第13話 徐々に引き込まれていく異世界の居心地の良さ。
『大丈夫かっ!!』俺はアリティを連れ、ショーシャンクの街に到着。すると、疲れ果て地面に座り込んでいる3人を発見した。
『さすがに疲れました…』『もう少しでやられる所だったぜ。』『ヤッツー…後ろの子は誰?』
メルトがアリティを指差し、その指を追う様にユキナさんとリュークの視線がアリティに集まった。
「この子はアリティ。山の中で出逢った。水の使い手だ。」「アリティさん、初めまして。ユキナと申します。」「リュークだ。」「あたしはメルト。宜しくね!!」
(みんなぁ!!よく頑張ったねー!!凄い凄い!!)
みんなの頭の中に、ヒュリの言葉が響く。
(仲間はあと1人!頑張って探してね!!)
「ヒュリ、つぎの指令は!?」
(次は暫く休息を取って貰おうかなぁ!?ゆっくり休んでね!)
良かった。みんな疲れは果てていて、ユキナさんのヒールの呪文だけではとても追い付かない。
その時だった。
ピピピピピピピッ……。制限時間を告げるアラーム音が鳴った。
「もう…行かなきゃ。」「今からゆっくり出来たのに。残念ね。」「ヤッツー、またな。」「あぁ、リュークまた。」「ヤッツー!今日はありがとね!!ゆっくり休んでね!!」「アリティもな。」「あ、あのっ…ヤッツーさん!」
みんなに別れを告げていた時、ユキナさんが俺の名前を呼んだ。
『ユキナさん、どうしました?』『いえっ…あの…』『え?』
「必ず…また、帰って来て下さいね。」
思いもよらない、突然の台詞。
この、世界に「帰ってくる。」
…みんなが俺の帰りを待ち望んでくれている。
「友情」「絆」が出来はじめている。
本来の世界では、誰も俺を必要としてくれない。むしろ、バカにされて陰口を言われ、単なる窓際族のアラサーオヤジだ。
…楽しい事なんて、何もありゃしない。
(ヤッツー、早く!!)
『ユキナさん。』『はい?』『俺は、必ずまたこの世界に戻って来ます。だから、待ってて下さい。』
ユキナさんが、満面の笑みで俺に手を振る。
「お待ちしてますね……。」
少しだけ切なそうなユキナさんの表情が脳裏に焼き付いたまま、俺は電源をオフにした。
そして、現実の世界に戻って来た俺は、仕事の出勤時間が迫っていた為、軽くシャワーを浴びいつも通りチャリで職場へと到着。
相変わらずの社内は、社員共がダラダラと椅子に座りながらパソコンでネットサーフィンをしている。そして、1人の先輩社員が朝からケラケラと笑いながら俺に近付いて来た。
『よぉ、左江内。』『おはようございます。』『お前、さちちゃん狙ってるんだって!?(笑)』『…なんの事ですか?』
周りが一瞬にしてどよめき出す。
『社内で話題だぞ!?』
下らない噂の嵐…。
その時、さちさんが「おはようございます。」と姿を現した。
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