91.ログハウス完成!!

打ち終わった基礎を置いておいて、まずは床の下で床を支える部分を作っていく。基礎をうった後に考えてみたのだが、先に床の土台が出来ていないと、壁の丸太を重ねた後だと、中に入って床の土台を作る作業をするのが大変なのだ。ログハウスの一番下は床になるのだし、そちらから作業したほうが良いだろう。


まずは木材を切って、いくつかの長い角材に変えていく。角材を作る際にはどうしても端に丸い部分が残ってしまうが、そこは別で使うかもしれないので残しておく。


基礎を打った段階でわかっていたことだが、縦横10メートルのログハウスを作ろうとしているので、いちいち木材のサイズが大きい。角材も床の土台にする以上同じ長さが必要になるので、ひたすら真っすぐずれないように切っていく。


角材が切り出せたら、まずは枠部分の基礎の側面を少し削って平にした後それを打ち付けて、土台の枠を作る。床の土台となるところなので、念の為に釘を3本使ってしっかり打ち付けた。


次に、今打ち付けた土台の一番下と内側の基礎の上に渡るように角材を渡す。これは上に床を並べるための土台だ。十字に噛み合わせるように溝を掘っておいて、交差するように乗せていく。出来上がった土台は格子のように枠の中に収まっている。


床の土台が出来たので、今度こそ壁を積んでいく。


一番下の丸太だけは半分に割って、基礎の上にピッタリ乗るようにする。後は他の丸太と同じ作業だ。


基本的には下側の丸太をくり抜いて、上川の丸太がはまり込むようにする。使うのはのみとハンマー、それにノコギリだ。


くり抜く部分に印を横からつけた後、縦にノコギリで数カ所切れ込みを入れる。切れ込みを入れ終わった後は、くり抜く部分には下側とだけつながっている板が何枚も経っている状態になるので、そこをのみで横からくり抜いて行く。


くり抜きが終わった丸太は防腐剤を塗った後、基礎の上に積み重ねていく。後はひたすらこの作業の繰り返しだ。扉にする部分は後でぶち抜くので、今はひたすら枠の上に丸太を積み重ねていくだけだ。


夕方までに、頭のあたりまで積み上げることが出来た。丸太はだいたい2メートル30センチぐらいまで積もうと思っているので、明日もう少し作業が必要だ。最後に作業を終える前に、ドアに当たる部分をくり抜いておく。これは少し考えがあったので湖と山のある方向とは別の側にしておいた。ドアの位置は地面から50センチほど浮いているので、階段を作っておく必要があるだろう。


今日も暗くはなったもののまだ寝るには早いので、明日以降使うであろう道具などの作業をしていく。


まず作るのは、上に丸太を持ち上げるときに使う梯子と踏み台だ。今日積んだあたりまでは俺の身長でも届いたが、一番上や屋根を積む段になると俺の身長じゃあ確実に届かない。そこで踏み台や梯子の出番となるのだ。いずれも手持ちの木材で適当に作る。自分で使う分には多少不格好でも壊れなければいいので都合がいい。


手持ちの木材では梯子の長い部分が足りなかったので、“梟の目”スキルを装備して夜の森に木材を取りに行く。


このあたりは針葉樹が多いのだが、その中に所々広葉樹が残っているので、その枝のうち特に真っ直ぐなものを切り落として持って帰る。針葉樹は幹自体が真っ直ぐな物が多いのでログハウスを作る分には都合が良いのだが、梯子のような小さなものを作る場合にはいちいち丸太から角材を切り出さないといけなくなるので面倒なのだ。その点広葉樹は多少曲がっていたりはするものの、細くても十分に使える枝などが多くて便利なのである。


後はそれぞれに溝を掘って適当に長い部分に登る部分をはめ込んだ後、釘で補強して完成だ。ログハウスと比べて小さな釘ですむので、すでに持っているものが使えて非常に楽だ。


寝るにはまだ早い時間なので、他にできる作業をしておく。するのは屋根の基盤づくりだ。


屋根の基盤は横向きに寝かせた丸太に、棒を三本建てた形にする。真ん中に特に長いのが一本と、その両脇に短めのが一本ずつだ。


全体の形を見たときには、すべての先端部分をつなぐと三角形になるようにしている。


これを複数作って丸太の壁の上に立てた後、基盤と基盤をつなぐように丸太を上に乗せ、その側面を屋根板が乗るように削って、最後に上に屋根板を寝かすのだ。


屋根の基盤も防腐剤を塗って完成である。明日はおそらく壁を積み上げた後一回部分の天井になるところを作らないといけないので、屋根の基盤の出番は明日以降になるだろう。


屋根の基盤を作っている間に寝るのに良い時間になったので、一箇所に作ったものをまとめておいて寝ることにする。明日はどこまで進めるか。そして今日の昼頃から肌がピリピリしている。


