第26話 幕間~カトレア
その日、グノワルド王国の王都の中央、さらにその中枢と呼ぶに値する場所である女王エリーチカ=グノワルドが住まう王宮に、激震が走った。
いや、この言葉は正確ではない。
なぜなら、王宮はたった一人の人間の魔法によって、文字通り機能不全に陥るほどまでに破壊されたのだから。
もちろん、エリーチカが意図してこのような結果を招いたのではない。
長きにわたる人類と魔族の戦争、世にいう人魔戦争は、魔物を従える魔族の勢力が徐々に人類圏を侵し始め、人類勢力は劣勢に立たされていた。
この苦境を打開するために、グノワルド王国では長い年月と入念な準備、さらには周辺国の協力も得てグノワルド王家に伝わる秘術、勇者召喚の儀式を執り行った。
そして人類の希望として召喚されたのは、身にまとっている少々奇抜な服以外は至って平凡な、どこにでもいそうな痩せ型の青年だった。
だから、女王エリーチカのすぐ後ろで護衛役として付き従っていた近衛騎士カトレアも、絶対に油断がなかったかと言えば嘘になる。
それくらい、タケダタケトと名乗った青年からは、一見何の覇気も脅威も感じられなかった。
(この子が勇者……私たちと何も変わらない、というよりとても戦える人には見えないけれど……)
そんなことを考えていたカトレアは、すぐに自分の愚かさを思い知ることになる。
エリーチカの摂政を兼ねている大臣がタケトの魔法をこの場で見たいと言った時には、眉をひそめながら讒言しようかと迷った。
だが、目の前の青年が魔法を使おうとして莫大な魔力が渦巻き始めたことで、その考えは吹き飛んだ。
(止め、殺……いや、とにかく姫様を守らねば!!)
「姫様、ご無礼!!」
他の魔法の素養を持つ者たちがタケトの魔力に怯えて一歩も動けない中、なんとかエリーチカの盾になろうと進み出たカトレアだったが、謁見の間の頑丈な床を次々と突き破って現れた謎の植物にはなすすべもなく、王宮中が大混乱に陥るのをただ見ていることしかできなかった。
「処刑すべきだ!」
「左様、人類を救うべく召喚された勇者が、よりにもよってその象徴たる王宮を破壊するとは笑い話にもならぬ!」
勇者召喚から三日後、最低限の機能を復旧させた王宮の奥まった一室で、あの日謁見の間にいた目撃者の中の主だった者たちが、今後のことについて激論を交わしていた。
いや、今後のことと言うのは建前で、実際には元凶たるタケトという青年の処遇が議題のほとんどを占めていた。
「それにしても、事の真相があの場にいた者達の中だけで収められたのはなんとも幸いだった」
「すでに城の外には魔族の襲撃があったと噂を流し始めている。問題は、それを聞き付けた周辺国にどう説明するかだが……」
「その嘘で押し通すしかあるまい。一歩間違えたら陛下以下王宮の人間が皆殺しになっていた、などと説明出来ようはずがないではないか」
今日も護衛としてエリーチカの後ろで会議の様子を見ていたカトレアは、それは違うと思った。
王宮全体を破壊するほどの数の謎の植物、タケが出現したというのに、死者どころか直接的な怪我人一人すら出なかったのは、あのタケトという青年が魔法をしっかりとコントロールしていたからだと。
だが、あくまでエリーチカの護衛としてこの場にいるカトレアに発言権はない。
とある事情も絡んで、近衛騎士の中でもことさらカトレアには政治に口を出すことが許されていなかったし、誰よりもカトレア自身が己を戒めてきた。
だがこのままでは、あの青年が訳も分からないまま異なる世界に連れてこられ、その挙句に無知から来る致し方のない所業が罪に問われて処刑されてしまうのは目に見えていた。
騎士としての本分と人としての良心の狭間で、カトレアの心は揺れ動いていた。
「まあ待て。何もそう結論を急ぐことはあるまい」
