猫猫犬犬

プロローグ

 私は今、今生最大のピンチに陥っています。え? お前は一体誰だって? えっと、猫道です。親しい人は「ふーちゃん」って呼んでくれるけどそう呼んでくれたら嬉しいです。

 そんなことより私は本当にピンチなんです。本当と書いてマジと読みたいくらいピンチなんです。一年生の有名人二人に囲われて私は心臓バクバクですよ。

 私はこれでも小心ものなんです。昔から仲のいい子たちと一緒で決まった子たちとだけ仲良くばかりしていました。

 そんな私はいつも友達に守れれてばかりでそんな私が嫌でした。

 だから私は高校ではそんな私を変えたくて友達が一人もいない高校を選びました。自慢ではないですけど友達の中では一番勉強ができるので友達が合格の難しいギリギリのラインの高校を選びました。

 その甲斐あって私は知り合いのいない今の高校に通うことになりました。

 意気込んで始まった高校生活でしたが御察しの通り最初の一月をぼっちで過ごしました。

 どれだけ今までどれだけ友人たちに助けられてきたのか痛感しました。そんな私にも転機というものが現れました。

 それは安来ちゃんという存在でした。私と一緒で教室にいるとき一人でいるんですけど私とは違って孤独というより孤高って感じがして密かに憧れを抱いています。もちろん私の目的は友達を作ることだから彼女のようになりたいというわけではないけどすごいなって思うんです。

 安来ちゃんは一年で唯一の支援局のメンバーで色々怖いうわさも聞くけど本当は優しい人なんだって私はわかってます。誰よりも早く学校に来てクラスぼみんなが快適に過ごせるように色々やっているのを知ってます。本来日直の仕事である先生の手伝いを率先してやっているんです。

 え? どうしてして知っているのかって? た、たまたま早く来たことがあってそのとき見かけたというか、ほ、本当ですよ。

 そんな何でもできて人のために動けるような安来ちゃんが困った様子を見せたのはあの時だけだったんです。困ってる人を助けるのが安来ちゃんの役目だけどそれなら安来ちゃんが困ってたら誰が助けるんだろうって思ったら気づいたら安来ちゃんに声をかけてたんです。

 そんなこんなで何の知識もないままオカルト研究部に入ることになったんだけど今ではあの時勇気を出して安来ちゃんに声をかけてよかったって思ってます。

 オカルト研究部には1年生は私しかいませんが自分の居場所ができたような気がしてるんです。部員の皆さんはとても優しくて何も知らない私に色々と教えてくれます。特に部長の獅子堂先輩は私が困っているといつも助けてくれるし、わからないことがあると丁寧に教えてくれます。

 私が唯一の一年生でオカルトの知識がないからだっていうのはわかっているんですけど気づけば獅子堂先輩を目で追っている私がいて……。

 色々あってそんな私に気づいた安来ちゃんが協力を申しだしてくれて想像にもしてなかったことに安来ちゃんと話すようになりました。

 そして気づけば唯一の同学年の友人になってました。そして気づけば現在の状況をセッティングされていたのでした。


「猫道さん初めまして。愛莉明ちゃんに無理言ってこの機会を作ってもらった蝶野真昼だ。よろしく!」


 いつものカフェで安来ちゃんと話していたところに現れたのは一年生で将来のバスケ部エース、スポーツ万能な蝶野さんでした。

 事前に何も聞いていなかった私はびっくりしすぎて心臓が止まりそうでした。これは冗談じゃないですよ。思わず視線で安来ちゃんにどういうことか問いかけちゃったくらいだもん。


「真昼、まだメッセージ送ってないのに出てこないでもらえる? 打ち合わせ通りにやる約束だったよね?」


 安来ちゃんが非難すように蝶野さんを睨みつけながらそう言いました。それに対して蝶野さんは悪びれた様子もなくあっけらかんとした様子だった。


「メッセージを待ってたら日が暮れるよ。どうせギリギリまで放っておくつもりだったでしょ!?」


 蝶野さんから指摘を受けて安来ちゃんは静かに視線を外して席を立ちあがりました。帰るのかなと思ったら安来ちゃんは私の隣にやってきました。


「とにかく座ったら? 立ったままだと目立つでしょ?」

「しょうがないなー」


 蝶野さんは安来ちゃんが空けた席に座ると店員を呼んで注文をし始めました。自由過ぎる行動に私は少々呆気に取られて言葉が出てきませんでした。


「ほら真昼、ちゃんとしなよ」


 この状況私は一体どうしたらいいのでしょう。誰か私を助けてください。

 


 

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