「いるんだろ?この近くに。待っていろ」


ログハウスが完成したら、必ず探しに行く。だから待っていろ。俺が行くまでその場所で。



******



踏み台を置いて、丸太を肩に担いでその上にのる。いよいよ積んでいる丸太の高さは俺の頭の高さを越えた。とはいえ、やっていることは昨日と変わらず丸太の壁を積む作業だ。


中の仕切りとか今考えるとどういうふうに作れば良いんだろうかと思ったりはするのだが、それはまた後で時間をかけて考えたい。今作業の片手間に作っても良いものは出来ないだろう。


朝早くから午後3時ごろまでかけて、目標の高さまで積み終えた。一つの生産としては相当時間がかかっているが、これはステータスのおかげで丸太を簡単に肩に担げてこその作業速度だ。つくづく、身体能力が上がっていることが戦闘以外の様々なことでも助けになっていると思う。パワードスーツを着ているようなものなのだ。


丸太小屋の一番の特徴の丸太壁が出来上がったので、次は二階の床部分、つまり一階の天井になる部分を作る。床板を張るのは一階同様に屋根が完成してからなので、一階部分と同様に床の土台だけ作っておく。


今はただの穴になっている扉の部分から梯子を運び込み、丸太の一番上の段を加工する。等間隔で、一階同様に格子状に角材をかけれるように、角材をはめ込むための溝を掘っていく。四面全部掘らないといけない上にずれると大変なので、一々角材を使って溝の場所を確認しながら掘っていく。


「上げる前に溝ほっとけばよかったな」


上げる前の段階で向かい合う二本の丸太を並べて先に溝を掘っておけばズレは無かったっだろうが、今更下ろすのは面倒くさい。


計画性よりは勢いで作っているので、後でこうすれば良かったああすれば良かったと言うのはよくあることだ。またいずれログハウスを作るときは気をつけておくことにして、作業に集中し直す。


一箇所一箇所位置を確認しながら溝を彫り、彫り終えたら今度は床の土台となる角材を加工していく。


先程は一方向の角材が常に上になるように作っていたが、今度は下に支えがない状態で作る土台なので、互い違いに上と下が重なるように溝を彫り、置いていく。これで土台全体が一枚の網となり、床をしっかりと受け止めてくれるのだ。


二階の床の土台を作っている間に暗くなってしまったが、“梟の目”を装備して土台部分までは作りきってしまう。これで明日はいよいよ屋根を作る。まだまだ作業は残っているが、家の形が見えてきたことでしっかりと作業が進んでいる実感が湧いてきた。完成まで後半分ほど、一気に駆け抜けよう。



******



翌日、朝食を取り終えたら早速屋根を作っていく。まずは屋根の基礎を置いて、大きな釘で固定していく。


それが終わったら今度は丸太の加工だ。この丸太は屋根の基礎の地面と平行に渡すものだ。これらの丸太の上に屋根板を置くので、屋根板が綺麗に乗るように丸太の側面を切り落としていく。


壁の一番上に乗せる丸太も含めて5本共加工が終わったところで、梯子を使って二階の土台の上に上がり、そこから屋根の基礎に乗せていく。これも大きな釘で固定する必要がある。


屋根の概形ができたので、後はいよいよ屋根板だ。屋根板は丸太から切り出した板材を使う。


屋根板は特に雨にさらされるので、特殊な防腐加工を行う。これは初めて見たときにはびっくりした、なかなかに面白い方法だ。


まずは同じ大きさの板三枚を、長い辺と面がそれぞれに接するようにして三角形を作り、中を空洞にする。


それをロープで縛って固定した後は一方の端におがくずを詰める。


それが出来たら、そのおがくずが詰まっている側を焚き火に近づけて火をつけるのだ。


すると不思議なことに、火が空洞内を走る。


一気に反対の上を向いている空洞から火が吹き出した。木の表面はすぐに焦げるので、少し時間がたったら焦げすぎないうちに湖に放り込んで消化する。後はロープを解いて乾かせば、木の焼入れは完了だ。


