第4話 ウツロにまつわる略奪宣言
「わたしも
「――っ!?」
はち切れそうな制服の
ウツロは反射的に後ろへ
「……」
口を手で
「……ば、朱利っ! なにやってんだよ!?」
「うるさいなー、
「な……」
にらんでくる顔に
「刀子さん」
彼女は腕を組んで、冷静な
「あなたが何を思い、どう行動するかは、あなたの自由だけれど、こういう
「ふん……」
「はーい、すみませんでした、日下部せんぱーい。でも」
「――?」
わざとらしく両手を挙げ、「参りました」というしぐさをしたが、
「あんまりわたしを
「……」
ひらりと後ろに手を組みなおして、前のめりの
だが日下部百合香は、負けじと
「ぷっ! やだなー、
刀子朱利は
「じゃ、お先にー。あ、そうだ、
「……」
彼女は
「佐伯くんは、わたしがもらうからね?」
そう言ってもう一度、不敵にほほえんだ。
顔は笑っているが、その目は明らかに、真田龍子を
「わーい、
そのまま
ウツロは遠ざかっていく彼女の背中を見つめた。
刀子朱利……
もしかして俺を、『
彼は気づいていた。
あの
あれは
人間を
刀子朱利……
いったい彼女は、何者なんだ……?
ウツロは先ほど受けた
いっぽう、真田龍子は
ウツロにキスを……
こんな
しかもあの女はそれを
そう『
刀子朱利、許さない……
このように真田龍子は彼女にしては
「なんなの、あいつ、頭おかしいんじゃない? あ、龍子、あんなやつのこと、気にしなくていいから……」
「いや、瑞希、わたしは平気だから……でも、ありがとう……」
真田龍子は人格を
「ったく、昔からああいうとこあるんだよね。ネジがぶっ飛んでるっていうかさ。きっと母親が現役の防衛大臣なのを、鼻にかけてるんだよ」
長谷川瑞希は気を使って、真田龍子の気持ちを落ち着かせようと、口を動かした。
「刀子さんのお母さん……防衛大臣って、
「ああ、そうなんです。『刀子』は
彼女は流されるまま、なじみの少女の
「そういえばあなたたちのクラスに、もうひとり
「ああ、
「
「二人とも
会話はいつの
「おほん、
「うわっ!?」
音楽教師・
「うわっ、じゃないよ。なんだか先生、傷つくなー。ほらほら、授業が始まっちゃうよ? 今日も
彼は残った者たちへ音楽室からの退室を
「真田、行こう」
「あ、うん、佐伯……」
ウツロは真田龍子の手を
「……」
その手は
「長谷川さん、わたしたちも行きましょう?」
「え、あ、はい、先輩……」
四人は連れ立つように、音楽室をあとにした。
(『第5話
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