第69話 最終日の朝
「未羽君、いきなりどうしたの?」
実習最終日の朝、いつものようにスーツを着て学校に登校しようとしていたら、いきなり未羽君からメッセージが届いた。内容を確認すると、家の外で待ってるね。と書かれていて、私は慌てて荷物を持って家を飛び出す。家から出ると、本当に未羽君が家の側で待っていてくれたので私は未羽君に声をかける。
「おはよう。みなちゃんと高校行けるの、今日が最後だからさ…最後の日くらい、一緒に行きたいなって…だから、頑張っていつもより早起きした。迷惑だったらごめん…」
「ぜ、全然迷惑なんかじゃないよ。むしろ嬉しい。わざわざ迎えに来てくれてありがとう」
私は未羽君の隣に移動して未羽君と一緒に歩き始める。
「未羽君、手…繋いでいい?」
「うん。いいよ。あ、でも…駅までで勘弁してもらえるあな?」
「うん。わかってるよ。駅まででいい。駅からは未羽先生でいいからさ、駅までは未羽君でいて…お願い…」
「わかった。じゃあ、みなちゃんも、駅からはみな先生でいいから、駅まではみなちゃんでいてね…」
「うん。わかった」
駅まで、という条件付きで私は未羽君と手を繋ぐ。未羽君の手はいつものようにすごく温かくて、すごく優しい感じがした。
「今日が最後か〜あっという間だったなぁ…」
「そう…だね…あっという間だった。でも、すごく長い時間だった。失敗して、反省して、慰めてもらって、ただひたすら頑張って、息抜きで未羽君が私を幸せにしてくれたから頑張れて、あっという間だけどすごく長くて、楽しくて、幸せで、私自身、すごく成長できた気がする。まだまだ私の目標には届かないけど、少しだけ…近づけた気がする」
「そっか…」
「あ、未羽君に言っておくことあった」
「何?」
未羽君はなんだろう。と言うような表情をする。これだけはきちんと言っておかないといけないこと…それは……
「今日で私が実習終わるからって明日から生徒とか他の先生とかにデレデレしたら怒るからね。約束破棄だから!わかった?」
「あ、はい。わかってます」
「ほんとかなぁ…」
未羽君、すぐに女の子にデレデレしそうだから安心できない……女の子甘やかすから女の子に好かれそうだし……
「安心して、僕、一度好きになったらフラれるまでは一途だから」
「なんか安心できない言い方だなぁ…」
ほんと、頼むよ。もし、私以外に振り向いたら本当に約束破棄してやるからね。
「信じて」
「信じる」
真剣な声で、未羽君にそう言われたら私は信じることしか出来ない。だから、信じる。そう、決めていると駅に到着して、私は未羽君と手を離して未羽先生と一緒に歩き始める。
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