第11話:偵察の旅【後編】

一時はどうなるかと思ったが俺は死なずに済んだ。


ロビンが割って入ってくれなきゃ、今頃撲殺されていただろう。


「今日俺たちが偵察するのは遺跡なんだ」


今頃、偵察内容を説明するロビン。


「それって危険なんじゃないのか?」


「ん?だからタクミを連れているじゃないか」


あれ、もしかしてだけどロビン、俺が戦力外なの気が付いてない?俺が丸腰名の知らないのか?


「俺、丸腰だけど?」


「あ・・・・・・」


沈黙が流れる。


「だ、だだ、だだだだ、だ、大丈夫。お、おおおお、おお、おいらがタクミを、ま、まま、守ってやるよ!」


ダメだ!絶対俺を守れない奴だ。


「た、タクミはおいらの後を付いてきな!」



結局・・・・・・



「ふぅ・・・ふぅ・・・」


ロビンを深呼吸を何度もしながら俺の背中にしがみ付いて震えながら遺跡を偵察している。


カサカサ


何かが動く音がしたのと同時に


「うわ!」


ロビンの悲鳴が響く。


カサカサカサカサ


その動く音がだんだん近づいてくる。


「あわわわ」


俺の服をぎゅっと掴んで先を除くロビン。


カサカサカサカサカサカサ!


その足音を立てている者が姿を現わした。


「うわー!ってただのネズミかぁー。驚いて損した」


ため息をついたロビン。叫んだおかげかロビンは調子を戻し偵察をする。


だが、俺は見逃さなかった。複数の赤い光を。そしてその光が近づいてくるのも。


ロビンは俺の前に浮きながら楽しそうに話している。


「ろ、ロビン、後ろ?」


「後ろ?どうせまたネズミだろ?」


ロビンが振り返るころにはその光が何なのか分かるくらいの距離に近づいていた。


「スライムだ」


ロビンが余裕で倒してくれた。


「ライデン」


雷魔法で倒したのだ。


「ロビンは雷属性なんだな」


「そうだぞ。タクミは何の属性なんだろうな!」


俺の属性が何なのか一番楽しみなのは俺ではなくロビンだった。


まあ、あまり期待はしないで欲しいのだがな。


遺跡内は大したことはなかった。スライムが数匹いただけだった。


こうして俺たちは無事に遺跡から出ることが出来た。


ロビンは背伸びをする。


「案外大したことなかったな!」


一番ビビっていたのは誰だろうな、とは言わないが・・・・・・


「そうだな」


俺はロビンがいる方に振り返る。


「ッ!」


ロビンの背後からゴブリンが襲ってきた。白い線が入っていない。精霊の保護下のゴブリンじゃない。


気付いたときには体が勝手に動いていた。


「ロビン!避けろ!」


だが、ロビンが振り返るころにはゴブリンは手に持っている木を振りかぶっていた。


その瞬間、俺の体が勝手に動いてロビンの背後にいた。そして俺はゴブリンを飛び蹴りしていた。


ゴブリンは遠くに蹴り飛ばされた後、すぐに逃げていった。


「びっくりしたー」


ロビンは胸をなでおろしていた。


体が勝手に動いた。どういう事だろうか。


ロビンの事より体が勝手に動いたことに俺は頭がいっぱいだった。


「あ!」


突然、ロビンが叫ぶ。


「そういえば、タクミは武神の加護があるじゃないか!」


どうやら加護のお陰で俺はロビンを助けることが出来たみたいだ。


やっぱり俺、チートじゃないのか?


その後、ロビンに、

「おいらの心配と動揺と緊張を返せ!」

と怒られた・・・・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る