第14話 アラサーのオヤジが可愛い子ちゃんに…!?
「さちさんっ!!」「どうか…したんですか!?」「さちちゃーん、知らないの!?」
辞めろ、辞めてくれ。
これ以上、掻き乱さないでくれ。俺はひっそりと生活したい。ただそれだけ。さちさんにどうこうしようだなんて、今まで1度も……。
「左江内、さちちゃんが好きなんだってさぁ!!」「え?」「さちさん、違いますっ!!」「言い訳すんなよぉ~(笑)ほら、俺達みんなが立会人になってやるから!!」
現実の世界…嫌な事ばかりだ。誰も俺の味方になってくれる人なんて、1人も……
「…嬉しい。」「へ!?」「その話、本当なら嬉しいです。」
ええーーーーっ!!
まさに青天の霹靂。こんな事ってある!?
いや、違う。落ち着け矢筒。きっと、さちさんは優しいからこの場の雰囲気を宥めようと……
「さちちゃん、マジ?」「はいっ!!」「左江内矢筒だよ!?」「私、ずっと好きでしたからっ…!!」「あ、あの…さちさん!」「左江内さん。」「え?あ、はい!?」
『もし良かったら…私と、お付き合いして頂けませんか?』
人生初、女の子からの告白。
しかも、容姿端麗、性格文句無し。
…これは夢か!?
「さちちゃん!!左江内の何処がいいの!?さちちゃん社内のマドンナなんだよっ!?」「左江内さんが一番頑張ってるじゃないですか。みなさん、朝から定時までネットサーフィンばかりで。」「いやっ、それは…」「あたしは、ずーっと左江内さんの頑張りを見て来たから分かるんです!!」
(嘘だろ…)(何でよりにもよって左江内なんだよ。)
ザワザワと批判の声が聞こえて来る。でも、さちさんはそんなのお構い無しでおれの両手をギュッと握って来た。
「おわっ!?」「付き合ってくれますか?」「いや、その…ほ、本気なの!?」「冗談に聞こえますか!?」「少し…、あ、いや!!聞こえないです。」
『宜しくお願いし……』
この瞬間、何故かユキナさんの顔が頭に思い浮かんだ。
(必ず…また、帰って来て下さいね。)
あの街は現実ではない。「異世界」だ。
でも、街の人々は元々この世界の人間で…ユキナさんもその中の1人。
異世界と現実が混じり合い、俺の頭が混乱する。
「左江内さん!?」「あっ、すみません。」「あの…お返事は…」
迷う事などない。こんなアラサーのオヤジを『好き』だと言ってくれるなんて、もう二度とないかもしれない。
矢筒、現実を見ろ。『ここ』がお前の住む世界なんだ…。
『宜しく…お願いします。』
嘘だろ!?でも、嘘じゃない。今日から俺はさちさんの『恋人』。何度頬をつねってみても、どの世界にも飛ばない。これが『現実の世界』。
「嬉しいっ!!左江内さんっ、ありがとうございます!!」「いえっ!と、とんでもない!こちらこそ宜しくお願いします!」
こうして、俺はリアルの世界で彼女が出来た。
これが属にいう『リア充』ってやつか!?
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