むかしむかし桃太郎は還って来た
福田 吹太朗
その後の桃太郎の顛末について
◎登場する生き物
・桃太郎
・猿
・キジ
・犬
・おじいさん
・おばあさん
・木こり
・・・むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが暮らしておりまして、おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川へと洗濯に・・・
・・・で、始まるこの古くから伝わる有名なお話には、実は続きと申しましょうか・・・厳密に申し上げますのならば、正しい、事実に沿ったお話がありまして・・・しかしながらその様なお話は、いつの時代だかの、誰ぞやに不利な内容であったからなのでしょうか・・・? 揉み消されて・・・めでたし、めでたし・・・。で終わる、都合の良い昔話として、今日に伝わってしまっていたのであります。
・・・それでは、その正しいお話を・・・しかしそれには、このお話の中には一切登場していなかった、もう一人の語り部、的な人物の登場なくしては、始まりますまい。
その人物というのが、一人の、木こり、でありまして・・・彼はそれら物語の一部始終、正確に申しますならば、後半の、それも一番最後の方の部分にあたる、箇所を目撃し、且つ正確に記憶していたのでありますが・・・如何せん彼は文字を書く事も読む事も出来なかったので、さらには、どうしてもその一部始終を誰かに話す事すらも・・・しかしこれは、この物語の筋とも関わってくる事ですので、最後にその理由は述べると致しまして・・・と、幾分前置きが長くなってしまいましたが、ともかくも、まずはその日起こった顛末を、木こりの視点から、始める事に致しましょう。
・・・その日の昼九つ半頃のこと・・・つまりは現代に置き換えるのならば、午後一時を少し回った頃でありましょうか・・・? その日も、その歳の頃で言うと四十から五十、背は小さく、しかし割りかしガッシリとした体型で、特にその両脚は、山野を駆けずり回っているせいでもありましょうか? 筋肉質で、ふくらはぎなど、一歩大地を踏みしめるごとに、筋肉の筋が、まるでうねるかの様にして這い出してきて・・・さらには、山の中は時折樹木によって遮られているとはいえ、やはり直射日光に当たる事が多く、ほんのりとではありましたが、陽に焼け、しかし着ている衣服は粗末でみすぼらしく、これまた長年使い古した様な斧を一本肩に担いで、その日も午前中の仕事を終え、遅目の昼食を取るべく、あばら屋の掘立て小屋同然とはいえ、我が家に向けて、山の斜面を下っていたのでありました。
と、彼が山の中腹から滑る様に一気に駆け下りて、一本の街道へと下りようとしたまさにその時、彼は何者かの気配を感じ、咄嗟にではありますが、街道のほんの少し手前の、藪の茂みの中で立ち止まり・・・前方の様子を、じっと伺っていたのであります。
と、言いますのも・・・この辺りでは時折、熊の様なやや凶暴な動物が出る事もあり、さらには、その熊よりももっと凶暴な、盗賊やら山賊の類いとも出くわす可能性があったからなのであります。
しかしながら・・・茂みの中からじっと目を凝らして伺う彼の視線の先には・・・熊でも山賊でも盗賊でもない・・・三匹のとても小さな動物らが、一人の、道の上に大の字に伸びた、おそらく若い人間の男子、を取り囲む様にして、しかしその三匹はなぜだかとても悩ましげに、まるで自分たちの事を動物であるのを忘れてしまったかの様な、そんな表情で、その男子、を取り囲んで見下ろしていて・・・どうやらその若い人間は、もうすでに事切れてしまっていた様なのでありました・・・。
そしてその三匹の動物というのが、猿、キジ、犬という、この界隈では決して物珍しくはない、ごくありふれた生き物でありましたので、その光景を目にした途端木こりはてっきり、おそらく何らかの理由で人間の若者が道に倒れたところに偶然、居合わせたのだと・・・しかしながら彼らの会話を聴いているうちに・・・ちなみに人間の言葉は動物たちには、ある程度理解が可能なのですが、人間はというと・・・身振りやら手振りやらその表情やらで、意思の疎通を図る事は可能でしたが、おそらく動物の言葉を理解出来る人間などは殆んどおらず、しかしながら、その木こりは長年の経験と、自らの努力と鍛錬とで、動物たちの言語をある程度まで、理解する事が出来たのです。