表面を焦がすことによってその面の防腐性を高める加工だ。後はひたすら、板材を切り出しては焼入れをする作業を繰り返す。


「あっつ…」


常に火の側にいるようなものなので、この低い気温の中でも汗ばんできた。


案の定焼入れの作業は暗くなるまでに終わらず、明日に持ち越しである。焼入れ以外にもしておきたい作業はあるので、夜は他の作業をする。


他にしておきたいこと、それは屋根板を切り抜いた後の木材の整理だ。屋根板は面積が広く、更にそれ一枚で屋根を済ませるつもりなのでかなり厚めに切り抜いている。そのため、切り抜いた後に残ったのは一枚のちゃんとした板をとるのも難しい木材ばかりだ。ただ、これはすべて床に使えるのでそのために整理しているのだ。


床は下にちゃんとした土台があるので、平らな面があり隙間が無いように並べられればどんな木材でも問題ない。そこでこれらの端材が使えるのだ。


整理をしているうちに遅くなったので寝に入る。明日は屋根板を取り付けて壁と屋根の調整をして。かなり完成が見えてきた。



******



翌朝、目を覚まして干し肉を食べたらすぐに屋根板の設置にかかる。やることは単純、屋根板を斜めになった丸太の上に並べて釘で打ち付けていくだけだ。


隙間が出来ないように側面には接着剤を塗って隣の板との間をしっかり埋める。


本当はもう少し丁寧な屋根の作り方があるのだが、あいにくと大きな布だったり断熱材だったり色々と足りないので今回は出来ない。


焦げた面を上にして、一枚一枚板を並べていく。屋根の片側を並べてしまった後、上から飛び出している分を切り落とす。反対側が上に飛び出るようにするためだ。


反対側も丁寧に並べて、屋根は完成だ。


屋根が出来たので、今度は床板を敷く前に壁の調整をする。


屋根は板を木から切り出して作ったので、隙間ができないように手を加える事が出来た。だが壁は丸太をそのまま積んでいるので、どうしても隙間が出来てしまう。そこでそれを塞ぐ必要があるのだ。


ということで、作りかけのログハウスを置いておいて探索の準備だ。必要なものが山で拾える事が先日の探索で確認出来たのは幸運だった。別の方法でも代用はできるのだが、純度が高いほうが失敗しにくいだろう。


山を入り口から登って、石が多く転がっているエリアに行く。そのアイテムが拾えるのはここだ。ついでに、後で使うであろう鉄鉱石も拾えるだけ拾っていく。


6時間ほどかけて必要なアイテムを拾った後、拠点に戻って焚き火に火をつける。もう暗いが、今からするのは火を扱う作業なので問題ない。ついでに、生産に使うための新しいスキル“陶芸”を取得する。このスキルが今からの加工に使うというのはβテストの頃に調べておいたのだ。


山で拾ってきたアイテムを取り出す。石灰石だ。それほど珍しいアイテムではなく、かなりの量を拾ってくることが出来た。


それをまとめて砕いて粉にし、鉄製のトレーの上にのせる。後はその上に火のついた薪を置いて、燃やす。


薪が燃え尽きた後に残るのが生石灰だ。これが壁の隙間を埋める漆喰の材料になるのだ。


薪が燃えるのを待つ間に眠くなったので、燃え尽きるのを確認して生石灰を木の桶に移した後は眠りにつく。



******



翌朝、昨晩遅くまで作業をしていたので眠たいが、そんなことは関係なく作業の続きをやっていく。


まずは森に行って、苔らしきものが生えている場所の土を重点的に集めて運び出す。


それを昨日作った生石灰の粉と混ぜ、最後に水を入れて混ぜる。そうすると漆喰の完成だ。


理論的には、生石灰と水によって生じる消石灰だけでは粘り気が足りず漆喰にならないので、他の土やわらなどを足して漆喰にするらしい。


ただ、俺は動画などで探して見たことのある人の真似をしているだけだ。その人が苔で代用していたので、俺も今回そうしてみている。


全部を混ぜたものを丁寧に混ぜ続けると粘り気が出て粘土のようになったので、おそらく成功したのだろう。


漆喰が出来たので、即席の板とコテを使って壁の隙間に塗っていく。


外から塗るか中から塗るか悩んだのだが、外からよりは中からのほうがよく壁が目に入るだろうから、外に塗ることにした。どちらにしろ隙間を埋めるように少量塗って、残った部分は適当に塗っておくつもりだったのでそれほど目立たないだろう。


