11.始まりの街ルクシア-2|生産-2

部屋に入って床のスペースを確保すると、初級木工セットと、初級細工セットを広げる。前者は、のこぎり、金槌、のみ、かんなが含まれる。後者は、金属のヤスリと、小さな金槌に木工セットよりも小さなのみがついている。のみというよりは針に近い。


行うのは矢の生産だ。まずはアイテムインベントリから木材を取り出して、丁寧に一本ずつ加工していく。最初の一本を作ればあとは《レシピ生産》によって省略することもできるが、《レシピ生産》はスキルのレベルが全く上がらないし、精度も落ちたものしかできない。より良いのものを用意するなら、一つ一つ仕上げるしかないのだ。


すべての木材から削り出せるだけ丸棒を削り出し、歪みを矯正していく。そうしてまっすぐになったところで、先端を削り、矢の後ろには闘鶏から入手した羽根をほっておいた溝にきれいにはまるようにつけ、膠で固定する。膠は初級セットの中にあった。これで【木の矢】の完成だ。





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木の矢  Atk+1


木でできた矢。矢羽がついたことで精度が上がっている。

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もちろんここで終わりはしない。今度は、拾ってきた黒曜石や、ウルフの爪を丁寧に研いでいく。ウルフの牙は小さすぎるので、鏃には使えなかった。売ってお金にするか、アクセサリーにするぐらいしか使いみちはなさそうだ。同時に丸棒の先端に溝を掘る。

ウルフの爪は形がととのっているので、少し片側を削って先端を整えた上で鋭く尖らせていく。黒曜石はヤスリで磨いても埒が明かない。紙やすりは、セットの箱から取り出すたびに新しいのが出現し使い終わったものは消えるため、ヤスリがなくなることはないが、それでも時間がかかりすぎる。そこで、のみ、いや、ピックで黒曜石をある程度整形して、仕上げにヤスリをかけることにした。石器を作っているようなものだ。望みの角度で剥がれるように金槌を振り下ろし、屋のように先端が鋭く尖った形になったら、ヤスリでより先端を尖らせていく。大きめの黒曜石からは複数個できるため、爪と合わせてかなりの数を揃えることができた。今度は、それらをさっきつくった木の矢に取り付ける。弓矢づくりのために購入した糸で鏃を固定する。



結果できたのがこれだ。


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黒曜石の矢  Atk+4


黒曜石の鏃を持つ矢。木の矢より高い威力を持つ

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狼牙の矢  Atk+2 出血(小)


ウルフの牙を鏃に持つ矢。高い貫通力があり

時々対象を出血させる。

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出血確率というのがどの程度かわからないが、どちらも木の矢より強力なことは間違いない。鏃が足りなかった分の木の矢も合わせて、百本近い矢が完成した。しかし、毎日矢を消費する以上、明日もアイテムを収集して矢を作らないといけない。これが自然を利用する狩人、ハンターの努めだ。


集中をといて一息つく。隣で筋トレをしていたライアは少し前に寝た。時間は00:00を大きくまわっている。俺も寝なければならない。

生産セットをすべて片付けてインベントリにしまい、矢を矢筒に込めて弓とともに壁に立て掛けておき、ベッドに入る。


明日はどんな冒険になるだろうか。そう考えているうちに、眠気がやってきた。




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Name:ムウ    male

種族:ロストモア  Lv3


《スキル》残りSP

[装備中]弓Lv5 鷹の目Lv3 発見Lv4 気配Lv1 細工Lv4

     登りLv2 木工Lv2 魔力Lv1 ステップLv3 跳躍Lv3


[控え]

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