そして、その時も木こりには、何やら神妙な様子で話す、三匹の動物たちの会話も殆んど全て、理解出来たのでした。
それによると・・・
まずはキジが甲高い声で、
「・・・やっちまったな・・・?」
すると犬が唸る様に続けて、
「・・・ああ。けど、どうする?」
するとおそらくはその三匹の中では一番賢いであろう、猿が何やら考えを巡らせながら、こう言うのでした。
「しかしお前たちよぅ・・・やっちまったモンは仕方あるまい。生き返る訳じゃあるまいし。」
するとキジがますます甲高い声でキーキーと、
「・・・で、でも! ・・・まずいんじゃないのか?」
すると犬はそれとは正反対に、一層低い唸り声となって、
「・・・一応こいつは、人間だぞ? それに・・・一応俺らの、ご主人さま、でもあるんだからな?」
すると猿が、少しニヤけた面で、
「・・・誰がそんな事をいつ決めたんだい? ・・・大体、あんな団子の一つや二つで・・・すんなり家来になると思ってたのかい? ・・・まあ、味は悪くはなかったケドな。」
「・・・じゃあ何でだよ?」
と、キジ。
「・・・もちろん。そのお宝目当てに決まってるじゃないか?」
と、猿が視線をやったその先には・・・荷車に積まれた、大きな数個の木箱やら、麻袋やら、さらには布が被せてあったのでしょうが、今は捲れ上がってしまっている・・・金ピカに輝く、彫像の様な物が・・・。
そしてそれから先の会話から、どうやらその三匹と一人、名は桃太郎、と言うらしかったのですが、あの悪名高い、鬼ヶ島に棲むという、鬼を退治した帰りに、宝物を持ち帰ったまではいいが・・・まあ、そこからは人間同士であったとしても、よくある話で・・・要するに、そのお宝の配分を巡って、その今や憐れな、むくろ、と化してしまった桃太郎との間で、諍いが始まってしまったらしく・・・。
・・・確かに。木こりの目は山野で鍛えられているせいか、その位置からでも、桃太郎の顔面やら首筋やら全身についた、キジが突っついた思われる無数の穴・・・犬がかじり、喰いちぎった様な、耳たぶやら腕やら手の指やら・・・さらには猿が引っ掻いたと思われる跡が無数についていて・・・明らかにその会話の流れからして、その三匹が、桃太郎という名の哀れな若い人間を、殺めてしまった様なのでした・・・。
しかしあくまでもずる賢い猿はというと、したたかな、少し余裕の笑み、の様なものさえ見せながら、こう言うのでした。
「・・・だからやっちまったモンは仕方あるまい。まあ、あれこれ心配しなさんな。それより・・・」
と、開き直りながら、ふと、辺りをキョロキョロと警戒するかの様に見回してから・・・無論の事、木こりはいつ森で熊に遭遇したとしても悟られぬ様、普段から訓練しておりましたので、気配を気取られる事はなかったのでした。
「問題は・・・このお宝だよ。このままこんな所に置いておいたなら・・・そのうち人間の奴らが誰かしらやって来て、それこそ大変な事になっちまうぞ?」
「それじゃあ・・・どうするんだ?」
と、キジがおそるおそる猿に尋ねると、
「そうさねぇ・・・とりあえずは、人目につかぬ所に、隠すっぺ。」
すると三匹の動物たちは、早速そのお宝を載せた荷車と、桃太郎とかいうその人間の遺体を・・・しかし生憎と三匹は三匹とも、熊の様に体の大きな動物ではありませんでしたので、三匹ともヒィヒィ、ゼェゼェ言いながら、何とか誰もやって来ないうちに、それらを物陰に隠したのでした。
するとその三匹の中ではおそらく、一番誠実ではあったろう犬が、少し心配する様な表情で、
「けどさぁ・・・まさかこの人間を、ここにこのまま置いておくのはマズいんじゃないのかい? ・・・一応、さっきまでは、ご主人様、の振りだけはしてたんだしな。」
すると猿は、少しだけ考えてから、おもむろに、
「そうだなぁ・・・確かにマズいかもな。・・・よし! こうしよう。・・・まずはこのお宝から、片付ける事にしようじゃないか?」