「おっつ、結構減るな」


目に見える隙間を全体的に埋めた後、目に見えない大きさの隙間を埋めるために丸太と丸太の間に線を引くように塗っていく。結構な量の漆喰だったが、ギリギリの量しか無かった。やはり家がでかすぎるのだ。使いみちは考えて作っているので後悔はしないのだが。


壁の隙間も埋まり、屋根も出来、次はいよいよ床作りだ。まだ昼過ぎなので、一階部分は今日中に終わらせたい。


まずは床に敷く木材を用意する。床は一本の板で端から端まで引くつもりはないので、短めのものを多く用意した。


実は、最初に作った一階の床の土台が思っていたよりも高く、壁の丸太の一番下より上になってしまっている。そこで、壁に床板をはめる溝を彫りながら床を並べていくことにしたのだ。


「気が楽でいいな」


床板は他の場所と違って下にしっかりとした支えがあるので、長い分は切り落としたり短い分は後から小さな板をはめることが出来るのだ。


板を並べては釘をうち、壁の一部を掘っては床板をはめていく。以前残っていた端材も存分に使って、床板を埋めることが出来た。最後に残った部分は少しばかり短い板が集合することになってしまったが、そのために床下に格子状の土台を作ったのである。


気楽な作業は非常にはかどり、予想よりも更に早く終わったので時間が余った。せっかくなので、二階と一階をつなぐ階段を作っておくことにする。


まずは外で階段の外枠と段になる板を切り出して、それぞれに溝を彫り組み合わせる。次にそれを一度運び入れてみて、実際に置きたい場所に合わせてみる。玄関から入ってすぐのところを居間にするつもりなので、階段は入ってすぐの左手にした。


階段を設置する場所が決まった後は、二階の土台を階段の部分だけ切り抜いて新たに枠を作り、一階部分に溝を掘ってはめ込む。


階段は釘がなくても出来るので、それが大工としては少しばかり嬉しい。


結局、今日の作業は階段を作った所で終わりにした。少し早いが、たまには早く寝るのも良い。


せっかく早く作業が終わったので、久しぶりにしっかりとしたスープを作って食べる。体に染み渡る暖かさに、疲労が一気に飛んでいく気がした。



******



翌日、二階の床も一階の床同様に作り終えて、次は念願のデッキの作成だ。ウッドデッキなどとよく言うが、全部木で出来たこの家でウッドじゃないデッキがあるはずもない。


デッキもやることは床張りと一緒だ。ただし、こちらには柵をつける。


玄関のある面から側面までぐるりとL字型に床を張った後、柵作りにかかる。柵は簡単に、地面に平行にする細い丸太に等間隔に穴を開けて、そこに先を尖らせた別の丸太を数本差し込んだものをデッキの床に突き刺すという方法をとることにした。


方法が決まったのでまずは基準となる柱を作る。L字の曲がり角や、デッキの端など、柵の基準となる数箇所のデッキをくり抜いた後、そこに太めの丸太を立てていく。地面に先端を埋めるので、これは基礎と同じように防腐加工をしておいた。


基準の柱が用意できたので、今度は森で細い丸太を取ってくる。細い丸太ならインベントリに入るので楽なものだ。


細い丸太が数用意できた後は、柵の上に渡す丸太の側面に等間隔に穴をあける。そして残りの縦になる部分の丸太の両端を尖らせて、それをまとめて穴の空いた丸太にさす。


後は反対側の尖っている部分をデッキに開けた穴に差し込み、まだ地面に固定してない柱で挟み込んでしまえば柱とデッキの完成だ。デッキ部分に外からあがる階段も簡素だが作った。玄関が基礎の分だけ高くなっているので、そこへと向かうための階段でもある。


丸太の柵は角材で作ったきっちりとした柵と違って曲がりや歪みがあるが、それがむしろ手作り感があって心地良い。


デッキは、干し肉を作ったり木材を置いておいたりする他に、正面は玄関への道を、側面は日向ぼっこやバーベキューなどに使う。そのため、玄関側は道を細めに、そして側面側はかなり広く作った。


