マスターシーン2『第一幕:"拳聖" vs "操演者"』

 レインズが攻め込んだ戦艦の後部甲板で、2人の男が対峙していた。

 1人は、総身に並々ならぬ闘気を纏う"拳聖"。UGN最強の個人戦力に数えられる男、白辺壮一。

 もう1人は、EXレネゲイドに感染した6振りの剣を空中に従える"操演者"アルギウス・レイフォード。


アルギウス:「UGN最強と名高いレインズの、それも長である"拳聖"に目通りが叶うとは。やはり戦場は面白い」

壮一:「都市1つを壊滅させ、数多の日常を踏みにじった貴様が戦場の妙を語るか。笑えない冗談だ。

 2度は問わん。ニュクスはどこだ」


 "拳聖"の問いに、"操演者"は僅かながら口角を上げて応える。


アルギウス:「当然、我が手の内にあるとも。ニュクスも、世界も、輝かしい人の未来すら」

壮一:「……そうか」


 ごく短い返事の直後、壮一の姿が高速で掻き消え、後部甲板に重々しい打撃音が響き渡る。

 刹那の内に放たれた"拳聖"の一撃はしかし、王に従う剣の1振りによって受け止められていた。


アルギウス:「生き急ぐな、"拳聖"。こうして相見えたのだ、存分に力と技をぶつけ合おうとは思えぬか」

壮一:「貴様の首を命じられている。ならば拳で語るのみ――!」


 再び、神速の移動を見せる壮一。その直後、彼が立っていた場所にアルギウスの剣が突き立った。


アルギウス:「流石にはやいな。我が刃を総動員しなければ、相手取るのは難しいか?」

壮一:「チッ……言うものだ」


 靴底から火花を散らし、風の如き回避を見せた壮一の腕に刻まれた、一筋の傷痕。"拳聖"の背を冷たい汗が流れる。


アルギウス:「さあ、存分に楽しませてもらう。精々踊れよ、"拳聖"」

壮一:「"操演者"が首級、我が拳にて貰い受ける!」


 指揮者の如く両手をかざし、6振りの剣を構えては身も凍るレネゲイドの波動を放つリエゾンロード。

 美しさすら感じさせる構えの後、裂帛れっぱくの気合いと共に眼前の王に肉薄するレインズの長。

 後部甲板に、拳と剣が幾度となく激突する戦闘音が木霊した――。

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