第9話 水曜日のボーリングデート
「未羽君、重いぃ…」
「じゃあ、もう少し軽いやつにしなよ。ほら、これとか」
ボーリング場に到着してボールを選んでいる際、ちょっとだけわざとらしく非力アピールをしてみるが、はい。わかっていたけど不発に終わった。
「未羽君、投げ方わからないよ〜教えて〜」
「えー、僕もボーリング下手くそだからなぁ…下手くそ同士適当に楽しもうよ」
そこはさぁ。私の手握って一緒に投げてくれたりするところじゃないの!?
「未羽君、汗かいてるよ〜私が拭いてあげる」
「あ、自分のタオルあるから大丈夫だよ」
私が通学用のリュックからタオルを取り出して未羽君の汗を拭おうとすると未羽君は自分のリュックからタオルを取り出して汗を拭いていた。いやいや、お願いだから私に拭かせてよ!!!
このように、せっかくのボーリングデートなのでいろいろアプローチしてみたが………こうなったらお手洗いでもう少しスカートの長さ短めにしてみるとかするしかないのか………未羽君、ガード硬すぎぃ!
「みなちゃん、どうしたの?」
「………なんでもない、未羽君のばか」
「またそれぇ……」
未羽君がばかだからばか。って言ってるだけだもん。
「………僕、喉乾いたんだけどみなちゃん、何か飲む?」
「カルピス…」
「じゃあ、買ってくるね」
「あ、お金…」
「これくらい大丈夫だよ。気にしないで」
未羽君はそう言って自販機に向かい私が頼んだカルピスと未羽君が飲むコーラを買ってきた。コーラかぁ……
「わ、私、やっぱりコーラ飲みたいなぁ……」
未羽君がコーラのペットボトルに口をつけたのを確認して私は未羽君に言った。
「じゃあ、コーラ買ってくるね」
え、ちょっと待って、そんなわがまま聞かないでよ。優しすぎるでしょ……
「あ、あぁ…でも、えっと、一口!一口でいいの!未羽君のコーラ飲ませて!!」
財布を持って立ち上がる未羽君に私が慌てて私の望みを未羽君に伝えると未羽君はキョトンとした表情をしていた。
「でも、僕もう口つけちゃったし…」
「いいから!気にしないから!」
「じゃあ、どうぞ……」
未羽君からコーラのペットボトルを渡されて私はドキドキする。震える手でペットボトルのキャップをあけて私はペットボトルに口をつける。未羽君と関節キス…最高♡
「おぇっ……」
「え、みなちゃん!?大丈夫!?」
「やっぱ炭酸むりぃ…」
「え?炭酸苦手だったの?え?大丈夫?」
やばい。めっちゃ恥ずかしい。え、これ、私が関節キス狙ってたのバレないよね?と不安に思ったが、乙女心を1ミリも理解していない鈍感にぶちん野郎の未羽君は慌てて私を心配するだけだった。
気づけよ…未羽君のばか……
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