第59話
二時間が経過した。
機動戦闘車の攻機手榴弾を、全て人攻機に移した。
アジリアのダガァに二発。デージーのシャスクに一発だ。これは最終的な誘引場所で、死体の山を築くのに使う。
部隊の最編成も済ませる。リリィとマリアはショック状態にあり、戦闘の継続は難しいと判断した。そこでシエラチームに編入させ、代わりに俺とサンがアルファに編入する。俺が運転手、サンが射撃手だ。
サンのシャスクは片腕も武器もないので、囮と遅延に使うことにする。
誘引再開。まずチャーリーとシエラを先行させて、アルファは単独で群れに最接近して挑発する。その後、待機させていたサンのシャスクと合流し、自動操縦で単独で北上させる。この時スモークディスチャージャー(車体並びに躯体に取り付けられた発煙筒発射機)を躯体に取りつけたまま作動させて、大量の異形生命体を引きつけさせるのだ。
異形生命体が群がったところでサンのシャスクを自爆させて、とどめに攻機手榴弾の一斉射撃を行って足止めする。
異形生命体は死体になるか、死体に食いつくかのどちらかだ。腹の膨れた奴もいるだろうが、群れに帰る流れができるまでは、その場に留まるだろう。
俺は機動戦闘車の銃座から、注意深く群れを双眼鏡で覗き込んだ。群れの斥候の様なマシラが何匹か、アメリカドームポリスの方へと走っていく。それから十数分すると巨大な群れ全体が、きた道を引き返そうとゆっくりと活動を再開した。
申し訳ないが、もうしばらく鬼ごっこに付き合ってもらうぞ。
銃座から降りて荷台を覗き込むと、プロテアがいじけて床に銃把をゴリゴリと擦り付けていた。かなり気が立っているのか、俺と目を合わせた瞬間鼻息を荒くし、苛立ち紛れに床を何度も殴りつけた。
荷台にはサンの姿もあった。彼女は床に布を広げて、アサルトライフルの分解整備をしている。この状況下で意識を集中させて、黙々とアサルトライフルを組み上げていく。その瞳に怯えや動揺の色はなく、見る者を落ち着かせるほどしっかりしていた。模擬戦以降、一皮剥けたようだ。
「そろそろ動き出すぞ。各員、戦闘配置につけ」
俺は運転席へと飛び込んだ。ダッシュボードの無線機を手に取り、隊全員に通信を入れる。
「先に提出したプランの内、Bを採用する。チャーリーとシエラは所定の場所へと先行せよ。指揮権はアジリアに一任する。アルファ戦闘準備、これより群れに突撃する」
各部隊のリーダーから返事がする。二時間も休みがあっただけ、各自それなりに気力を取り戻したようだ。
そんな中荷台からプロテアとサンの会話が聞こえてくる。
「サン……お前……怖くないのか……」
プロテアの声は震えていた。今まで見せていた気風のよさや、はっきりとした物言いは鳴りを潜めている。そして不安に引きずられたかのように、非常にたどたどしかった。
サンが笑って息を吐く気配がする。
見ていない俺にも分かる。それは微笑(ほほえみ)ではなく、嘲笑(ちょうしょう)だった。サンの性格からすると、怖気づくプロテアを笑っているのではない。
「何を今さら言ってるの? それに……他にどうしろと言うの? 戦うしかないんだよ」
いい意味で覚悟を決め、悪い意味で諦めているのだ。俺のことを非常に恐れているらしい。
「だからってお前……これからあのクソッタレ共の中に突っ込むんだぞ!?」
プロテアは不安と恐怖を共有することで、緊張を和らげようとしているようだ。だがサンはそんな彼女を、またもや嘲笑った。
「あのねぇ……そもそもプロテアがちゃんと指揮してれば、私たちこんな面倒なことにならずにすんだんだよ。ちゃんと作戦通り動いて、ちゃんと指示通りしてれば、危険なんてなかったのに。それをねぇ……あんなにされちゃ困るのよ……」
