第7話 ナイスタイミングでの異世界ワープ。

「ただいまー…」

勿論『お帰りなさい』と言ってくれる人等いない。

俺はコンビニで買ってきた唐揚げ弁当を平らげ、VRを手にした。


「メルトとユキナさん、いるかな…」

そう考えながらも、俺は異世界へと繋がるボタンをオンにした。


「眩しいっ…!!」

目を瞑ってしまう程の光が俺を襲い、思わず両手で目を隠そうとした、その時……。


(ヤッツー!ヤッホー!!)


ヒュリの声が頭に響いた。

「ヒュリ!!みんなは何処にいる!?」(何言ってんの?目を開けてごらんよ!!)「え?」


ヒュリの言う通り、目を開けてみるとメルトとユキナさんが…

敵と戦っている真っ最中だった。


「ヤッツー!!ナイスタイミングよっ!!」「ヤッツーさん!剣を振るって!!」

若干劣勢気味のメルト達。俺は直ぐ様剣を抜き、4体の木の尾から、鋭い枝を放ち続ける敵に向け炎の剣を『ザシュッ』と切り落とした。


『ヒュヒュヒュヒュー……!!』


燃え盛る4体の木は、悶え苦しみながら灰となり…消えた。


(ヤッツー!!開始早々やったね!!)


「ヤッツーが来てくれて助かったわぁー!!」「ヤッツーさん、こんにちは。」ユキナさんの妖艶な笑顔に思わず顔が赤くなってしまう俺。


(ヤッツー、あと2体倒したらレベルが上がるから頑張ってね!)


「え?レベルとかあんの!?」(あるよー!ユキナさんに気に入られる為にも、ちゃんと倒すんだよー!!)


「んなっ、何言ってんだよっ!!」「キャハハッ!ヤッツー顔真っ赤!!」ユキナさんもクスクスと笑っている。

何となく後味が悪い俺は、ヒュリに次の指令を聞いた。


「ヒュリ!次の指令は?」(次はぁー、ヤッツー達の装備を貯まったお金で購入して着替えて!!)「衣装!?」

俺は自分とメルトの身なりを確認。スーツ姿ではないものの、何の装備もしていない。まるで『木こり』の様な姿だった。


「お金って…」「敵を倒すと、お金がチャージされるんです。」「ユキナさん、詳しいんですね。」「暫くの間、ずっと1人で闘ってきましたから…。」「…1人で?」


俺は見逃さなかった、一瞬ユキナさんが見せた切なそうな表情を。根掘り葉掘り聞くのはタブー。だって、ここは現実の世界ではないのだから。

…何が起こっても、おかしくない異世界なのだから。


「よしっ!装備を揃えに行こう!!」


俺達はショーシャンクの街に戻り、装備屋を探す事から開始。

しかし、どこの店も『close』の看板が下げられており、店の中に入る事が出来ない。


「この街はどうして人がいないんだ?」「いない訳ではないんです。外に出ないだけなんです。」「何故?」「いつ、敵が襲ってくるか分からないからです。みんな…1日1日恐れながら生活しているんです。」「…それを守る為に俺達がいるのか。」「重大な任務ね…。」


どうする事も出来ないまま立ち往生していると、ある1人の青年が俺達に声を掛けて来た。









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