第16話 水曜日の約束(2週目)
「あっ…明日祝日か……」
火曜日、未羽君と約束していた水曜日のお出かけの集合時間を確認して明日が祝日で学校が休みであることを思い出した。それにしても、祝日に2人でお出かけとかもう完全にデートじゃん。
翌日の朝、早起きしたのにも関わらず私は慌てていた。服選びに時間をかけすぎた。今日は祝日で学校はお休みなので制服はダメ。2人きりでお出かけなので気合い入れた服装で行きたい。とめちゃくちゃ悩んでいたら約束の10時に間に合うか危うくなってしまっていた。
「未羽君…お、お待たせ…」
私よりも先に駅に来ていた未羽君に私が声をかけると未羽君は私に挨拶をしてくれた。私は早々に未羽君の手を握るが未羽君は嫌な表情をしないでいてくれた。
「未羽君、今日どこ行くの?」
「大学」
「ん?」
「大学だよ」
待って、思考が追いつかないよ。どゆこと?
「今日はね。ゼミの先生が大学でセミナー開く日なんだ。算数とか数学の先生を何人も育ててきた先生のセミナーだよ。興味ない?」
「興味あるけど…私も行っていいの?」
「うん。先生に頼んで許可もらったから」
「じゃあ、行く」
デート…とはかけ離れている気がしたが、たしかに興味がある。きっと、私が何に興味を持ってくれるか考えた結果がこれなんだろうな。と考えるとちょっとかわいい気もした。何より、普段、未羽君が見ている景色を私も見てみたい。と言う気持ちになった。
「今日のセミナー?はどんな内容なの?」
「算数とか数学授業の実践分析に、実際に先生が授業してくれるよ。あとは…」
「ん?」
未羽君はあまりいいたくない。と言うような様子で少し恥ずかしそうな仕草をしていた。こんな未羽君は珍しい気がする。いや、私の前ではしっかりしているだけで、意外と大学での未羽君はこんな感じなのかもしれない。そういう普段、私と関わっている時とは違う未羽君の一面が見れるのは嬉しい。
「僕がゼミ生代表で研究授業やります…」
…………めっっっちゃ見たい!!!
けど、今日、私がセミナー行きたくない。って言ったらどうするつもりだったんだろう。とか思ってしまう。まあ、私が断るわけがない。って確信していたのだろう。実際その通りだから、こんなふうに私が拒否したら。なんて考えるのは意地悪でしかない気がする。
「めっちゃ楽しみ」
「生徒役やらせてやる……」
私が煽るように言うと未羽君にそう宣言された。まあ、未羽君の生徒はし慣れてるから大丈夫。
普段とは違う未羽君の一面が見られそうですごく楽しみな気持ちになりながら私と未羽君は電車に乗った。
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