議論も出尽くしてあとは女王の判断を仰ぐのみ、そんな空気に部屋中が支配されたころに、この場にいる者達の中で最高位にある初老の男が口を開いた。
「大臣閣下……」
「あやつが勇者召喚の儀式によって現れたのは紛れもない事実。そして我らはその力の一端を目の当たりにしたにすぎん。その前途有望な芽を摘み取るのはいささか性急というものじゃろう」
「しかし、このまま勇者として認めるわけには……」
「無論、何事もなかったように無罪放免というわけにもいくまい。どうじゃ、ここは監視付きで王都から離れた辺境に密かに飛ばして様子を見るというのは?」
「そ、それは……」 「ううむ……」
大臣の意外な言葉に黙り込み出席者達。
それもそのはず、この場にいるのはいずれも大臣が率いる派閥の一員ばかり。
その長の意見に、その場の勢いだけで面と向かって反論することは、彼らにはできなかった。
それでも後顧の憂いをなくすためとばかりに、その中の一人が大臣に言葉を返した。
「しかし、追放の処分を下したとして、逆恨みの果てに裏切りませんかな?有用か害悪かはともかく、あれだけの力が魔王軍に渡ることだけは避けねばなりますまい」
「その辺りは大丈夫じゃろう。あの場で見た限りでは、腹芸のできる男ではなさそうじゃ。それに仮にも勇者として召喚された者じゃ、人類を守る適性があるからこそ勇者として召喚されたわけじゃし、万が一にも魔族に寝返ることはない」
「なるほど……」
「用心せねばならんのは他国に漏れる可能性じゃが、ここにいる者全員がが口を噤んでおれば、決して漏れることはない、そうじゃな?」
「は、はい」 「それはもちろん」
「何しろ、この場におる者たちは全員大なり小なりこの度の勇者召喚において責任を負っておる。
「ま、全くですな」 「いかにも、ははは・・・」
この場にいる者たちの内、何人かはその地位や役職で知りえた情報を他国に売り渡している、そんな噂が王宮内に流れていることはカトレアは知っていた。
大臣はそのことをちらつかせながら勇者の一件だけは口を噤めと一部の者達を脅したのだ、カトレアはそう推測すると、大臣の恐ろしさを改めて認識し小さく身震いをした。
「無論、あの男がグノワルドに弓引く者とわかったその時にはすぐさま始末する。ワシの名に誓って約束しよう。それでよろしいか、ご一同」
有無を言わさぬ大臣の一言に、反論する者はもう誰もいなかった。
「じいの、大臣の意見にわたくしも賛同いたします」
最後に女王エリーチカが場を締めくくる。
「僅かな時とはいえ一度は勇者様と仰いだお方、それをこちらの都合ばかりで処刑とは、グノワルドとはなんと愚かな国かとあの世で恨まれましょう。せめて、タケト様の心底を見極めてからでも遅くはないでしょう。皆の者、よろしいですね」
エリーチカの言葉は建前として確認の体を取ってこそいるものの、大臣が提案した上で女王が追認した案に異を唱えるものなど、少なくともこの場にはおらず、会議は予定調和の中であっさりと終わりを告げた。
そして部屋からエリーチカを含めた面々が退室する中、カトレアはなぜか大臣に呼び止められただ一人その場に残った。
「安心せい、姫様にはあらかじめ断っておる」
直立不動のカトレアに対して椅子に腰かけたままの大臣は、先ほどより幾分か疲れを見せているように見えた。
「さて、お主を残したのには理由がある。といっても聡明なお主のことじゃ、既に薄々は察していようが。構わぬから思うところを述べてみよ」
「はっ、私が先ほどの会議の場で陛下の護衛として、ただ一人傍聴を許されたことと関係があるでしょうか?」
「さすがじゃの。そこまでわかっておればワシが、お主に頼みたいことも分かっておるのであろう」
「タケト殿を辺境に送り届けよ、ということですね」
