいつらの中には確かに夢を叶えた者も居た。けどそういう奴らは数日して消息を絶った、近くの星を巻き込んでな」

「も、もしかしてソレが原因で違法惑星に…?」

いなのはの話にリトが割り込む、それにいなのはがその通りやと言いたげに指を指した

「高確率でファントムの消失と同時に近隣の星々が何度も消えただからこの銀河を収める政府はファントムって存在を知られないようにした。せやからお前さんらが知らないのも当然や。1部の元探検家の老いぼれや生き残り、あとはワシらみたいな情報屋だけが知ってるもんや」

「ん〜なるほど〜、でもどうしてるーちぇのお姉さんはこのファントムの座標を教えたのでしょ〜か…?」

シトリーの意見に資料をじっと見つめたままるーちぇが話す

「もしかして…お姉ちゃんはここにおじいちゃんについての情報を見つけたのかもそれでわたしに座標を送ってきたのかも」

「ほう…ありえるかもな。星の座標だって、惑星情報デタラメでもちゃんとソコに存在するからこうして表示される。せやからそのファントムはまだ消失してへん、つまり何かしらの情報があってもおかし無いわなぁ…っと」

いなのはが今度は部屋の中にある一際大きな銀河系の地図のような物を引っ張り出しテーブルに広げる

「それについて探す探さんはお前さん次第やけど、もし探すのならワシはこういう情報ぐらいならタダでも教えたる。

ファントムのありそうな地点や」

そう言うといなのはが大凡の地点をマーカーで印を付け始める。

「ココと、ココ。でソコもやな。コッチは噂での仕入れやから可能性が薄い、ソッチは実際に見たことあるから確かや」

割り出された地点は全部で5つ

どれも遠く離れており銀河系の枠の外側が主だった

「ほぇー、こりゃ壮大な冒険になりそうやでるーちぇ」

「そうだねげるまん…」

「この地図はるーちぇちゃん、アンタのその腕の端末にデータ転送しといたる。とりあえず1番近くのファントムを目指すとええ。…せや、くれぐれも宇宙警察には気をつけるんやで?」

と言いながらいなのはが今度は携帯スキャナを使い慣れた手つきで地図を読み取る。

そのままボタンを打ち込みケーブルを引っ張り出す、引っ張り出したケーブルのコネクターをるーちぇの腕の端末へ繋ぎ、データ転送を行った

「よっしゃ、早速行くかるーちぇ!」

「うん」

転送されたデータの確認を行うるーちぇ。

スキャンされていて各ポイントがくっきりと映っていた

「それじゃあボクたちともここでお別れになるね」

「あら〜、なんだか寂しいですね〜」

リトとシトリーが優しい笑みでるーちぇを見つめる

「そうだねリトくんシトリーさんっ…いなのはさんも。何から何までありがとうございましたっ」

そんな2人をみてるーちぇはまた会えるといいねと笑顔を向けいなのはにもお礼をする

「いこうげるまん」

そしてるーちぇはげるまんと共に歩き出した。


船に乗り込み港から離れる様子をリト、シトリー、いなのはの3人が見送りながら

「あんなにケチないなのはさんがタダで情報教えるなんて、何があったんですか」

「なんもあらへんよ。盟友のリトの客人やからサービスしたっただけや」

ケタケタと笑ういなのはを横目にふふっと微笑するリト

「うそばっかり、どうせ何か情に厚くなってそうしたんでしょ」

「ははっ、鋭いなぁ。」

扇をバッと開き嬉しそうにしている口元を抑える。

船が発着場から離れリミナルドライブの体制に入った

「あの子の目や、るーちぇの目が途中から本気やった。ソレに負けたようなモンや」

「素直じゃないですね〜最初からそう言えばよかったのに〜、ホント貴方はケチなんだか優しいんだか〜」

シトリーがジト目でいなのはを小突く

そうしているうちに船は空間を歪ませ一瞬横に伸びたかと思えば縮まりやがてその場から消えた。

「なんにせよ、あの2人の旅が上手くいくといいね」

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