「あんなことって……ワリ食ってたのは俺たちだぞ! 俺たちは自分を守るために必死だったんだぞ!」
サンはアサルトライフルの整備を終えたようで、弾倉を差し込みスライドさせる鋭い音がした。
「だったらあんまりナガセを怒らせないでくれるかな……そうすれば昔みたいに優しいままなんだから。そうすれば危ないことなんて……何もないんだから……帰って……また釣りが……できるんだから……」
しばらく沈黙があった。やがてプロテアが、気遣うような声をだした。
「あいつがそんなに怖いか……お前模擬戦してから……変わったな……? やっぱ何かやらされたのか?」
「負け惜しみ? かっこ悪いから止めなよ」
途端、サンが厳しい声でいい返した。
サンは厳しい訓練に耐え、必死で戦い、プロテアたちから勝利をもぎ取ったのだ。それを『やらされた』と言われるのは、侮辱以外の何物でもない。
だがプロテアは彼女たちの『盾』を自負し、そのために研鑽を積んできたのだ。盾が矛ではなく、守るべき者に倒された。あの模擬戦はプロテアを神経質にさせていた。
「喧嘩売ってんのかテメェッ!」
プロテアの絶叫が響く。
荷台から取っ組み合う物音がし、車体が軽く揺れ始めた。
こんな時に何をやっているんだ!?
急いで荷台の扉を開けると、プロテアがサンに馬乗りになり、振り上げた拳を震わせたところだ。
プロテアの拳には血がついていており、サンは鼻血を流しながら無機質な眼でプロテアを見上げていた。
俺が荷台に上がると、プロテアはショックで青ざめた顔を向けた。そして鼻血を拭うサンと、血の付いた拳を交互に見やった。
「違う……ナガセ……俺は違う……こんなことがしたかったんじゃあ……俺……俺は……」
プロテアはサンの上に泣き崩れた。
サンは最初鬱陶しそうに身動ぎしたが、慰めるようにプロテアの背中に手を回して、ゆっくりと撫で始めた。咽びがより激しいものになった。
どうしてこう問題を起こすか。プロテアもリタイアさせるか? だが彼女も降りると、機動戦闘車の火力は低下する。群れを上手くさばけるかどうかわからん。それに補充要因はシェルターのアイリスしかいない。パギを恐怖に負けた人間、気性の荒い運転手と一緒にできん。
プロテアにはきついかも知れないが、補欠として同乗してもらいたい。
俺は二人に近寄ると、プロテアの肩を軽く叩いて、その顔をあげさせた。
「プロテア。しばらく横になっていろ」
荷台の壁に取り付けられた、簡易ベッドを展開する。そしてその上に横たえ、しっかりとベルトで固定した。プロテアはその間ずっと、顔を手で覆い体を震わせて、嗚咽をあげ続けていた。
俺はサンを手招きして運転席に戻る。サンは運転席後ろの銃座へと登った。
アクセルを踏もうとしたが、気掛かりがあって躊躇った。運転席の天板から顔を出すと、銃座に座るサンを見上げた。サンはリラックスしており、風を浴びて何処か心地よさそうだった。
「許せるか?」
サンが俺に気付く。「私が挑発したし、これはね」と、彼女は血の跡が残る鼻を擦った。それから「心の中で見下すのを止めればもっとね」と付け足した。
「お前は大丈夫か?」
「一回経験しているし、今も続いている。だから何が本当に怖いか分かっているから」
サンは俺から逃れるように、銃座に乗る腰を少しずらした。今でも下手をすれば、俺に殺されると固く信じているのだ。それが彼女の最も恐れるところで、彼女の最も安堵するところだ。俺は確実に殺すだろうし、従えば相応の安全を保障してくれるということだ。
「そうか」
車内に戻りアクセルを踏んだ。車輪が吠えて、砂塵を巻き上げる。
俺は車体をUターンさせ異形生命体の方に向けると、無線機をとった。
「作戦再開だ。チャーリーとシエラは所定の位置まで先行せよ! 我々アルファが誘引の仕上げを行う!」