「うむ、無論一人でとは言わん。ワシの信頼する腕の確かな者も一人同行させるから、何かあったら相談すると言い。厳しい任務になるが引き受けてはくれんか?」
「よろしいのですか?自分で言うのもなんですが私は……」
「わかっておる。それも含めて適任はお主しかおらんと、姫様とも相談の上決めたことじゃ。なによりあの小僧、タケトの命を救ってやりたいとの姫様の強い希望での、姫様の信頼厚いお主なら託せると考えてのことじゃ。やってくれるな?」
「そこまでのお考えとは。承知しました、この役目、謹んでお受けいたします」
元々タケトに同情を寄せていたカトレアにとって、大臣の言葉は迷いを振り切るには十分だった。
こうして重大な任務を引き受けたカトレアだったが、グノワルド王国の浮沈に関わるという意味以外でも非常に難しい任務だと気づき始めたのは、異世界からやってきた青年タケトと大臣の息がかかった商会の幹部で元冒険者のゼンとの三人で旅を始めて少し経った頃だった。
思い返してみれば、カトレアがタケトのために購入してきた道具を見る鋭い目つきや、一見普通の喜怒哀楽の感情を見せているようでその心の奥に垣間見える小揺るぎもしない意志は常人では決して持ちえないものだったが、カトレアはそれらを異世界人ゆえの些細な違和感だと思い込もうとした。
だが、旅の途中でゴブリンの襲撃があった時の、背後から来るゼンのものではない冷徹な観察の目を感じた瞬間に、カトレアは自分をごまかすのをやめた。
その後立ち寄ったある町で、タケトと別行動をしている時にカトレアは自分の感じたものを確かめようと、ゼンにタケトのことをどう思うか密かに聞いてみることにした。
「俺はウチのボスからあいつという積み荷を運ぶよう命令されただけだ。それ以外のことは知ったことではない。……だが、あんたに貸しを作っておくのも悪くなさそうだ。これから話すことは俺の独り言だ。例え返事のように聞こえたとしても全て独り言だ。そのつもりで頼む」
「感謝します、ゼンさん」
「はっきり言おう、奴はバケモノだ」
「……ゼンさんほどの人がそこまで言いますか」
「一見どこにでもいそうな、人ごみに紛れたら見つけるのに苦労しそうなほど普通の体つきをしている男だ。だがな騎士殿、奴の手のひらと足の裏を見たことがあるか?」
「いえ、恥ずかしながらはっきりと見たことは……」
「何の変哲もないように見える奴の手と足の指からは指紋が消えていた。それも親指から小指まで、全ての指でだ。俺もそれなりに冒険者として名を売ってきたし、英雄と呼ばれるに足る剣士魔導士にも何人か会ったことがある。だが、奴のように静かなオーラを放ちながらも、凄まじい修行の跡が手足の指紋から以外に見つけられなかったなんてことは初めてだ」
「……じゃあ、タケトさんはゼンさんですら見たことがないほどの強者かもしれないということですか?」
「断言はできん。だが、絶対に敵に回したくない相手であることも確かだ」
「暴竜と呼ばれたあなたほどの方がそこまで……」
「その名は捨てた。だが、仮に、かつてその名で呼ばれて調子に乗っていた冒険者がこの場にいても、同じように感じたかもしれんな」
「……貴重なご意見ありがとうございます。肝に銘じておきたいと思います」
「独り言に律義に返事をするとは、騎士殿も大変だな」
その後、苦笑で締め括られたゼンの独り言は、蒼刃のニールセンとの決闘を圧倒的な実力差で破ったばかりか、そのニールセンに懇願されて弟子に迎えてしまうことで証明されることになる。
グノワルド王国東部の物流の要衝、シューデルガンドのとある宿の一室で、カトレアは頭を抱えていた。
それもそのはず、先の盗賊団の一件に続き、またもタケトがテロ事件という騒ぎを起こしてしまったからだ。
いや、盗賊団の首領だった蒼刃のニールセンは世に憚る身だからまだいい、だが今回の一件で深く関わることになったセリカ=ルキノは、近衛騎士の権限で口を封じるには大物過ぎた。
