第4話内緒だよ

ここだけの話なんだけど。

ほんとのほんとに内緒だよ。

私、本当は彼のことが好きだったの。

あの入学式の雨の日に初めて話して、笑ってあの置き傘を差し出した彼に私は一目惚れをした。


でもね。

借りた傘は小人が住んでいるくらい素敵な傘で、彼に丁寧に扱われていた。

お姫様を扱うみたいにね。

だからなにも言わなかったし、これからだって言うつもりはないの。


今でも私と彼はいい「友人」を続けてる。

そこには小さな傘の小人がいつも寄り添ってる。


ねえ、傘のこびとさん。

私、あなたなら心から祝福できるわ。

私の分まで彼と幸せになってよね。

あなたは彼の「傘のこいびと」なんだから。

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