第26話 日曜日の先生
土曜日、オープンキャンパス1日目は未羽君といろいろなところを見た。大学の体験授業を未羽君と一緒に受けたり、食堂で一緒にお昼ごはんを食べたりしてすごく楽しかった。
そして日曜日、オープンキャンパス2日目、今日は未羽君がゼミ生代表で公開授業をした。また、未羽君の授業を見ることができて私はすごく幸せで、楽しい時間を過ごせた。
「調子はどうかな?」
未羽君の授業が終わり、未羽君がいろいろ片付けとかをしている間、私は未羽君のゼミの先生とお話することになった。
「未羽君のおかげで…頑張れてます」
「そっかそっか、オープンキャンパスに来たってことはこの大学を受験してくれるのかな?」
「そのつもりです…」
「君ほど努力が出来る子なら…受験なんてしなくても通らせてあげたいよ……推薦枠、確保の交渉をしてもいいけど…」
嬉しく思う。私と、未羽君の努力を評価してもらえて本当に嬉しい。
「ありがとうございます。でも、私は、高校からは絶対推薦をもらえないので…」
1度、自暴自棄になり、たばこに手を出したことから、推薦は100%不可能だろう。
「一回くらいの誤ちなんて誰でもすると思うけどねぇ。間違えて、反省し、立ち上がり、努力する。これさえできれば私は、十分に推薦されるに値する人間だと思うが…」
「特別贔屓はされたくないです。真正面から受験して、合格して、堂々と通いたいです。そうじゃないと、未羽君に胸を張れる教師になんて絶対なれませんから」
「健闘を祈るよ。やっぱり私は君みたいな人に教師になって欲しい。2年生になるとゼミを選ぶことになる。もしよかったら私のゼミに来るといい」
「はい。ありがとうございます。そうなるように頑張ります」
こんな私を評価してくれているのは嬉しかった。未羽君がすごい。と言う先生だけあって、人柄も、この先生の授業も好きだ。私の方から頭を下げて、この先生に教えていただきたい。本気でそう思う。
「そっかぁ、じゃあ、みなちゃんは僕の後輩かぁ」
いつから聞いていたのか、私の後ろにいた未羽君がちょっと寂しそうに言う。
「嫌?」
「嫌じゃないよ。みなちゃんが夢を叶える一歩だもん。でも、みなちゃんがゼミに入ると僕はみなちゃんの先輩になっちゃうんだなぁ…って…」
「未羽君はいつまでも私の先生だよ。私の自慢の、1番の恩師が未羽君だから」
迷うことなく私は未羽君に言う。未羽君は嬉しそうに微笑んで照れ隠しをするように私の頭を撫でてくれた。そんな私たちのやり取りを見て笑いながら先生は立ち上がり、他の学生のところへ向かって行った。
オープンキャンパスを経て、目標を得た。大学に合格、そして、ゼミに入る。それが、私の夢を叶えることへの第一歩だと思った。
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