第8話 水の属性、リューク。
「君達は…勇者?」「誰だ?お前。」「リューク!?」「…久しぶり、ユキナ。」
な、なんだ!?ユキナさんと、この『リューク』という若者は知り合いなのか!?
…まさか、恋人!?ガーーーーン。
「リューク、お願いがあるの。仲間に装備を着けさせてあげたいの。」「なんだ。それなら簡単だよ。着いておいで。」「ちょっと、ヤッツー!リュークって、イケメンじゃない!?」「メルト…黙ってろ。」
俺達は細い路地を通り抜け、とある小さな小屋へと到着した。
そこには、年老いたじーさんが1人、ベンチにすわりタバコをふかしていた。
「ただいま、じーちゃん。」「…後ろの輩は誰だ?」「現在の勇者達だ。じーちゃんに頼みがある。」「装備作りなら断る!!」
まだ何も言ってないのに断られてしまった。しかも、装備を着くって欲しいと言う事も既にお見通し。
このじーさん、ただ者ではない。
「ムジロおじーさま、お久しぶりです。」「…おぉ、ユキナか。まだ闘いを続けていたのか?」「それが私の任務ですから。」「ユキナ、あの時の事を忘れたのか!?お前のっ……」
「お願いします。どうしてもこの街にまた光を灯したいんです。どうか、装備を作って下さい。」「ユキナ…。」
『あの時の事』。それが何を意味しているのかは分からない。
ただ、ユキナさんが辛い思いをしたのだけは読み取る事が出来た。
しかし、このリュークという若者、随分と落ち着いていて貫禄がある。見た所、10代後半だろう。この世界の若者はみんなこんな感じなのだろうか?
「じーちゃん、頼むよ。」「うーむ…でも、もうお前達の苦しむ姿を見たくないんじゃ。」「あ、あのムジロさん。俺はヤッツーと言います。初めまして。」「お前が主人公か。」「えっ?」「剣は1人しか持てぬ。この世界でただ1人だけ。そう…あの時のタケルの様に。」「じーちゃん、ユキナの前でタケルの話はするな。」「リューク、気にしないで。大丈夫よ。」
この世界で剣は1人だけ…俺だけしか持てない。
そして、俺達の前にも闘い人が存在した。
ユキナはその頃からずっと闘いを続けて来ているのか?
それも…たった1人で…。
「ヤッツーとやら、覚悟は出来ておるのか?」「覚悟?」「今、ショーシャンクの村は第2の封印が解かれたせいで敵の出入り口が出来てしまった。」
『これからの道は険しく長い。それでも闘い続ける自信があるか?』
今、この村を助けられるのは俺達しかいない。ここで逃げてしまえば、村は敵の陣地となり、人間はみな殺されてしまうだろう。
「メルト。」「あたしは大丈夫よ。」「ユキナさんは大丈夫ですか?」「えぇ。何としてでもこの闘いを終わらせたいのです。」
みんなの心は確認できた。
選択肢は1つしか残っていない。
「ムジロさん。お願いします。」「…わかった。」「じーちゃん、俺のも頼む。」「リューク!!お前っ…!!」「みんな頑張ってるんだ。俺だけのうのうと暮らす訳には行かない。」「しかし、お前は前回の闘いで背中に大きな傷を…」「その傷を背負い、俺は街の為にまた闘う。」
ユキナさんとリュークは、戦闘経験者。過去に何があったのかは知らない。知ったところで何もしてあげれる事はない。
でも唯一。
この街を救える事に協力出来たら…。
「3日間だけ、わしに時間をくれ。」「じーちゃん!ありがとう!」「3日間…頑張って闘い抜いてくれ。頑張るのじゃぞ。」
リューク、属性、水。
新しいメンバーが加わった。
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