元より経済活動という、王国とは別の論理で動く商人、しかもルキノ家の資産は小国家に比肩するほどの大商人なのだから、例え王都の大臣の力を借りたとしてもタケトの行動そのものをなかったことにするのは至難の業だろう。
仮にそこまでの隠ぺい工作が実現したとしても、そのようなルキノ家との暗闘そのものが、何かがあったと世界中に触れ回るようなものだ。
そしてそこまでの状況に陥れば、事実上役目は失敗したと言わざるを得なくなるだろう。
「タケトさんの行動には注意を払っていたつもりでしたが、まさか手慰みで作ったおもちゃがテロを起こすとは、はあ、大臣閣下になんと報告すればいいのか……」
普段滅多に独り言を言わないカトレアであったが、この日ばかりは自分の考えを整理するために、悩みが口を突かずにはいられなかった。
コンコン
「……あ、もうそんな時間か。どうぞゼンさん、お入りください」
「失礼するぞ」
本来ならカトレア一人が泊まる部屋に男を招くのはマナー違反なのだが、明日はセリカとの約束通りにシューデルガンドを発たなければならないので、ゼンとゆっくり話すには今日が最後の機会だった。
そこで、別行動をとっていたゼンに使いの者を出して部屋に来てくれるように頼んだのだった。
「タケトがどうやらやらかしたそうだな」
「ゼンさん、なぜそれを」
「商業ギルドで何か騒ぎが起きていたのは知っている。そこへ騎士殿から急な呼び出しだ。これで奴のことを疑わんほうがどうかしている」
近衛騎士の立場では反論したいカトレアだったが、いちいち的を得ているゼンに対して返す言葉が見つからなかった。
何より、カトレア一人の手に余る事態に、唯一相談が可能なゼンの存在を前にして、悩みを打ち明けたい欲求に抗うことは出来なかった。
「……大臣閣下の勧めもあるとはいえ、ゼンさんに頼りすぎるのもどうかとは思ったのですが、正直私一人の手には余りました」
カトレアは事件の一部始終をゼンに語った。
その間相槌を打つばかりだったゼンは、カトレアが語り終えた後もしばらく黙り込んでいたが不意に、
「騎士殿、無責任な物言いに聞こえるかもしれんが、いっそのことタケトの自由にやらせてみたらどうだ?」
「えっ、でも、それでは……」
思いもかけないゼンの提案に、返す言葉が見つからないカトレア。
「まあ聞いてくれ。なにも完全な自由にしろという話じゃない。タケトの責任はタケト自身に負わせろという意味だ。あいつならどんな困難でも自力で解決できる、少なくともこの旅の中で俺はそう見た」
「タケトさんのこと、随分と気に入られているんですね」
「まあな。危なっかしい面もあるが、ふらついているようで意外と義理堅い奴だよ。でなければ盗賊退治なんて厄介事に自ら首を突っ込んだりはせんだろうからな。ああ見えて受けた恩は忘れん奴だ、少なくとも騎士殿を裏切るような真似だけはせんよ」
その言葉を聞いて、カトレアは一瞬ドキリとした。
万が一の時はタケトを殺せという大臣の命をゼンが直接知るはずもないはずだが、歴戦の冒険者だったゼンの経歴からいって、事情を薄々察していてもおかしくはない。
下手をすればカトレアに睨まれる危険を冒しながらもこうして助言をしてくれているゼンに、カトレアは密かに感謝した。
「俺も王都の商人のもとで働いている身だ、騎士殿の素性を知らないわけじゃない。いろいろ複雑な事情もあるだろう。それでもどうしてもタケトのことで迷うのなら、一度立ち会ってみるといい」
「それは、真剣勝負という意味ですか?」
「二人とも武に生きる者同士だ、全力で戦わんと分からんこともあるだろう。騎士殿が全力を出す価値が、タケトにはあると俺は思うぞ。言っておくが、なにも技や力といった実力という意味だけじゃない、心をさらけ出して真正面からぶつかるべきだと、俺は思っている」
