第12話 水の属性、アリティ。
「…誰かいるっ!!」体内の奥の方に、人影らしきものが見えた。「誰かそこにいるのかーっ!?」叫んでみたものの、返事がない。
俺は警戒をしながら、ゆっくりと人影の方へと進んで行った。
すると……。
『ねぇ、助けてくれないかな!?』
小石の檻の中にいる1人の女の子を発見した。
「な、何してんの!?」「見れば分かるでしょ!閉じ込められちゃったの!だから助けて!!」「ど、どうやって!?」
『この檻を破壊させてくれれば、後は連携プレーだよ!!』
何とも頼もしい。俺は言われた通り、キャピキャピしたその女の子を助けるべく、剣を岩目掛けて叩きつけた。
しかし、硬すぎる石…まるで歯が立たない。
「ダメだっ…全く壊れない。」「そりゃそうだよ。」「どうすればいい!?」「あたしがこの岩を濡らすから、そしたらその剣で叩き割って!!」「…君も使い捨てなのか!?」
『じゃぁ、とっとと行くよー!!』
彼女は、掌からピュッと出したスライム状の水の塊を両手で回しながら大きく広げ……石全体に水の塊を投げた。
投げた塊は岩に命中し、パンッとを弾け、それが全体に広がって行く。
「今だよ!!叩き割って!!」「分かった!!」
俺は目を閉じ、沸々と燃えたぎる剣で岩を叩いた。
すると、岩は溶岩の様に溶け出し、彼女が溶けた隙間から抜け出す。
それと共に体内が大きく揺れ始めた。
「ありがとっ!じゃぁ外に出て闘うよ!!」「君は…水の属性!?」「そうっ!!名前はアリティ、宜しくねっ!!君の名前は?」「俺はヤッツーだ。」「ヤッツー、次の光で一気に外に出るよっ!!」
アリティ。属性、水の使い手…。
現実の世界でも通用する様な、身体にフィットする短めの黄色いTシャツに、太ももまでの短いデニム。
顔もユキナさんとは系統が違うがギャルっぽくて可愛い…。
「あたしの身体に何か付いてる!?」「え?あ、いや別に…」「あっ、開いた!!ヤッツー行くよっ!!」
眩しい光の出口を目指し、俺とヤッツーは猛ダッシュで駆け抜け、外の世界へと出た。
『ゴゴゴゴゴッゴッゴゴゴ…!!』
大きな岩が放っていた紫色の光が弱くなっている。それと共に、ちょうどお腹の部分が溶け出し始めていた。
「ヤッツー、さっきと同じ方法で行くよ!!」「分かった!!」
アリティがさっきよりも大きな水の塊を作り上げ、岩に投げ付ける。そして、その後を追う様に、俺は大きな炎でたぎっている剣を振り落とした。
「グガッ…!!ングガゴゴゴゴゴッ……」
岩は溶岩となり山一面を溶かし出す。
「後はあたしに任せてーっ!!火消し役!!」
アリティは定量の水の塊を辺りに放り投げ、溶岩はジュジュッと鎮火。山火事になるのを防ぐ事が出来た。
「やったぁ!!」「アリティ、ありがとう。これで街にいる敵も消えるだろう。」「お礼を言うのはこっちだよ!!ミスって閉じ込められちゃってさ。困ってたんだよね!!」
『これから仲良くしてね!ヤッツー!!』『こちらこそ!』『あたしは21歳!ヤッツーは!?』『俺は34歳!!』『あ、意外とおじさんなんだね!!宜しく!!』『あ、う、うん。』
こうして、俺とアリティはみんながいる街へと戻った。
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