第5話 事務所

   

「るいと先生! 机の上、散らかさないでください!」

 事件の数日後。

 探偵事務所で調べ物の最中さいちゅう赤羽根あかばね探偵は蘭華らんか助手に叱られていました。

「まったく……」

 彼が使い終わった本を、彼女が書架へ戻していきます。しかし、途中で手が止まりました。

「この本、ここでいいんでしたっけ?」

「どうした、森杉もりすぎくん。何かおかしな点でも?」

「ええ、本の高さが合わなくて。無造作に置いてあると同じサイズに見えたのに、こうしてきちんと並べたら、違いがはっきりして……」

 どうやら彼女は、本の場所を間違えたようです。それ自体は、赤羽根探偵にとって嬉しい話ではないのですが……。

 この瞬間、彼の頭の中で何かが閃き、口元には笑みが浮かびました。

「そうだ、並べてみよう。証拠になるはずだ」

   

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