チャーリーとシエラから短い返事を受け取る。そしてサンのシャスクを残して、両チームは離脱地点の海へと走っていった。
俺はそれを見送って、より強くアクセルを踏み抜いた。機動戦闘車は、徐々に引き返していく異形生命体の群れへと肉薄していく。
「サン。戻れたら勲章モンだ。何が欲しい?」
「あ。人攻機の指のシャフトを一つ」
落ち着いているな。
「貴重なパーツだぞ? そんなもん何に使うんだ?」
「釣り竿にいいかなって、前から思ってたんだ。駄目? 駄目ならいいんだ」
「二本くれてやる。デージーの分もな。俺が言うまでちょっかいは出すな。いいな」
「わぁ。了解」
異形生命体の群れは、南西へと流れて行こうとする。その先頭をこちらに食いつかせれば、後続もその流れに追随するはずだ。
俺は大きく回り込むようにしながら、異形生命体の先頭と正面ではちあう様に、機動戦闘車を走らせた。赤い肉のうねりが目の前に広がり、それが少しずつ大きくなっていく。近づくにつれ赤のうねりがハッキリし、マシラやジンチク、ムカデなどの個体が視認できるようになった。
奴らが俺たちを認識しているかどうかは分からない。だが進行先である俺たちの方へ、ひたすら突っ込んでくる。
もしタイミングを違えば、ひとたまりもないだろう。
ああ。久方ぶりの恐怖だ。
胆が熱くなり、腰が浮きそうになる。逃げ出したいのではない。飛びついてもみくちゃにされたい。そしてズタズタに引き裂かれながら、獣のように吠えたいのだ。俺が人だった最後の証明である、人としての肉体を捨てたいのだ。
異形生命体との相対距離、二百メートルを切った。
頃合いだ。俺はハンドルを北に切って、車体に取り付けられたスモークディスチャージャーを作動させた。
機動戦闘車は一瞬にして、発煙筒が吐く煙に飲み込まれた。キャリアは灰色の軌跡を残しながら、群れの縁をとる様に北東へと走った。
異形生命体の先陣が、煙に反応する。そして進行方向を、徐々に煙の濃い方向へとずらしていき、後続もそれに倣った。やがて群れの流れがアメリカドームポリスへの南西から、反対方向への北東へと変わった。
誘引に成功。異形生命体の群れは、このちっぽけなキャリア目がけて猛進を再開した。一段階目の発煙筒が切れる。すぐさまパージして、新しい筒に火をつけた。
バックミラーには、暴力的な異形生命体の群れが映っている。それらは砂塵を巻き上げて、地震のような轟音を立てつつ接近してくる。
キャリアの方が足は速いが、その圧倒的な数は離れていても俺の心を押し潰そうとした。
「気分はどうだ?」
俺はもう一度サンの調子を確かめた。
「そんなこといっている限りは大丈夫なんでしょ? あまり脅かさないで」
意外にも落ち着いた声が返ってくる。
自画自賛するつもりじゃないが、戦に慣れ指揮を執る俺が、一緒にいるおかげだろう。恐らくアルファに俺が居たら、崩壊はしなかった可能性が高い。それでも俺は大多数を動かす立場上、指揮車を離れるわけにはいかなかった。
『俺』――か。早い所、俺以外の男を見つけたいところだ。
キャリアが残置したサンのシャスクまで戻ると、すかさずシャスクへ無線を飛ばした。無人のシャスクのヘッドランプが点灯し、北へ進路を向けて全力疾走を始める。
シャスクの人工筋は、運動性能の高い速筋が多い。群れに追いつかれるまで、多少の余裕があるだろう。
異形生命体はシャスクと機動戦闘車を追撃してくる。俺はほくそ笑むとそのまま群れを引き連れてしばらく逃げる。やがて異形生命体とシャスクの距離が詰まり、残すところ約百メートルまで迫った。
シャスクのスモークディスチャージャーを作動。指揮者のハンドルを切って、シャスクから離脱した。俺たちは先行させた部隊と合流する。
