03話 はじめてのしょうじょまんが

 暫く進んでいると、突如何処からか威圧感? のようなものを感じた。


(これは、一体?)

《魔力反応です。魔物がこちらに接近しています》

(おお! そいつは好都合だな。殺して食ってやろう。それにしても、これが魔力ってやつなのか)

 

 なんというか、そこにあるってことしか分からない。

 龍玉のキャラみたいに、個人を判別するなんてことは出来そうにないな。

 ていうか、これが魔力なら前世怒ってる人から漏れ出てたピリピリした雰囲気とかも、いわゆる気というやつだったのかもしれない。

 中国の人達ごめんよ。インチキ野郎どもなんて思ってて。


――エクストラスキル『魔力感知』を獲得しました。


《マスター、魔力感知を叡智之女神にリンクさせても宜しいですか?》

(別に良いけど……何でだ?)

《性能が更に向上する上、視認せずとも魔力反応だけで解析することが可能となります。また自動記録により一度知覚した相手であれば識別が可能です》

 

 龍玉キャラみたいには行きそうにないなとか思ってたらソフィアが出来るようにしてくれた件!(歓喜)


(是非! 是非やってくれ)

《承知しました。……解析に成功しました。対象のステータスを開示しますか?》

(ん? あぁ、今こっちに来てるやつのか)

《YES,どう致しますか?》

(おう。見せてくれ)

《YES,対象のステータスを開示します》


====================

名前:なし ♂ レベル:1/5 GP:0

種族:スケルトン ランク:D+ 


最大HP:200

最大MP:30

STR:20

AGI:15

VIT:6

INT:5 

DEX:7

LUK:5


技能:種族スキル『死気感知,生命憎悪』

   補正スキル……剣術Lv2

耐性:刺突耐性Lv2・斬撃耐性Lv2

====================


 ふむ、ランクにある通り種族的な強度としては俺より格上らしいな。

 実際パラメータが俺より上な部分はかなり多い。

 しかし読み進めていくうちに、あることに気付く。そして疑問を覚えた俺は聞いてみることにした。


(なぁ、ソフィア。何故MNDの欄が無いんだ?)

《最低位のアンデッドには、魂自体がないためです》

(あぁ……そういう。なるほどね。う~ん、でもこれじゃ食えないな)

《では戦闘を避けますか?》

(いや、戦う。レベルも上げたいしな。あと出来る限りは俺一人でやる。でも、もしもの時はサポート頼む)


 直感は何も告げていない。

 ならば少なくとも、絶対に逃げるべきという訳ではない。

 勝てる可能性も少なからずあるのだ。

 だったら戦っておくべきだ。そう思ったのである。


《承知しました》


 その承認の声を聞き、俺は心の中で両頬をパンと叩き気合を入れた。


(よし……魔力反応は、もう目と鼻の先か。曲がり角から出てくるな)


 こちらに戦闘向きのスキルはない。

 頼りになり過ぎるチートはいるが、それも戦闘向きではない。

 思考を巡らせ作戦を練る。


(ふむ、少女漫画作戦で行くか。出会い頭にごっつんこってな。クク……)


 迫ってくる。

 もうすぐ、もうすぐ……。


(ここだ!!)


 地を踏みしめ、思いっきり頭から突っ込む。


「きゅいー!!!!(ぶっ飛べ!!!!)」


 頭に走る確かな感触。

 吹き飛ばした実感。

 そして、


――告。スケルトンを討伐しました。

――告。経験値を60獲得しました。

――告。レベルが4上昇しました。

――告。GPを27獲得しました。

――告。進化が解放されました。

――告。戦闘スキル『頭突きLv1』を獲得しました。

――告。称号スキル『吹き飛ばしビギナー』を獲得しました。


 あの声が響く。


(終わった、のか。そういやこの声は何なんだ? ソフィア)


 ふと気になり聞いてみると、


《天の声、世界の言葉。言い方は様々ですがかつての私である叡智者の声も、これをサンプルにしていました》


 思いの外壮大な回答が返ってきた。


(そうなのか。この声は俺にだけ聞こえるのか?)

《YES,ですがパーティーを組んだ際はそのメンバーにも聞こえるようになります》

(ほ~う。そうなのか)

 

 イメージとしては、RPGものの戦闘ログが近いのかもな。


《YES,ところで今すぐ進化しますか? オススメはしませんが》

(そうなのか? ならしない。とりあえずGPを割り振ってから考えるさ)

《承知しました》

(てか、称号なんてシステムがあったのか。初めて獲得したからなかったのか?)

《NO,申し訳ありません。称号システムには封印がかけられており、叡智者では突破出来なかったものと思われます》

(ほぅ。では今なら出来る訳だな?)

