第26話 ばあさんがいっていた『明後日』到来。未知の世界。どうなる?ヤッツー!?
「あ、ヤッツー!!やっほー!!」「ヤッツーさん、こんばんは。」
アリティとユキナさんが俺の登場に笑顔で手を振る。
異世界でも時間帯は夜。
場所はメルトと最初に出会った場所…居酒屋。
「みんな、飲んでたのか?」「あぁ、なんか今夜はそんな気分でな。」リュークがウオッカをグイッと飲み干しながらそう言った。
まだ、みんなは知らないんだ。
今夜、大きな闘いがある事を…。
でも、まだ知らなくていい。今は楽しい時間を過ごしたい。
…俺もそうだ。
「俺もウオッカを。」「はいよ。」「ヤッツー?何か今日は元気ないんじゃないの!?」メルトが心配そうに俺の顔を覗く。「いや、ちょっと疲れてるだけだ。大丈夫。」「この街で休んで行けばいい。ここはみんなお前の仲間だ。」
温かい言葉にグッとくる。
『仲間』。この世界でしか聞けない友情の印。
「ヤッツーさん、あの…」「え?」「あ、何でも無いです…。」
そうだった。自分の事で頭がいっぱいですっかり忘れていた。
ユキナさんのばーさんを探す。
どこまで話せばいい?全てを話すべきなのだろうか!?
「あの住所に、行ってきました。」「本当ですかっ!?それで、おばあちゃんはっ…」「とても、元気で…とてもユキナさんに会いたがってました。」「そうですか…。」「戻って来て欲しいと…。」
『タケルさんも、待っています。』
ユキナさんの顔が歪む。
ここまで1人でずっと闘い続けて来たんだ。あっちの世界に戻ればばーさんにも、タケルさんとも再開出来る。
もう、頑張る必要はない。
自由になっていいんだ。ユキナさんは解き放たれるべきなんだ。
「あ、そうだ。これ、じいちゃんが作ってくれた装備品。」「す、すごいわっ!!」「え、あたしのもある!」「じいちゃんは、最後の使い手も現れる事を想定していたんだと思う。」「こんな立派な物を最後に作ってくれたんだな。ムジロじーさん。」「期待に応えなければなりませんね…。」
それぞれが装備品を装着。すると徐々に身体に締め付けられてくる感じがし、自分にピッタリサイズの装備が完成した。
「すげー…。」「俺のじーちゃんは、これを作る為に魔法を使って…命が少しずつ削られて行ったんだ。」「じゃぁ、この装備品を作る為にっ!?」「元々歳も取ってたし、気にする事はない。じいちゃんも喜んでくれてると思う。」
誰かの為に命を削り。
誰かの為にこの世界に残り。
そして、誰かの為に『転生』をする。
俺だけじゃない。
みんなが同じ悩みや悲しみを今も抱えながら生活している。
俺も誰かの役に立ちたい。そう、素直に思えた。
「ユキナさん、お話が…」
その時だった。闘いの合図、地鳴りが鳴り響く。
しかも、今度は大規模な地鳴り…。
「今までとは違うわっ!!」
(みんな、今夜はエンディングの大乱闘だよーん!!)
「…ボスだろ。」「ヤッツーさん、どうして知ってるんですか!?」
(今夜の敵は相当強いの。みんな、協力が大事!どうにか持ちこたえて!!)
「みんな、行くぞ。」「頑張って倒そーっ!!アリティも頑張るっ!!」「私も…頑張ります!!」
きっと、この仲間で闘うのはこれが最後。
俺達はそれぞれ気持ちを入れ替え、闘いの場へと挑んだ。
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