「・・・片付けるって?」
と、キジがキョトンとした表情で聞くと、猿は何か魂胆でもあるらしく、ほんの少しだけ嫌らしい笑みを、口の隅っこに浮かべたのですが・・・どうやら木こりと違い、二匹の動物はそれには勘付いてはいないらしく、
「・・・俺らで、分けるのか?」
と、犬は素直に聞いたのでした。
するとまるでその様な答えを猿は待ってましたとばかりに、
「まあ・・・そうなんだが・・・」
「何か、問題でも?」
「難しい事なんてないだろ? ・・・三等分すりゃいいんだよ? 脳ミソの小さい鳥の俺にだって、そんぐらい、分かりゃぁ・・・!」
キジがやや興奮しながら言うと・・・すると猿の口からは、意外な言葉が、
「この俺は・・・一割でいいや。」
「・・・何だって!?」
他の二匹が驚いたのも、無理もない話です。何せ、あれだけ大変な思いをして鬼たちから奪い取り・・・さらには、自らの主人、を発作的とはいえ、殺めてまで奪い取ったお宝です。それをたったの一割でいいとは・・・これがもし人間の話であったとしても、誰もが裏に何かあるのでは・・・? と、疑ってしまうのは、当然といえば当然、だったのかもしれません。
しかし猿には、何か全く別の考えでもあるらしく、
「・・・実を言うとな。・・・これは確か、閻魔大王さまか誰かが、これからお決めになるそうなんだが・・・十二匹の動物を選んで、一年ごとに代わりばんこに、その年の前にその動物の名前をつける事にしたんだとさ。」
「へぇ・・・そいつは初耳だなぁ・・・さすがはお前さん、そういう噂話だけは、すぐにどっかから仕入れるもんだな。」
と、犬がおだてているんだか、嫌味なんだか分からぬ様な口振りで言うと、猿はまるで開き直ったかの様に、
「まあまあ・・・そこで相談があるんだが・・・」
と、何やら少しだけ声を潜める様にして、
「・・・そこで相談なんだが・・・実を言うとな、その十二匹のうち、まだ八匹目までしか決まっていないそうな。」
「フンフン・・・」
と、キジと犬はそこは素直に、聞き入っていたのでした。
「・・・で、だ。その残りの四つのうちの、最初の順番を、この俺に譲ってはくれないか? ・・・何、もう八匹目までは決まってしまっているとはいえ・・・こういう順番てのは、早いに越した事はないだろう・・・? ・・・後の順序は、お前さんたちで適当に、閻魔大王さまにでも直接、名乗り出るんだな。」
「ああ・・・まあ。」
「そういう事なら・・・。」
と、その様な提案を聞くと、先程まであれほど殺気立っていた、キジと犬も、まあ、お宝が少し多めに入るのならばと、一応そういう方向で納得したのでした。
「・・・ところで、あの人間はどうするね?」
と、犬が聞くと、猿は、
「一応・・・奴の家まで運んでやる事にしようじゃないか? どっちみち、ここに置きっぱなしにしたところで・・・いずれ誰かしらが見付けて、そっちの方が後々ややこしくなるんじゃないかな・・・?」
「・・・でも、あの体についた、傷跡はどうするね?」
と、キジにしては珍しく、賢明な質問をしたのですが、猿はその点についても、もう事前に考えていたらしく、すぐにこう答えたのでした。
「・・・何、鬼たちと勇猛果敢に戦って・・・ニッポン男子らしく、そりゃあ立派な死に様でしたよ・・・! とか何とか言えば、あいつのおじいさんとおばあさんも、納得するんじゃねえの?」
「なるほどね〜・・・さすがはお前さん、頭だけはキレるなぁ・・・」
と、キジにしては珍しく、胡麻でもスルかの様な褒め方でしたので、猿も少しだけ照れながら、
「・・・さ、行くべ。」
と、早速他の二匹をうながして・・・桃太郎の遺体を宝物とともに荷車へと載せ・・・おそらくは桃太郎の家のある方角へと、ウンショ、ウンショと言いつつ、何とかその三匹のみで、運んで行ったのでした・・・。
そして、木こりはというと・・・彼は昼ご飯もまだでしたので、食欲の誘惑に抗いながらも・・・結局は好奇心の方が勝り、そっとやはり気取られぬ様、遠巻きに、三匹の後をつけて行ったのでした・・・。
そして・・・それから一体どれぐらい経った事でしょう・・・?