《YES,更に詳細なステータスを表示出来ます》

(んじゃ、頼むわ。レベル上がってどう変わったかも気になるしな)

《承知しました。マスターのステータスを開示します》


====================

名前:なし ♂ レベル:5/5(進化可能) GP:27

種族:ベビードラゴン ランク:D-     


最大HP:935

最大MP:160

STR:19

AGI:22

VIT:6

INT:100

MND:100000 

DEX:10

LUK:500


技能:種族スキル『竜鱗Lv1』

   リミットスキル『創造の種(4)』

   神贈能力……女神の寵愛[+言語理解][+即死無効]

   称号スキル……世界を越えし魂[+MND補正1000%][+記憶継承]

                 [+獲得経験値200%][+獲得GP200%]

          可能性の申し子[+ランダムリミット]

          天運[+ラッキー遭遇率100%]

          賢き者[+必要経験50%]

          吹き飛ばしビギナー[+突進系スキル威力10%] 

   限壊能力……叡智之女神[バランスブレイカー:ソフィア]

   ユニークスキル……色欲者[+好感度看破Lv1][+感情操作Lv1]

   エクストラスキル……超直感・魔力感知

   戦闘スキル……頭突きLv1

====================


 現れた真のステータスを見て、驚愕する。

 

(めちゃくちゃ補正かかっとるやないか。たかが骸骨一匹倒した程度で何でそんなレベル上がるんやろとか思ってたけど実質4倍じゃそうだわな。てかラッキー遭遇率100%って、もしかして絶対にラッキーが起こるってこと?)

《その通りです。無論運ではどうにもならない事態も起こる為油断をする訳にはいきませんが、カジノなどの運が絡む事象においてマスターは確実に得をします》

(マジかよすげぇな。そんなこと言われたら絶対人に戻りたいじゃないか。いや竜の力が無くなるのもどうかと思うから、人になるスキルとか魔法みたいなのが欲しい所だな。まぁ……だからって創造の種を使うつもりはないけどさ)


 そこまで呟いたところで、電流が走る。


(あっ! なぁソフィア。GPって新しいスキル獲得出来るんだったよな?)

《YES,しかし、現在の所持GPでは人化の術は取得出来ません》

(どれくらいだ?)

《1500GP必要となります》

(うお~、マジかよ。結構遠いな。まぁ分かった。暫くはお預けってことで今は良しとしよう。んじゃ~、この27ポイントで何が獲得出来る? ってかオススメとかあったら教えてくれ。お前流の割り振り的な)

《……では、私流の割り振りを紹介させて頂きます。

 STRへ5、VITへ4、DEXへ8、魔力操作獲得に10。以上です》

(ほほぅ? パラメータに結構使うんだな)

《マスターは人型になりたい願望があるようでしたので、その願望を叶えるルートを辿る為にはDEXをかなり上げる必要があるのです》


 その言葉に、


(うぇっ。え~と……ってことは、人化の術以外にも成れる方法があるのか?)


 思わず変な反応をしてしまう。

 口に出していないから、余計に感情で左右してしまうのだ。


《器用な生物は、あらかた人型になります。そしてマスターはかつて人間だった記憶を所持しています。ならば自然と生活を文化的にしようとする筈。DEXのパラメータはその助けとなりますし、文化的な生活を歩もうとすれば自然と竜人への進化条件も達成するという予測です》

(なるほど、確かにそうだな。それで……その竜人ってのはどんなだ?)

《人型のドラゴンです。二足歩行をしたドラゴンと考えて頂ければ、似通った姿にはなります》


 そう言われ、俺は咄嗟にリザードマンに翼が生えた姿を想像した。


(ん~、これじゃあ人間の街じゃ馴染めないと思うが……)

《その通りです。その為この姿になった上で、更に人化の術を使うことで馴染みやすい姿になれると思われます》

(まぁ、そうだな。でも……それって初っ端から人化の術じゃダメなん?)

《人化の術は、真の姿から一段階人型へ寄せるというスキルです。そのため四足歩行のまま人化の術を使っても、二足歩行が出来るようになるだけで終わります》

(……結構シビアなんだな)


 俺が思ってた人化の術って、一気に人になるやつなんだけど……まぁそう上手くは行かないか。


(ま、分かった。んじゃその方針で行こう。ソフィアの案、採用♪)

《有難う御座います。では早速割り振っておきます》

(ん。宜しく~! さてと……んじゃ、とりあえず進化先見せてくんね? ルートがどうこう言ってたし、称号やら何やらで増えるんだろ?)

《YES,現在の進化先はリトルドラゴン一択です。ただ肉体が強化されるだけです》

(なるほど、そりゃ確かに時期尚早だな。でも……オーバーフローした経験値が勿体無くないか?)

《叡智之女神の含有スキル、自動記録によりオーバーフローした経験値(情報)は貯蓄されている為、進化後に適応することが可能です》

(ほほぅ! それなら問題はないかな。おけ! んじゃもちっとベビーでバブバブやるとしますかね。ははっ!)


 こうして俺は、ソフィアの提案に乗り進化を延期することにしたのだった。

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