シャスクは瞬く間に煙に飲み込まれる。それでもプログラムは、忠実に北への全力疾走を続けた。
異形生命体は煙の尾を引くシャスクを、一心不乱に追っている。だが物好きな個体が十匹ほど、機動戦闘車に引っ付いてくる。
マシラ七匹、ジンチク四匹。その後ろには第二波、第三波が控えている。
「出番だぞ」
「はい。了解」
サンが機関銃を構えたのか、運転席の背後で金属が擦れる音がした。そして――荷台から銃撃音がした。俺がサイドミラーに視線を注ぐと、荷台の銃座で機関銃が火を噴いている。そして率先してマシラの足を潰し、その機動力を削いでいた。
荷台にいる人間は一人しかいない。
「もういいのか!?」
機関掃射の轟音の中、喉が千切れんばかりに叫んだ。
プロテアの代わりにサンの大声が返ってきた。
「も……もう俺に話しかけるなってさ」
はいはい……無事ならそれでいい。
サンとプロテアはマシラを殺さず、脚を潰すことでその動きを封じた。俺は彼女らが狙いを定めやすいように、キャリアを転がすことに集中する。そうして第二波、第三波をいなしていき、機動戦闘車は異形生命体の群れを振り切った。やがて先行したチャーリーとシエラと合流する。
遥か遠方では囮のシャスクが異形生命体に追い立てられ、危うげにふら付いていた。
双眼鏡を覗き込むと、丁度その時、一匹のマシラがシャスクに飛び掛かった。そのまま押し倒し、殴りつける。金属の破片が舞い上がり、日光を反射して雪の様にきらめく。シャスクに襲い掛かる異形生命体の数が増えていく。マシラが群れて四肢を引っ張り、ジンチクがそこかしこに噛み付いた。ムカデはその隙間を縫って、おぞましい事にシャスクの中に入り込もうとしていた。
俺は双眼鏡から目を離すと、シェルターに通信を送った。
「こちらナガセ。チャーリー3を自爆させろ」
異形生命体の群れの中で、小さな爆発が巻き起こった。それは群がっていたマシラを数匹吹き飛ばし、炎の柱を噴き上げる。
だが如何せん、電子機器を焼却するためのものだ。威力が足りない。俺は背後に控える人攻機隊を振り返ると、異形生命体の群れを指し示した。
「やれェ!」
人攻機隊の腰部ランチャーから攻機手榴弾が発射され、異形生命体の群れの頭上へと飛んでいく。そして炸裂して鉛の雨を降らせると、眼下にいる異形生命体を打ちのめした。
現場には半径五十メートルほどの範囲の死体の山が築かれる。
これが最後の死体の山だ。異形生命体は疲れを癒すため、そして死肉を漁るために、この場に留まる。
誘引できた異形生命体の数は、千は軽く超えるだろう。アメリカドームポリスにいた半数以上を、ここまで誘い出すことができたのだ。奴らがアメリカドームポリスに帰還するのは、速くても半日後くらいだろう。
作戦の第一段階は無事に終了した。
「誘引完了! 作戦は次のフェイズへと移行する。ポイントCへと向かうぞ!」
「ふへぇ~……終わったぁ……」
サンが気の抜けた声を上げる。異形生命体に追いかけ回される緊張から解放されたのだから、多少は気を抜いても仕方ないか。彼女たちは初陣にしては、よくやってくれた。今しばらく気を休めさせても問題はないだろう。
時計を覗き込むと、ブラボーチームとの合流時刻が迫っている。
誘引で何度か迂回を繰り返したため、予定よりも時間を食ったようだ。後は戻るだけだが、その単純作業の中にこそ油断が生まれる。
俺は自分の両頬を張り気を引き締めると、アクセルを踏み込んだ。
部隊は草原を越え、小高い丘を登り始める。
ナビによると、そこを越えれば海が見えるはずだ。道中で上手く調節したため、時間も予定の範囲内である。丘の向こうには広大な海と、そこに浮かぶドームポリスが見えることだろう。