おそらく鍛えられた木こりの足ならば、とっくのとうに辿り着いていたのでしょうが、何せ、三匹の小さな動物、しかもそのうちの一匹は本来空を飛んでいる筈の鳥、であり・・・ようやく桃太郎の実家だという、村まで着いた頃には、陽がもう少しで暮れてしまう寸前なのでした・・・。
・・・彼らがその、村の中の質素ではあるが、割と小綺麗でこじんまりとした家の戸を叩くと・・・中からはおじいさんとおばあさんが出て来て・・・実はその村の手前で、悪知恵だけは妙に働く三匹は、お宝だけはやはり茂みの中にそっと隠しておいたのですが・・・そうして憐れなむくろと化した桃太郎の遺骸だけを、一応布切れだけでも掛けて覆い隠して・・・するとその小さな小屋、の様な家の中から出て来たおじいさんとおばあさんは、やはり無残な姿となって還って来た、我が子の、姿を見て嘆き悲しみ・・・しかし三匹の魂胆など知りもしなかったので、その場に泣き崩れたのですが、猿がそこでも、表情一つ変えぬまま、ただ淡々と鬼たちと勇敢に戦ったさま、そして壮絶な最後を・・・創作をかなり交えつつ、身振り手振りで話して聞かせると、おじいさんとおばあさんもそこでようやく、少しばかり落ち着きを取り戻した様で・・・。
やがて三匹はむしろその二人から、わざわざ遺骸をここまで届けてくれた事に感謝をされ、そうしてごくごく自然に、その村を後にして・・・真っ先に向かったのはもちろん、先程お宝を隠した茂みの中なのでした・・・。
一方、それら一連の出来事の一部始終を目撃していた木こりはというと・・・やはり少し遠巻きに、村の隅っこから桃太郎の家の方を見ていたのですが、彼としてはここはやはり、本当の事を、真実を告げるべきであると・・・しかしながら、家の中から出て来た、特におじいさんの顔を見た瞬間、彼は思わず、ウッ、と唸ってしまったぐらいで・・・それもその筈、やや辺りが暗くなりかけているとはいえ、木こりの目にはハッキリと・・・それは確かに、自分がまだ幼少だった時分に、まだその頃はおじいさん、ではなく、おじさんであった、自分に木こりとしての手ほどきを授けてくれた、恩人だったのでした・・・。
・・・なので、彼はその大恩人に本当の事を告げるかどうかで迷い、悩み抜いた末に・・・結局は今のままの方が悲しみも幾分かはマシであると・・・そう判断し、結局、彼自身もえらく落胆したまま、そっと我が家である、あばら屋へと、帰路についたのでした・・・。
・・・もうすでに陽もとっぷりと暮れ、茂みの中では、三匹のしたたかな、動物たちが宝物の分配をし・・・始めの約束の通り、猿はその中の一割だけを受け取ると、
「・・・じゃ、あばよ。」
とだけ言い残して・・・何処へと素早く走り去って行ってしまったのでした・・・。
その場に残されたキジと犬とは、うず高く積み上がった、お宝の山を目にしながら・・・しかしそこに残されていたのは、金目の物ばかり。
確かに高価で、もし大判小判にでも替えたのならば、大変価値のある物には違いはなかったのでしょうが・・・しかし犬はともかく、キジにはそれらが重たく、どうしてもクチバシのみで咥えて運ぶなどという事は・・・しかし辺りはもうすでに、かなり暗くなっておりましたので、視力の方も、ままならなくなってきていたのでした。
「・・・チックショウ! あの猿の奴、始めっからこうなる事を見越して・・・大体この俺が、こんな重たいモンを運べる訳が無いじゃぁないか・・・!」
