第4話 天国
アンドロイドは10日に1回入れ替えている。
唾液や粘液の補充や、体の洗浄なんかは自身で行うようにできているけれど、どうしても取れない汚れや不調の解消、10日間の使用による耐久などの調査、メンテナンスが必要となる。
最短で3日、最長でも20日で必ずメンテナンスへ出されるようになっていて、俺は10日毎に設定している。
全く同じアンドロイドがやってきて、勝手に入れ替わるし、データもクラウドで同期しているから、特に違和感もなく気にすることもない。
たまにアップグレードして、材質や機能なんかが良くなったりもする。
そんなアンドロイド関連の連絡をタブレットで見ながら、もう1体増やそうかなぁ、なんてオーダーランキングを開いてみる。
年齢別や身長、体重、肌色なんかで絞り込んだランキングがされている。
俺は自分のカスタムを公にしていないけれど、こうして自分の作ったアンドロイドレシピを公開して他の人にシェアしている人もいて、オーダー率が高いとこうしてランキングに乗る。
もうファンタジーは現実になりつつある。
いつか見たアニメキャラが、ほんとに現実の人になったようなすごいクリエイター作品がたくさんあるのだ。
角、猫耳、翼なんかが生えていたりするものもあるし、食事や排泄機能をつけて本当にパートナーとして楽しんでいる人も多いのがわかる。
ランキング上位に翼の生えたゴシックロリータがくるとか、ほんと世界は天国になったんだ。
セリフランキングに『愛してる』と『別に好きじゃないんだからねっ』が入ってるあたり、世界は愛に満ちているのかいないのか……。
これほど世界に機械化が波及しても、人間の機械化というのはあまり進んでいない。
美容整形する人は大幅に増えたのだけれど。
アバターでしか人と会わなくても、やっぱり人は美しくいたいものなのかもしれない。
容姿端麗のアンドロイドに囲まれていたら、自分もそうなりたいと思うのは自然なことなのだろう。
けれど、足や腕と言った部位を機械に置き換えても、未だ神経系を再現することが難しい。
熱い、冷たい、硬い、柔らかい、痛い、擽ったい、そういった多彩な反応を再現しきれていない。
それに、脳の情報を別のストレージへ移動することも未だ不可能だ。
仮に移動できたとしても、そこに自我はあるのか? その自我は自分と言えるのか? という問題は残るだろう。
俺が生きてるうちに不老不死は無理かもしれないけれど、できるだけこの天国のような時代をもっと生きていたい。
急にブルーベリーパフェが食べたくなったので、タブレットでブルーベリーパフェとエスプレッソラテを注文した。
7分くらいで届くらしい。
可愛いアンドロイドのハーレム、美味しいご飯のデリバリー、気が向いたらゲームして、疲れたらいつまでも寝れる。
あぁ――ニートって幸せだ。
ニート・パラダイス アラジン @majin-lamp
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます