第24話 人探しをするはずが、生と死を分ける事態になってしまった!?
次の日。俺はユキナさんから教えて貰った住所をたどり、隣の街へと着いた。都会とは言えない街並みで、コンビニというよりも商店街がある程度。
俺はその住所が目前とし、ある事に気付いた。
『家がない。』
間違いない。
この住所であっているならば、終着点はこの場所なはず。
なのに、おばあさん処か、建物自体が無い。単なる空き地になっている。
『どういう事なんだ!?』
頭を抱え、辺りを見回していると突然、目の前にあのばーさんが現れた。
「ようやく辿り着いたようだねぇ。」「はぁ!?何でばーさんがいるんだよ!?」「ユキナはねぇ…」
『あたしの孫だよ。』
どういう事だ!?ユキナさんはVRゲームソフトの発案者で、ばーさんはVR保持者。
…これは一体…!?
「ユキナはタケルと添い遂げようと異世界に転生した。だが、肝心のタケルはこっちの世界でユキナに会いたくてわしを探し歩っておる。」「タケルさんと会ったのか!?」「まだ会ってはいない。でも、わしとしてはなぁ…、可愛い孫のユキナの恋心を叶えてやりたくてねぇ。ずっと炎の剣の使い手を探しておったのじゃ。」
意味が分からない。ユキナさんは今も異世界にいる。
可愛い孫の恋心を叶えてやりたい!?炎の剣の使い手を探してた!?
ばーさんは何を考えてるんだ!?
「ユキナのゲームは、そろそろ第2幕の結末を終えるはず。今夜、ボスと闘う事になるじゃろう。」「今夜!?」「そうすれば第2幕は終わりじゃ。…そこで、お主に頼みがある。」「なんだよ?」
『ユキナをこっちの世界に戻して欲しいんじゃ。」
ユキナさんを…!?異世界に転生してしまったユキナさんを現実の世界に?
「どうやってやるんだよ!?」「今までの生活は楽しかったか?さちと有意義な一時を過ごせたじゃろ?」「な、何で知ってるんだよ!?」『さちはわしが作り上げたフィギュアだからじゃ。ほれ。」「……え?」
ばあさんの手に乗るサイズの、それは小さな小さなフィギュア。
でも、顔やスタイルがさちさんそっくり…
「嘘だっ!!」「現実はそう甘くない…。それを自分で分かっておったはず。」「さちさんにで、電話をっ…!!」俺はさちさんに電話を掛けてみる。すると、
『お掛けになった電話番号は現在使われておりません』
…使われていない。番号が存在しない。
嘘だ。あれは全部ばーさんの手の中で転がされていただけだったのか!?タケルにVRを渡し、またユキナへの想いを復活させるためだけの…俺は『道具』でしかなかったっていうのか!?
「お主はまた明日からいつもの嫌な日々が待っておる。しかし、ユキナには未来がある。」「…何がいいたい?」
『ボスに勝ったらお主が転生し、ユキナを現実世界に復活させたい。』
俺が…転生?
明日からまたあの嫌な日々が待っている!?
「鉛筆の商談も今となってはただのままごとにしか過ぎん。」「えっ!?」「どちらにせよ、この世界でのお主には険しい道しか残っておらん。だから、どうかユキナを…」「嘘だ!!」「まだ時間はある。よく考えるといい。」
そう言い、ばーさんはスウッと姿を消した。
「さちさん…!!さちさんに会いに行かなきゃ!!」
俺はさちさんが住んでいたアパートを目指し、息を切らしながら走り続けた。
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