第二話 何が出たのか
ウキウキと追加の3回を回して出てきたのは、宇宙を閉じ込めたようなブラックオパールのような玉と、鈍い銀色の玉、そして、金色の玉だった。
ガチャを回し終わったステータス画面には、「キャンペーンをご利用いただき誠にありがとうございました。特典としてスターターキットを進呈いたします」という一文の下に「特典を受け取る」というボタン表示があった。
アンネリーゼは、何の迷いもなくそこをぽちっと押したが、少し考えれば分かることだった。
ガチャで回したものがステータス画面から出てきたのだ。スターターキットがそこから出てきても不思議ではない。
ドスっという音と共にアンネリーゼのあぐらをかいている足の上に、木で出来た箱に金属の枠と
「地味に、重い……っ!!」
なんとかその箱の下から足と3個の玉を取り出すと、アンネリーゼは一息ついた。
「とりあえずは、この様々なサクランボサイズの玉が何なのか見てみないとな。10連ガチャがあった画面に玉のランクが載っているから、まずはランク分けからだな」
アンネリーゼが10連ガチャで得た玉は、金色1個、白っぽい銀色1個、青っぽい銀色1個、銀色1個、銅色2個、鈍い銀色4個であった。
上から順にランクを見ていくと
アダマンタイト級(ゴッドレア)
オリハルコン級(レジェンドレア)
ミスリル級(アルティメットレア)
プラチナ級(スペシャルスーパーレア)
ゴールド級(スーパーレア)
シルバー級(レア)
ブロンズ級(ハイノーマル)
アイアン級(ノーマル)
となっていた。
この一覧と見比べてみるとアンネリーゼが引いたのは、ブラックオパールのような見た目のアダマンタイト級(ゴッドレア)1個、青っぽい銀色をしたミスリル級(アルティメットレア)1個、白っぽい銀色のプラチナ級(スペシャルスーパーレア)1個、ゴールド級(スーパーレア)2個、シルバー級(レア)1個、ブロンズ級(ハイノーマル)2個、アイアン級(ノーマル)5個の合計13個だ。
自身が引いた中に最上級のゴッドレアが混ざっていたことに震えたアンネリーゼは、とにかく落ち着こうと深呼吸を繰り返した。
「や、やべぇ……。ゴッドレアとか、マジかよ。ゲームでも引いたことねぇよ、そんなの。しかも出たのが期間限定ガチャの方だしな。間に合って良かったわ」
そんなことを思っていると、ステータス画面のとある場所が目についた。
そこは、年齢が表示されている場所で、先程までは9歳となっていたのに、今は10歳に変わっていたのだ。
「あぁ……、今日は誕生日なんだっけか。なるほど、期間限定ガチャの残り時間ってのは10歳になるまでだったのか……」
昨日亡くなった母が、なんとかしてアンネリーゼの誕生日を祝おうと頑張っていたのを思い出し、ほろりと涙をこぼした。
「ぐすっ……、はぁ。泣くのは後だ。朝食までにコレをなんとかしないとな」
涙を拭ったアンネリーゼは、一番目立つ特典として貰った箱を中身を取り出した後どこへやるかを考えながら開けた。
「えーっと、巻かれた紙、スクロールとかいうやつかな?それと玉が2個に、畳んだ布、金色で装飾された派手なチケット?と、巾着袋か。とりあえずスクロールから開いてみるか。なになに?『ようこそ、転生者殿!特典の中身は旅人の味方インベントリ、ペット不可の部屋でも大丈夫ディメンションルーム、暑さ寒さもへっちゃらフード付きローブ、ぼっちになんてさせないよ召喚獣ガチャ×1、先立つものがないと始まらない金貨30枚分のお金、以上です。あなたの人生に幸多からんことを祈ります。それでは、この世界をお楽しみください』……。え、何?何このゲームスタート感覚のノリは……」
スクロールの下には更に詳しく説明がされており、インベントリというのが時間停止機能付きの収納スキルだが生き物は入れられないこと、ディメンションルームというのは温度湿度空気などが快適に保たれた生き物を入れられる収納スキルで、自身も入って寝たり料理をすることも出来ると書かれていた。
何をするにしてもこれらが片付けられると分かったアンネリーゼは、箱の中から乳白色のインベントリが得られる玉を取り出して……、食べた。
ガチャで出た玉や箱に入っていた玉を使うためには体内に取り込む必要があると書かれていたので、食べるしかなかったのだ。
ちなみに、玉のことはオーブと書かれていた。
「ヨーグルト味だ……。お?ほわっと身体が温かくなった。ステータス画面にもインベントリというスキルも増えてるし、これで片付けられるな」
きちんとスキルが増えていたことに安堵したアンネリーゼは、特典が入っていた箱に触れ、「仕舞いたいと念じたら使える」と説明があった通りにしてみたところ、触れていた箱がスッと消えた。
ステータス画面にあるインベントリの文字には先程までなかった「+」が追加されており、そこをタップすると「転生者特典が仕舞われていた箱」と表示された。
「んで、これをタップすると、おっと、危ねぇ!」
インベントリから出したい物は、それを出したいと念じるかステータス画面でタップすれば出せるとあったので、何も考えずにそこをタップしたアンネリーゼは、また足の上に箱を落とすところだった。
ここでアンネリーゼは、インベントリに入れたものがステータス画面にて表示されるのならば、何のオーブか一切分からない玉も入れてしまえば名前くらいは分かるのではないかと、オーブを全てインベントリに入れてみた結果、そんな甘い話はなかった。
「アダマンタイト級オーブに、ミスリル級オーブ……、つまり、使わないと何のオーブか分からないのか……。まさか、使ってからランダムでスキルが生えるとかねぇよな?」
そんな考えが過ぎったが使わないという選択肢などないので、アンネリーゼはアイアン級から食べてみることにしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます