第21話 月曜日の告白
未羽君がお姉ちゃんの部屋に入ってから何分経過しただろうか。数十秒時間が経過する度に私はそう考えていた。心臓に悪い…もし、未羽君とお姉ちゃんが付き合ったら……怖い。辛い。
気づいたら私は泣いていた。
何分経ったのかな…まだ、たったの3分…あと、どれだけの時間、1人でこんな辛い思いをしないといけないのだろう。1分1秒が永遠のように長く、私の心臓の鼓動を加速させる。恋は病気と同じと言う言葉を聞いたことがあるが、それはこういうことなのだろうか、この状態を数十分続けていたら過呼吸で倒れてしまうのではないか。と言うくらい私の息は乱れていた。
いや、もしかしたら今はまだ幸せなのかもしれない。今はまだ、未羽君と私の将来を妄想することが許されていて可能性が0ではない可能性があるのだから……
長いなぁ…未羽君、上手くいったのかなぁ…もし、上手くいっていたら、私はどんな顔をするのだろう。いつも、お世話になっている未羽君の恋が実ったのならば、私は笑顔で祝福してあげたい。と思い、今の顔じゃダメだ。と涙を止めて、ちょっと雑な笑顔を作る練習をして未羽君が戻ってくるのを待つ。
「みなちゃん、入っていい?」
未羽君がお姉ちゃんの部屋に入ってから10分ほど経過すると未羽君が私の部屋の扉をノックする。私がいいよ。と言うと未羽君は部屋に入って来た。
どうだった?と聞きたいが、怖くて聞けない。口が動かない。どうしよう。
「ダメだった。ゆき先輩、今は忙しいし、新しい生活に慣れるまでは彼氏作りたくないって…」
安心した。未羽君には申し訳ないけど…よかった。と思った自分がいる。ちょっと腹立たしい。いつも、お世話になっている大好きな未羽君の不幸を喜ぶなんて…自分が情け無い。
でも、お姉ちゃん、今は…って何?やっぱり未羽君は誰にも渡したくない……
「未羽君にはもっといい人が見つかるよ。だから、元気出して…」
「ありがとう。でも、2年以上好きだったから、やっぱりちょっとショックかな…ゆき先輩以上の人なんて……」
「わ、私とか、どう?」
口走った。勢いで、私は、取り返しのつかないことを言ってしまったのではないかとゾッとした。
「あはは…ありがとう。嬉しいな」
………これ、絶対、私が冗談で言ってると思われてるわ。冗談じゃないのに…私、本当に未羽君のこと大好きなのに。
「未羽君のだらっ!もうしらない!出てって!」
乙女心がわかっていない未羽君にぶちぎれて、私は泣きながら未羽君を部屋から追い出した。何?あのタイミングであんなこと言ったのにあの反応って、私は本当に対象外ってこと?そーですか。よーくわかりましたよ。
その後、部屋の外で未羽君にガチ土下座されたので、今度家庭教師の時間外に私の自習に付き合うのを約束させて許してあげたが、やっぱり私の言葉は未羽君を慰めるための冗談だと思われていた。冗談でそんなこと言わないよ。本当に未羽君はばか。
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