と、ズル賢い猿に対する、根拠があるのかどうかは分からぬ様な、恨み節を吐きつつ・・・結局は軽いが値打ちが有りそうな物だけ選んで、それらを咥えて、山の方向へと去って行き・・・。
・・・最後に残された犬は、その、かなり大量に残されたお宝をしばらく眺めながら・・・しかし彼は、おそらく他の二匹よりは、一応仮にもいっときの間は主人であった、桃太郎を・・・彼は元々、カッとなりやすい性分であったので・・・殺めてしまった事に後悔の念を覚えつつ・・・そうして、やがて何かを決意したのか・・・。
・・・その半刻ほど後の事・・・おじいさんとおばあさんの家の戸口を叩く者が・・・それは先程の犬であり、彼はお宝の残りの全てを家の前まで運んでから、しかしまさか自分たちが桃太郎からぶん取った物だとは口が裂けても言えなかったので・・・ちなみにおじいさんも、あの木こり程ではありませんでしたが、動物の言葉はほんの少しだけ、理解する事が出来ましたので、
「・・・あのぅ、これ。」
「・・・こ、これは、何じゃね? 一体・・・!?」
「実は・・・鬼たちから頂いた物なのですが・・・どうか、これでそのかわいそうで勇敢なお人を・・・せめて盛大なお葬式でも、あげてやって下さい。」
そう言うと犬は、ただ黙ってクルリと二人には背を向けて、立ち去ろうとしたのですが・・・おじいさんが、ふと、
「・・・お前さん、もしや、これから行く所はあるのかい?」
・・・などと言いましたものですから・・・。
・・・こうして結局、干支の残りの順番は、猿、キジは鳥、となり、次が犬の順番となって・・・最後に猪が閻魔大王の元へと、フンフンと荒い鼻息で遅れてやって来て・・・十二匹全てが決まったのでした。
そうしてそれ以降、キジはまるですねてしまったか、あるいは逆に開き直ったかの様に、山奥でひっそりと暮らし、時々キーキーと鳴きながら、羽根を開いて、山野を飛び回ったり、走り回ったりしていたのでした。
そして犬はそれからというもの、おじいさんとおばあさんの家に住み着いて暮らす事となり・・・それ以来、犬という生き物は常に人間のすぐそばに仕える、従順な生き物になったのだとさ。
めでたし、めでたし・・・。
・・・我が家へと帰り着いた木こりはというと、しばらくは人間不信、ならぬ動物不信、あるいは生き物不信、の様な状態となり・・・仕事も手に付かず、そのあばら屋に籠っていたのですが・・・しかし何処からの風の便りで、あの例の犬らしき犬が、おじいさんおばあさんと共に・・・村に突然出現したかの如く、ニョキニョキとそびえる様に建った、御殿に住んでいると聞いて・・・彼はなぜだかようやく、胸のつかえが取れた様な気がして、またその次の日からは、古ぼけた斧を肩に担ぐと、自分の仕事へと戻って行ったのでした。
・・・こうして、桃太郎、の話はいつしか、本来の正確なお話よりも、美化された、桃太郎がまるで大昔の英雄の様に大活躍する、美談へと・・・。
しかしながら。それはそれで良かったのかもしれません。
なぜって・・・全てが丸く上手い事、はまるべき所にはまり、収まったのですから・・・。
と、いう訳で。今度こそ本当に、
・・・めでたし、めでたし。
終わり
むかしむかし桃太郎は還って来た 福田 吹太朗 @fukutarro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます