第43話 授業後の違和感
「みなちゃん、遅くまでごめんね。結構遅い時間になっちゃったし送ってくよ」
「え、そんな、いいよ。1人で帰れるから」
未羽君の暮らしているアパートの側で食事をしたのに、また電車に乗ってわざわざ送ってもらうのは申し訳なさすぎる。まだ20時過ぎなので1人でも気にせずに帰れる時間だし…
「いいから…送らせてよ」
未羽君はそう言って私と手を繋いで歩き始める。何これ、幸せすぎるんですけど…でも、ダメだ。流石に申し訳ない。
「未羽君、やっぱり1人で帰るからいいよ。ほんと、未羽君にわざわざ電車乗ってもらうの申し訳ないからさ…」
「じゃ、じゃあさ、僕のアパートすぐそこだからさ、車で送らせてよ」
「え、未羽君車持ってるの?」
「うん。一応…最近、買った。まだ、定期通ってるから電車通勤だけど定期切れたら車通勤にする予定」
「そうなんだ」
未羽君の運転する車、乗りたい。未羽君が暮らすアパート、見てみたい。そういう欲求に負けて未羽君に送ってもらうことになった。
「鍵、取ってくるから少し待ってて」
「未羽君の部屋見てみたい」
「散らかってるよ」
「見てみたい」
「少しだけだよ…」
そう言って部屋の扉を開ける未羽君に続いて未羽君の部屋に入る。散らかっていると言った癖にめちゃくちゃ綺麗なんですけど、下手したら大学のプリントだらけの私の部屋より綺麗な気がする…
「えっと、鍵持ったけど、せっかくだし、コーヒーでも飲んでく?」
「飲むー」
少しでも長く未羽君の部屋にいたかったから迷わずコーヒーをいただくことにした。未羽君の部屋でコーヒーを飲みながらお話をしていると、私が気になっていた映画のブルーレイを未羽君が持っていたので、勢いで未羽君の部屋で映画を観てしまった。TVの画面を見るために未羽君と並んでソファーに座れたり、なんかいろいろと幸せすぎる時間を過ごせた気がする。でも、なんか不思議な感じがした。未羽君の私への態度と言うか、何かが以前と違う気がした。でも、私はばかだから、この時は特に気にすることなく考えすぎかなぁ…と思っていた。
「未羽君、本当に夜遅くまでごめんなさい」
「いいよ。気にしないで、明日寝坊しないようにね。明日も一緒に頑張ろう」
「うん!」
日付けが変わるくらいの時間に未羽君に車で家まで送ってもらう。未羽君の車の助手席から降りて未羽君を見送る。今日は、学校、電車、飲食店、未羽君の部屋、未羽君の車にいる間、ずっと側に未羽君がいてくれた。未羽君を見送って1人になると少しだけ寂しさを感じてしまった。
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