リゼの独白と回想(Ⅰ)
「…貴女はどうして私の側にいてくれるの?」
扉越しにお嬢様の声が聞こえてしまいました
どう考えても私に向けられた言葉です
「言えるわけないじゃないですかこんな醜いこと」
そう、私リゼッタはお嬢様に隠していることがあります。Ωであること……
そして私とお嬢様が「運命の番」であること
です。
皆様は「運命の番」というものをご存知ですか?
通常の番とは違い一目見た時から惹かれ合い別のαやΩと番になっていたしても運命の番の力が強すぎて番解消までに至ってしまうというとても強い呪いのような祝福のようなものです。
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初めてロメリアに来たときはミカエラの王女という身分を隠しての観光でした。
そしてふと城下町からお城を見上げたとき目に入った美しい赤髪の少女を見て分かりました
「この方こそが私の運命の番…」
だと、この時のことはきっと一生忘れないでしょう。
そして国に帰るやいなや父上に強引に話を持ちかけました
「お願いですロメリアに今年送られる人質を弟ではなく私にしてください」
父上はたいそう驚かれました
なぜなら私はミカエラの王位継承権第一位保持者だったため誰か優れたαと結ばれ国を治める事になっていたからです。
「誰か添い遂げてもいいという優秀なαを連れ帰っておいで…それでなければ
人質の期限が切れるお前が20歳になったときにはこちらで用意したαと結婚して王位を継いでもらう」
そういう約束のもとロメリアに人質としてそして、お嬢様の専属メイドとして仕え始めたのでした。
幼く浅はかな自分の考えが後々自分を苦しめるとも知らずその時はただあの方の御側にいたいその一心でした。
そしてある日お嬢様が運命の番を毛嫌いしていることを知りました。
つまりお側にいるために
Ωでありお嬢様の運命の番である自分の全てを隠さなければいけない日々が始まるのでした。
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