ミドル9-2『第四幕:覚悟』

GM:調査を終え、キミたちは壮一に報告を行なった。結果を聴き、壮一は厳しい表情で告げる。


壮一:「道を見出したか。だが、こちらも状況が動いた。

 UGN中枢評議会は事態の鎮圧を最優先目標とし、レインズに出撃を要請して来た。

 まず間違いなく……エイルさんとリエゾンロードの抹殺が失敗した場合、レインズを足止めに区画ごと天の火で焼却して片付ける腹積もりだろう」

マリー:「相変わらず過激なの……でも、事件の規模からすると納得ではあるの」


GM:ではここで、PCたちに選択肢を提示するよ。この選択により、後のシナリオが大きく分岐する事になる。




▼選択肢

A……『UGN本部の命令に従い、エイルを抹殺する』

 "操演者"との決戦(クライマックス)→エンディング

B……『作戦から外れ、事態の推移を見守る』

 即座にエンディング

C……『エイルを救うために戦う』

 "操演者"との決戦(クライマックス1)→月の封印(クライマックス2)→エンディング




マリー:……なるほどね。迷って手が鈍るなら、作戦から外れる選択肢も用意してあるわけだ。

稀生:だとしても……もう決まってるよな。構わないかい、マリー?

マリー:当然。さっき言ったの。「やって見せろ」って。

稀生:ありがとう。GM、選ぶのはCルートだ。俺たちは月を封印して、エイルを救うために戦う。


GM:ああ、了解。では描写を再開しよう。




稀生:「いや、逆に好都合だ。天の火が動かせる状態にあるなら、後は使い方次第だからな。

 ……隊長、無理を承知でお願いします。ニュクスを封印出来れば、エイルを救えるんです。天の火を俺たちが使えるよう、上に掛け合っては貰えませんか……!」

壮一:「……ハッキリと断っておくが、既に命令は下っている。天の火の使用権も含め、今から正規の手続きで上を説得する時間はない。

 それでも、やるか。どんな手を使ってでも、エイルさんを救うために戦うか」


 静かに目を細め、壮一は問いかける。無言の闘気が稀生とマリーに突き刺さり、強大な重圧となって襲いかかる。


GM:ここで壮一は、《超越者の眼力》と《超越的能力》を宣言する。

 特殊な裁定になるが、キミたちを威圧することで、その覚悟の強さを量ろうとするぞ。こちらの判定に挑戦してほしい。




▼判定『覚悟を示せ』

〈意志〉 9

※全員挑戦。一人でも成功すれば判定クリア。

※全員失敗時、シーンを改め再挑戦。




稀生:なるほど……頑張ってみるか。『思い出の一品』と『ブランケット』の効果を受けつつ、判定だ。

 (ダイスころころ)達成値14で成功だ!

マリー:こちらも判定するの。アイテムとかは持ってないけど、気合いで頑張るの。

 (ダイスころころ)達成値10、成功!


GM:素晴らしい、2人とも成功だね。


稀生:殺気にも等しい重圧。負傷しているとは言え、隊長なら自分たちの制圧など容易いのだろう。

 だが、それでも。一歩も怯む事なく、ただ胸元のパズルを握り締め答える。

「――戦います。例えレインズから除名されようと、UGNを追放されようと……裏切り者の汚名を被る事になったとしても。

 救えるかもしれない相手に手を伸ばさないなんて、俺には出来ません。

 正規の手順が無理なら……力づくだろうと、やります」


 重圧の中。気付けば稀生は、逆に壮一に詰め寄っていた。


壮一:「……なるほど。"ブラッディメアリー"、お前はどうだ」

マリー:「元より、マリーの願いはレインズを守る事。作戦に失敗した時点でそれは潰え、私たちは焼き払われる運命になるの。

 だから万が一にも失敗は出来ない。作戦成功のためにマリーは動くだけ」

 そこで一瞬、視線を稀生へと向ける。

「なら、その過程で作戦目標が変わるのも構わない。それに……このお人好しは、全部救いたいなんて言い出す始末。

 だったら、その酔狂に乗ってやるのも相棒としてまた一興なの。

 隊長。マリーがマリーでいるために、この大馬鹿者の口車に乗ってやってほしいの」


 それだけ告げて、マリーは壮一に頭を下げる。

 2人の若者の反応を少しだけ意外そうに見つめた後、壮一は大きく頷いた。


壮一:「……道を貫くか。試すような真似をした。赦せ。

 だが私も腹を決める時のようだ。いいだろう、お前たちの賭けに最後まで付き合ってやる。

 "レインズ隊長として命じる"。天の火については私が手を打つ。お前たちは一刻も早く、エイルさんの救出に迎え」


 そこで、ふっと僅かに表情を緩め。


壮一:「……行ってこい。お前たちの守りたいものを、余さず掴み取って見せろ」

マリー:「任務、了解したの」

 微笑を浮かべて、少女は任務に向かう。

 ああ、この気持ちは初めて味わうかもしれない。

 いつも、命令された敵を仕留めるだけの兵士だった私が。

 こんなにも作戦が誇らしいと思ったのは、生まれて初めてだった。

稀生:「ありがとうございます、隊長……!」

 敬礼を忘れず、少年は走り出す。

「"ブロークンコンパス"、出撃準備に入ります!」

 貫くと決めた道の先にある、未来を見据えて。

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