第5話 校舎裏の会話
「あら」
赤毛の少女の反応に、金髪の少年はスッと目を開けた。
上段から
「何よ?」
「……」
問いかけを受けても、やはり
「ふん、つまらないやつ。まあいいよ、ちょっと顔、貸してくれる?」
刀子朱利は誘導するように、氷潟夕真の横を
金髪の少年はしたがうままに、赤毛の少女のあとへと続いた。
*
二人は
「
「ああ……」
非常用出口の前で腕を組み、刀子朱利は語りはじめた。
氷潟夕真は例によってハンドポケットのまま、つぶやくような
「あんた、もうちょっとハキハキしたらどう? その態度、昔からすごくイラつくんだよね」
「……」
氷潟夕真は校舎の
「ああ、もういい、わかったから。で、
「
「そうそう、ウツロ。ついこの間まで、俺は
「甘く見るな、朱利。ああいうタイプは、
「あら、ずいぶん高く買ってるんだね。もしかして、
「さあな……」
「まあ! どうせまた、にらみ返してくるのかと思ったら、意外だね!」
「……」
刀子朱利は
「ウツロのアルトラ、『エクリプス』……虫を
「虫が
「はっ、急に
「お前なら、どうなんだ?」
「ふん、あんなカスみたいなアルトラ、わたしの『デーモン・ペダル』に、かなうわけないじゃん?」
「
「ああ、腹立つ。なんなのあんた? 何が言いたいの?」
氷潟夕真は体を返し、その場をあとにしようとした。
「ちょっと、待ちなさいよ! 話はまだ――」
「授業が始まるんだろ?」
「っ……」
たくましい背中は、そのまま遠のいていく。
刀子朱利は後ろから、
「
「……」
その単語に氷潟夕真は反応して、立ち止まった。
「あんた、ずいぶんあいつにご
刀子朱利がほほに手を返した次の瞬間、
「――っ!?」
遠くにいたはずの彼が、
目にも止まらない速さで移動したのだ。
氷潟夕真の
「な、何よ……わ、悪かったわよ……」
「……」
彼は体を
「わたしはウツロと
氷潟夕真は何も答えず、歩くのをやめすらしない。
話を聞いているのはわかっているが、あまりのいけすかない態度に、刀子朱利はご
「わたしのママは
「ママの
「てめえっ!」
「はいはい、わかってる。
「ふん……」
遠くほうではぐらかされ、彼女はいよいよ
「ほんっと、ムカつくやつ……ま、せいぜい役に立ちなよ、夕真? わたしの『コマ』としてね。ぷっ、あははっ!」
校舎裏でひとり、刀子朱利は笑いつづけた。
(『第6話 教室までの
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