いずれは外でのんびり昼寝や読書など出来たら良いなと思っている。まったりした日々は、心穏やかに過ごせて良いものだ。


デッキを作り終えた後は、ベランダも作ってしまう。二階の床を作ったときにつけておいた、まっすぐ壁から飛び出した5本の丸太。その上に床板を渡し、デッキと同じ柵を取り付ける。こちらはデッキと違ってのるのは俺一人なので、耐久性は心配しなくて良いのが楽だ。こちらは高い所から外の景色を眺めたり、のんびりとするように使うつもりだ。


実は、俺にはガラスを調達する手段が無いので、今の所大きな窓を取り付けることが出来ない。そこで、ベランダやテラスなど外に面した床を作ったのだ。


ベランダは狭く手がかかるものではなかったので、まだまだ作業する時間は残っている。そこで、最後にドアを取り付けることにした。


ドア枠になる板をうち付けた後、夜にコツコツ作っていたドアを設置する。隙間風を防ぐことを考えて、ドアの四方をコフトの皮で覆って、隙間がなくなるようにしている。


ドアを付け終わって、ついにログハウスの概形が出来上がった。まだ仕切り壁や煙突など内装が残っているが、それらはここまでの作業と違って一つ一つの作業量がそれほどではないので、気が楽だ。むしろ楽しく出来るだろう。



******



開けて翌日、いよいよ内装工事だ。まずは内側の仕切り壁を作っていく。


作業に取り掛かる前に、昨晩焚き火の側で考えた設計図を再確認する。


まず、今建てているログハウスは正方形だ。そのうち、玄関から遠い側に倉庫や、食料庫、薪倉庫を集中させることにした。


また、薪倉庫は壁際につくる必要がある。外で薪を割って持ってくるために勝手口を作るからだ。


他に留意しておきたいのは倉庫の大きさだ。他の二つと比べて、今後何が増えるかわからないので大きく作ることにしている。


よって作る手順としては、まず薪倉庫、次にアイテム倉庫、そして最後に二つの間に食料庫だ。


手順の確認が終わったので、早速薪倉庫から作業に取り掛かる。


内装の仕切りについては、正直屋根や床よりも考えた。他の二つは以前動画で見たことがあったのである程度真似しながら自分のしたいようにやったのだが、内装に関しては何も知らないのだ。


そこで今回考えたのが、細い丸太の側面に長い方向に沿って凸凹を彫り、パズルのように上下でそれをはめることで壁を作るという方法だ。


この方法の利点は、後から壁を取り外して内装をカスタムしやすいということだ。


例えば床と壁の接続部分。床を少し掘って一段目の丸太を置くので、釘による固定が必要な一段目でも、外すときには床の溝を別の木材で埋めれば釘の後が目立たないですむ。更に二段目以降は組み合わさっているだけなので、上から順に外していけば簡単に外れるのだ。


外で細い丸太を加工して2段目から6段目までは外で重ねて中に持って入る。これは、下の方の段は安定性を増すために直線のスライドではめれる凹凸ではなく、複雑な凹凸を作っているからだ。


壁の丸太がはまる部分を少し切り抜いて一段目を差し込み、床に釘で固定する。


そしてその上にスライドさせて、すでに厚い板状になっている2段目から6段目をはめる。後は順々に上までスライドさせていく。入り口の反対側、壁と接してない部分は、交差する壁を先に作ってからそれに固定する形ではめていく。


天井部分には少し隙間が出来てしまうが、別にとくに気にすることはないだろう。


同じように少し広い倉庫の方も作っていく。丸太小屋のありがたいところは、壁が厚いので削って溝を作りやすいところだ。おかげで、後から色々と溝を彫ってははめこんで固定ができるので、内装がやりやすい。


仕切り壁が出来た後は、最後に入り口部分を板で縁取って完成だ。それぞれの部屋にドアを付ける必要はないのだが、いずれ暖簾のようなものをかけたいとは思っている。


次は薪倉庫の勝手口作りだ。これは入り口同様に壁を切り抜いた後枠を縁取り、ドアをはめ込んで終わりだ。外側には小さな階段をつけた。これで、そとで薪を割って家の中に持ち込むことが出来る。


