第66話 月曜日の相談





「未羽先生、どうしたんですか。ため息なんて吐いて珍しいですね…」


実習のお昼休憩の時間、私の隣でため息を吐いた未羽先生に私が尋ねると、未羽先生は机の上に置いていたプリントを持ち上げて私に渡す。


「え!?」


未羽先生から受け取ったプリントを見て、私もつい大きな声を出して驚いてしまった。


「どうしたんでしょう…」

「さあ、僕にはわからん……」


悩んだ様子で未羽先生が言うので、私が事情聞いてみます。と未羽先生に言う。未羽先生は申し訳ないけどお願いできるかな。と言ってくれた。未羽先生にはいつもお世話になっているから恩返しと言う意味でもしっかり頑張ろう。と思い、お昼ごはんを食べたらすぐに職員室を出た。


「あ、二瓶さん!」


私は廊下を歩いていたりんちゃんに声をかける。私が声をかけるとりんちゃんはビクッと怯えるような反応をする。


「み、みな先生…え、えっと……」

「え、ちょっ、二瓶さん、そんな泣きそうな顔しないで…え、えっと、場所、変えようか」


今にも泣き出してしまいそうなりんちゃんを連れて、近くの空き教室に入る。


「ほら、二瓶さん、落ち着いて…」

「未羽先生、怒ってました?」

「大丈夫、未羽先生はあれくらいのことで怒らないから。安心して…私が保証する」


私がそう言うとりんちゃんは少しだけ安心した表情をしてくれる。


「どうしたの?未羽先生、怒ってはいなかったけど、驚いてたよ。どうしたんだろうって……」


あの日、たしかにりんちゃんは私と未羽先生に宣言した。次のテストは満点取ります。って…りんちゃんなら本当に取ると思っていたから…私も、今朝の小テストの結果を見てビックリした。


「みな先生、私…えっと、その……」

「ゆっくりでいいから、落ち着いて話して」


りんちゃんが息を乱しながら私に何かを言おうとするので、まずはりんちゃんを落ち着かせる。軽く深呼吸をさせて息を整えさせてからりんちゃんが話してくれるのを私は待つ。


正直、私も未羽先生も予想すらしていなかった。まさか、りんちゃんが今朝の小テストでまた結果を残せないなんて…りんちゃんは宣言通り高得点取るとばかり思っていたから……


「みな先生、私っていつもどうやって問題解いてましたっけ?いつもどうやって計算してましたっけ?」


ん?ちょいちょい、え?どういうこと?ん?


「その…ずっと、手を抜いていたから…計算の仕方忘れて計算速度遅くなって、どうやって問題解けばいいのかわからなくなって…」


えっと…つまり、数学できない癖がついてしまったってこと…なのかな?





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