第12話 お休みの金曜日
未羽君とのデートから2日後の金曜日、今日は未羽君が家庭教師に来てくれる日…のはずだった………
「バカでも風邪ひくんだね…」
「お姉ちゃんうるさい……」
私は風邪をひいてしまっていた。熱を出して学校を早退…当然、未羽君の家庭教師もお休み。私、なんで今日風邪ひいたんだよ。菌を恨む。
「み、未羽君は?」
「休みに決まってるでしょ…」
ダメ元で聞いてみたが、やっぱりお休み…泣きそう。辛い。未羽君に会いたい……
「な、治った!」
「ばかなこと言わないで大人しく寝てなさい」
お姉ちゃんは私にそう言い残して私の部屋の扉を勢いよく閉めた。
「未羽君…未羽君…未羽君…未羽君…未羽君…会いたい…会いたい…未羽君に……会いたいよ……」
布団の中で蹲り何度も泣いた。未羽君の名前を呼んで会いたい。と繰り返していた。我ながらやばいな。と思う。こんなことを未羽君が知ったらどう思うのだろう……
泣きながらそんなことを考えていると私の部屋の扉が叩かれた。
「みな、未羽がお見舞いに来てくれたけど、寝てる?」
お姉ちゃんが扉越しに私に尋ねると私はバサッと勢いよく布団から飛び出した。
「あ、会う!」
「じゃあ、呼んでくるね」
お姉ちゃんにそう言われてドキドキする。あ、でも、待って、髪の毛ボサボサだしパジャマ姿…
「お邪魔します」
私が慌てて髪の毛をなおしていると未羽君が部屋に入ってくる。
「ちょ、未羽君、ノックしてよ……」
「一応、何回もしたんだけど…風邪だから声出せないのかな。って…」
髪直すのに夢中でノックに気づかなかった。こんな姿見られて恥ずかしい……
「ていうか、みなちゃん、何してるの?病人なんだからちゃんと寝なさい。日曜日までに治らなかったら月曜日来ないからね」
「え、それは嫌!寝る!」
髪の毛ボサボサ、パジャマ姿を見られたくない。という理由と相まって私はすごいスピードで布団に戻った。
「元気そうでよかった。ちゃんと月曜日来るから安心してね。お見舞いでプリン買ってきたから、夜ご飯食べた後とかに食べてね。じゃあ、長居するのも申し訳ないから僕は帰るね」
もっとゆっくりしていけばいいのに。そう言いたかったがわがままだ。未羽君に風邪を移したらいけないし…
「未羽君、わざわざありがとう」
「いえいえ、お大事に」
未羽君は笑顔で私に言ってくれる。その笑顔を見ただけで私は幸せな気持ちになる。本当は、今日会えないはずなのに、わざわざお見舞いに来てくれた。その事実が私を幸せな気持ちにしてくれて、私はゆっくり休むことができた。
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