心が安堵と不安の狭間でキリキリと痛む。そして鼻水の様に、鼻血が垂れていった。
何時だってそうだった。
避難民護送の時も、人攻機開発者救出作戦の時も、あの裏切り者どもをブチ殺した時もそうだった。
詰めを誤ると、全てが台無しになる。
丘を越えた先に、異形生命体がいるかも知れない。丘の地盤は緩んでいるかもしれない。ブラボーチームはまだ到着していないかもしれない。
落ち着いてそれらの対処法を反芻する。
丘を睨んでいると、機動戦闘車の両脇を何かがすり抜けていった。指揮車とデージーのシャスクだ。この地獄が終わると知って、先を急いだか。
「馬鹿野郎! 勝手に行動するな!」
すかさず叱咤するが、アホどもの希望を遮るほどではなかった。
指揮車とシャスクは制止を振り切り、丘を乗り越えた。
デージーのシャスクが丘の頂きまで登った。すると足元で地滑りがおこり、躯体がバランスを崩して尻餅を付き、向こう側へとずり落ちていった。丘の上は傾斜が緩やかな崖と変わらない。地表は脆く欠落しやすいのだ。
指揮車は丘を乗り越えた後、すぐに引き返してきた。運転者は我の強いロータス。そして今の指揮車に攻撃力はない。彼女は独断で逃げたということだ。
つまりだ。
奴らがいる。
俺は機動戦闘車を矢のように走らせ、デージーのシャスクの後を追わせた。
アジリアのダガァは追いつかない。それどころか彼女は現状を把握できていないに違いない。
銃座のサンとプロテアには期待できない。跳ね回る車体で、動き回る異形生命体を狙えるものか。
腹を決めた。
「サン! 荷台に引っ込め! キャリアで体当たりを仕掛ける!」
「了解」
こういう時、恐怖政治は本当に有用だな。疑問を挟むことなく命令に従ってくれる。機動戦闘車は丘を越えて、海側へと飛び出した。
真っ先に目に入ったのは、仰向けに横たわるシャスクだ。搭乗者であるデージーはパニックに陥ったのか、復帰動作もせずに躯体の手足をばたつかせている。
そのシャスクへと異形生命体の小さな集団が、群がろうとしていた。確認できるだけでマシラが四匹、ジンチクが十数匹だ。
「デージー! 時間を作るから復帰しろ!」
機動戦闘車をシャスクと異形生命体との間に割り込ませると、ジンチクを数匹撥ねる事に成功した。一匹がバンパーに弾き飛ばされ、二匹が跳ね上がりフロントガラスに打ち付けられた。
フロントガラスにべっとりと血反吐がへばり付いたのでワイパーで拭うと、ゴムは白煙を吹きあげて駄目になった。
更にジンチクを二匹ほど轢き殺す。すぐにタイヤがパンクする音がして、車体が大きく傾いた。溶解液で溶けたか。
「絶対に外に出るな! 出てきた奴は撃ち殺してやる!」
荷台に向かって絶叫すると、ロケットランチャーを一つ抱えて運転席から飛び降りた。
以前ドームポリスが襲われた時、奴らは俺の五月雨ではなく、彼女らを優先して狙った。ならば今回も生身の俺を優先するはずだ。駄目押しで発煙筒も焚いてやる!
「来い化け物! とことん付き合ってやる!」
ロケットランチャーを構えると、擱座したキャリアと機動戦闘車から離れるために走った。
マシラは二匹がシャスクに飛び掛かろうとし、一匹がキャリアに、一匹が俺に狙いを変えた。
俺はシャスクに襲い掛かる一匹に、ロケットランチャーを発射した。無事命中し、マシラの数が一匹減る。後はデージーの反撃、そしてアジリアの応援に期待する他あるまい。
俺は――もう――。
ロケットランチャーの発射機を投げ捨て、俺に飛び掛かるマシラと向き直る。そいつは筋肉をのった上半身を跳躍させ、のしかかろうとしていた。
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