次はそれぞれの部屋に設置する棚であるが、これは焚き火の側でも出来るので夜することにして、先に煙突づくりをすることにした。


まずは煙突の大きさぎめと、通す穴の確保だ。


ストーブを設置する場所は居間の真ん中と決めている。ストーブを設置する場所には床に燃えない石などを置く必要があるので、その分表面を削っておく。


早速二階床部分と天井に穴を開けていく。いずれも土台に穴を開けることになるので、その前に穴をあける部分を囲むように木材をうちつけて補強しておく。煙突は鉄で作るつもりなので穴は大きめに、煙突に触れないように作る。


また二階の床の煙突を囲む部分には柵を取り付ける。それほどがんがん火を焚くことはないが、それでも断熱をしたところで煙突の温度は100度を越える。二階にいるときに触るのが一番危険なので頑丈な柵をしっかり距離をとって作っておいた。


煙突の場所を確保したところで、薪ストーブと煙突づくりだ。後は、ストーブの床に置く石も確保してくる。


まずは山で大量に拾ってきた鉄鉱石を携帯炉に放り込み、どんどんインゴットに変えていく。


インゴットが出来たら、たくさんのインゴットをまとめて溶かし、一枚の大きな板にする。それを熱しては折り曲げて、箱の形を作っていく。上の鍋を載せる部分と入り口の部分はくり抜き、穴を開けておく。中の空間はなるべく広くとるようにした。中でも料理ができるようにするためだ。作りたいよな、ピザとか。


箱本体が出来た後は、背中側にヒートガードと呼ばれる、ストーブ本体からの熱を受け止める部品を取り付ける。これは鉄板をストーブ本体から少し離して、支えを溶接するだけだ。溶接には中級細工道具の魔道具を使う。MPを消費して接したところに高熱を与えて溶かしてくれるすぐれものだ。これを使えば火花が散ることもなく、そこそこ手軽に溶接ができる。ただし、MPの消費はかなり早い。


ストーブの足も溶接し終えて、続けて煙突づくりに入る。煙突は二重構造のものをつくる。構造は簡単で、煙突本体とそれより一回り大きい筒を作った後、煙突を大きい筒に入れ、隙間を土で埋めるのだ。土の断熱性を利用して熱が外に漏れるのを防ぐのである。


筒自体を作るのはそれほど難しくない。一枚の板から作るのでサイズが炉に入らないほど大きいが、溶接道具を応用して少しずつ熱し、円筒型にしていく。


ストーブの設置は部屋の中で行わないといけないので、部屋の中にストーブを設置する前に床に細工をする。


拾ってきた薄めの石をひたすら削って、床のストーブを置く場所の下に敷き詰めていく。本当は石工なんかがいればざっくり切って簡単に作れるのだが、俺一人だとそうもいかない。ひたすら削って平にする。


そうこうしているうちに夜になってしまったが、床に石の板を並べるところまではやってしまう。隙間を漆喰で埋めて硬める。これでストーブを部屋に運び込む用意は整った。ストーブの設置は明日にしておいて、棚を量産する。ついでに水洗い場も鉄で作っておいた。水は外で汲んでくる必要があるが、それを部屋の中から外に簡単に流せるように水を受ける部品と外につなぐ管が必要なのだ。いずれも鉄で作っておいて、明日設置することにする。


明日、ストーブの設置が終わったらいよいよログハウスの完成だ。



******



重たいストーブを部屋の中に運び込む。先日設置したストーブ台の上に置き、煙突を上に載せる。煙突をストーブの通気口に溶接し、天井の穴の隙間を塞いだらストーブの設置完了だ。後は、二重煙突の隙間に屋根から土を入れていくだけだ。


ズタ袋を空にし、それを担いで森の方へと行く。なるべく露出している土を選びんでズタ袋に詰め込んでいく。


ログハウスに戻って屋根に上がった後、木の容器にズタ袋をひっくり返して土を出す。後はこれを上に持って上がって、隙間に流し込むだけだ。


煙突がかなりの長さなので、土も結構な量を使った。余った土はそこらにひっくり返しておく。


洗い場も壁際に設置し、棚も搬入する。


******



「できたか。大分かかったな」


最後にログハウス全体を確認して、建物の完成だ。長かった。10日ぐらいだろうか。作業した期間は。手慣れて作業効率は色々と上がっていたものの、今までで一番長い作業だった。


部屋に入り、入り口で靴を脱ぐ。土足で室内を歩くのは嫌だったので、適当に靴脱ぎ場を作っておいた。


薪を薪倉庫から持ってきて、いよいよ火入れだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る