第12話:祭壇石と魔法の旅【前編】

満月に満ちた今夜。6歳を迎えたばかりの精霊たちと長のルイラットさんを先頭に祭壇石へ向かっていた。


ついに俺に魔法が使えるときがきたいみたいだ。


心が高揚して調子に乗らないようにしているが、我慢が難しい。


「やっぱり、タクミの属性は火かな?武神の加護があるから拳に魔法を乗せてドカーン!とか?」


やっぱり一番楽しみにしているのはロビンだった。


「着いたぞ」


ルイラットさんの声が前から聞こえた。


目の前には大きな岩があり、岩には模様がいくつか彫られている。そしてその岩の背後、いや少し上には満月がある。


絶景としか言いようがない景色が広がっている。


「では儀式を始める」


ルイラットさんが空いている右手の人差し指と中指を立てる。


そしてお経のような詠唱を始めた。


するとルイラットさんの右手の目の前に二つの勾玉とその周りを囲うように五角形が浮かぶ。


そして、一本の針のようなものがあった。まるで時計のようなものだった。


その針がちょうど左、つまり9時を指した時、時計のようなものが消えた。


「あれはじいちゃんの魔法、星占術なんだ。星の位置と月の位置をもとに時間を知ることが出来るんだ。村長なら誰でもできる魔法だ」


ロビンが解説してくれる。


村長を「じいちゃん」何て呼んでいいのか?とはツッコまないでおこう。


「一人ずつ前に」


6歳を迎えた精霊がルイラットさんの元に行く。


ロビンの説明だと、6歳までを「妖精」または「プーカ」と呼び、6歳以上15歳未満を「ピクシー」、15歳以上を「エルフ」と言うらしい。


まるで鰤のようだ。


そしてエルフの中で力がある者だけが「ヴァン神族」と言う神に近い族になるそうだ。


そんなロビンの解説を聞き終わったちょどその時だった。岩が緑の岩に包まれた。


何が起きているのか俺は気になって見てみるがさっぱりだった。


光りは一旦消えたがまたすぐに岩が光る。


今度は青色に光る。


「岩の光が、そいつに与えられる属性なんだ」


そういえばエルフは属性を二つも貰えるんだったな。


だが、順番に精霊がもらえる属性を見ていると、全員が緑の風属性を貰っていた。


「精霊が浮かぶ原理は、風属性の浮遊魔法、又は飛翔魔法なんだ。妖精の間は太陽の光をエネルギーに羽で飛ぶことが出来るんだ」


なんか精霊っていろいろ複雑だな・・・・・・。


ロビンの説明を受けている間にどうやら俺の順番が来たみたいだ。


「その水晶に手を置くんじゃ」


ルイラットさんに言われるがまま俺は水晶に手を置いて岩の反応を待った。


岩は白、いや灰色に光り輝いた。ロビンの説明に無い色だった。

そして俺の目の前にに魔法石が出てきた。


俺は水晶に置いた手を放して魔法石を手にする。


灰色に輝く水晶の魔法石。魔法石には精霊たちとは違い模様が刻まれていた。


その模様は岩に書かれてある模様に一つだった。


何がどうなっているのだろうか。


全く状況が飲み込めない・・・・・・。


「む、無属性じゃと」


ルイラットさんがそう言った。


え?・・・・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る