1日目-2
安来さんのおかげで廃部を免れオカルト研究部として改めでスタートした俺たちはまずはつながりを強くするため懇親会の計画をたてたんだ。
ホストは合併の発起人である俺たち元怪談納涼部でさ。最初は怪談朗読会でもしようかと思ってたんだが他の奴らが乗り気でさ。話し合いの結果百物語をしようって話になったんだ。
でもするにしてもいくつか問題があってさ。まずは場所だ。部室はどうかって案が出たが部屋数が足りないんだ。正式な百物語は3部屋用意する必要があるんだ。廊下を部屋と数えてももう一部屋必要だし他の部が利用させてくれるとは思えなかった。それに部室内で火を使うのも許可がおりるとは思えないしましてや夜なんて以ての外だろう。
だからホストである俺が部屋を提供することにしたんだ。祖父母が屋敷を持っていてそこを使わせてもらうことにしたんだ。
でも一つ問題が解決しても別の問題が出てきてな。それが蠟燭何だよ。さっきも言ったとおり本来は行灯を使うんだが行灯を百も用意したらお金がバカにならないからな蠟燭を用意しようと考えていたんだが部員からこんな意見が出たんだ。
「蠟燭を百本並べるの大変じゃない? それに場所も取るし使った後の蠟燭はどうするの?」
確かに、て思わされたよ。毎年の恒例にするなら蠟燭は部室に保存しておくのもありだったがそこまではわからないからな。それに蠟燭を百本立てるときに過って倒して小火なんてこともあり得たからな。
本音で言えば俺は蠟燭を使いたかったんだが代替案が出てそっちの方が支持されたんだ。
護摩木ってのはわかるか? 仏教とかで護摩を焚くだろ。それに使われるものだ。言ってしまえば焚き木みたいなものだ。
それを蠟燭のかわりとして怪談が終わったらそれを火鉢に焚べることにしたんだ。
こうなるともう百物語とは完全別物だろう。だから部内では百奇夜談と呼ぶことになった。
この百奇夜談だが参加者は俺を含めて十人いてそれぞれ10個ずつ話をよういすることになった。メンバーについては後で名簿を見せよう。
この百奇夜談をやったのは新月の夜だ。本元の百物語と同じようにな。一応学校の行事ってことで制服でやった。俺らの学校の制服は青っぽいしちょうどいいと思ったんだ。
メンバー10人集まって放課後祖母の屋敷に行ってそこでいつも通りの部活動をして一緒に料理を食べたりした。一応合宿って名目はとってたんだ。その方が親とかも説得しやすいしな。
夕食を終えると早速百奇夜談の準備に取り掛かった。3つの部屋にそれぞれもものを設置して暗くてもわかるように夜光塗料を塗ったテープを危険な場所とか自分たちの座る場所に貼ったりした。
その準備中に特に問題も起きず怪しい動きをしてるやつもいなかった。
そして夜になってみんな輪になって事前にくじで決めていた順に話し始めた。
そのくじに細工とかは無理だぜ。引くのもくじを作ったのも顧問の先生にしてもらったからな。顧問の先生にはちゃんと了承はとってやったさ。先生の協力なしに合宿ってことにはできないからな。
俺たちは準備を終えて夜が深まるとすぐに始めた。明かりの一切ない中で最初の一人が語り始めた。
このときだけだな。その場に全員揃ってたのはさ。あとは護摩木に火をつけたら火番が一人出て交代交代になるからな。
だから全ての怪談を聞けた奴はいないんだよな。自分の怪談含めて90だよ。
そんなこんなで順番に話していって99個の怪談を話し終えてそれから日が昇るのを待って片付けして終わりさ。火番してるとき視線みたいなのをたまに感じたがあまり気にはしなかったな。
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