「心をさらけ出して、ですか。そうですね、確かにタケトさんの器を量るには必要なことかもしれません。ありがとうございますゼンさん、どうしても迷いが晴れない時にはやってみようと思います」
「できれば最後まで見届けたいところだが、俺の役目はこの街に連れてくるところまでだ。騎士殿が無事役目を遂げることを祈っておくとしよう」
この、親身といえるほどカトレアの相談相手になってくれたゼンが、本来は旧知の者が知ったら別人かと疑うほど無口な男だった、という事実をカトレアが知るのは、ずっと先の話である。
負けた、完膚なきまでに負けた。
そんな言葉しか浮かばないのに、カトレアの心はなぜか晴れやかだった。
時は、カトレアが大災害に見舞われたコルリ村にタケトを送り届け、直後の魔物の群れの襲撃を撃退したのちにカトレアが一人でコルリ村を離れたところまで進む。
山道を馬に揺られながら、カトレアはコルリ村での出来事を思い返していた。
「それにしてもまさか白焔が一帯を火の海にしてたなんて……」
流石にそのことを知った時にはタケトと共に王都に引き返すことさえ考えたが、竹田武人という名の青年の力はカトレアの予想をはるかに超えていた。
「タケトさんの魔法で出てくる竹という木が丈夫なのは分かっていたけれど……」
まさか建築資材だけでなく、葉を煮詰めて作ったお茶がポーション以上の効果を持っているなど、王都どころか世界中の人間と魔族の知恵を集めても想像もつかないだろう。
「いや、そういえば似たような話をどこかの書物で見たような気が……」
記憶を探ってみるが、いつどこで見たのか全く思い出せない。
おそらく騎士になる以前の古い記憶だろうと諦めつつも、そのうち実家に帰って調べてみようかと一旦棚上げした。
とにかくカトレアが感心したのは、タケトが竹の性質を知り尽くしていたことだ。
「コルリ村の復興の時もそうだけど、魔物の襲撃に備えたコルリ村の砦化も見事というしかなかったし」
村人の訓練と指揮こそカトレアが受け持ったもののあれだけの備えがあればたとえ村人が武器を握ったこともない状態だったとしても何とかなっただろう。
そして、タケトの活躍はーー
「ーーっ!?ダメ、今思い出したらきっと引き返したくなるーー!」
王都からはるばるコルリ村まで連れてきた平凡な容姿の、ちょっと頼りなさげな青年は、その背中すら見えないほど遥か高みにいる戦士だった。
今は彼の戦いの記憶を受け入れられる自信がない。
カトレアにとってタケトの実力は、これまで積み重ねてきた武人としての価値観を粉砕するほどの衝撃だった。
そう、あれはまるで伝説に聞いた勇者の姿そのものだった。
「……もしかしたら大臣閣下は、グノワルド王国はとんでもない間違いを犯しているのかもしれない」
そこに思いが至った瞬間、カトレアは王都への帰路をのんびりと進んでいる場合じゃないと気づいた。
「急いで王都に戻って、タケトさんの実力を大臣に報告しないと!!」
険路の中、手綱を引き締めて乗っている馬の速度を上げる。
カトレアが見たものの中には、エリクサー並みの効果を持つ竹ポーションのことなど大臣相手でも報告できない危険な情報もあるが、それを差し引いてもタケトの存在は、個の武力としても戦術的にも価値がある。
神獣白焔の予想進路はここから北方向にある魔族の領域に達するのは確実。カトレアの予感が正しければ、近い将来に人魔戦争の戦局が大きく動く時が来る。
それまでにタケトを王都に呼び戻して戦いに備えなければ。
そう馬上で決意したカトレアは、馬換えのタイミングを大幅に短縮することを即座に決断し、ペース配分を無視したスピードで己を乗せた馬を急がせるのだった。
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