Episode︰09 疑念の萌芽

 美姫の突然の告白による、二人の"お付き合い"の開始から、もうじき一ヶ月が経とうとしていた。


 不器用ながらも蓮がアプローチを掛け、美姫がそれに躊躇いながらも応えると言う、何とも初々しいやり取りは、見る者を糖分過多な気分にさせるには十分過ぎるほどの甘っ苦しさを醸し出している。


 蓮は鞍馬からのアドバイスを受けつつも駿河に羨ましがられ、美姫は静香に唆されつつも雛菊にストップを掛けられ、その関係は順風満帆……と呼ぶには穏やか過ぎる航路だが、波乱万丈に満ちあふれているよりは良いとして、当の二人とも今のところは気にしていない。


 そんな五月の初頭――ゴールデンウィークを目前にした、昼休み。

 発端は、駿河のこの一言からだった。


「ゴールデンウィーク、何するよ?」


 今日は珍しく、蓮は駿河と鞍馬との三人で食堂に来ていた。

 いつもの蓮なら、美姫と二人きりで昼食の時間を楽しんでいるのだが、静香に「いつも美姫を独占してるんだから、たまにはあたし達にも貸しなさい」と言われ、美姫もそれに反対していないため、蓮はそれを了承した。

 きっと向こうの三人組も、ゴールデンウィークをどうするか話し合ったりするのだろう。


 カツカレーをトレイに乗せて席に着いた駿河に、鞍馬は焼きさば定食に少量の塩をふりかけながら応じる。


「何するよって、何をするんだ?」


「それをこれから決めるらしい」


 きつねうどんをオーダーした蓮は既に席に着いて二人を待っている。

 三人揃ったところで「いただきます」を口にし、それぞれありついていく。


「ん、まさかゴールデンウィークの間ずっと家にいるわけじゃねぇだろ?……まぁ、ここにいる約二名はもう既に予定が入ってるかもしれねぇけど」


 駿河の妬みを込めた"約二名"とは、言わずもがな蓮と鞍馬のことだ。

 しかし駿河の心境とは裏腹に、二人の答えは意外なものだった。


「いや、朝霧さんとそう言う約束はしてないし……そりゃ予定が空いてるなら一緒にいたいけど」


 多分向こうも同じような状況だろうなぁ、と蓮は美姫の顔を思い浮かべる。


「残念ながら、僕の彼女はゴールデンウィーク中は家族旅行に行くみたいでね。いくら彼氏でも、家族水入らずの中に顔を突っ込むわけにはいかないし」


 旅行先の写真とお土産に期待するさ、と余裕ありげに頷く鞍馬。

 つまり、この予定がありそうな二人は現在フリーと言うわけだ。

 それを認識した駿河は、僅か0.5秒ほど思考を回し、すぐに言葉にした。


「……よしっ、それなら俺からひとつ提案だ」


 お冷を一口飲んでから、駿河は自分の(実は一週間前くらいからかねてより考案していた)案を上げつつ、スマートフォンを取り出した。


「食事中にケータイはマナー違反だぞ」


 鞍馬は駿河の行動を窘めるが、当の駿河は「そう固いこと言うなって」と構わずに画面を開いた。




 一方の美姫、雛菊、静香の三人組は、いつもの中庭のベンチでそれぞれの弁当を突いている時、静香のスマートフォンにRINEの通知が届く。


「およ、芝山くんから」


 手早くスマートフォンを取り出してRINEのトーク画面を開く静香。

 画面の駿河からは『ゴールデンウィークって予定空いてるか?良かったら俺ら三人と遊ばないか?』と表示されている。


「芝山くんが、なんて?」


 美姫がRINEの内容を訊ねる。


「ん、今週のゴールデンウィークにね、芝山くんと有明くん、それと九重くんと一緒に遊ばないかってお誘い」


 そう答えつつも、静香は自分のスマートフォンの画面を美姫と雛菊にも見せてやる。


「あたし的にはアリなんだけど、二人はどう?」


 駿河がこのように誘ってきたと言うことは、男子三人の予定は空いてるのだろう、と静香は理解する。

 特に、美姫は蓮と二人でデートするのだとばかり思っていたのだが、どうやらまだその約束はしていないらしい。


「私は特に予定とか無いから大丈夫だよ。ヒナちゃんは?」


「待って。ゴールデンウィーク中って言っても、具体的な日にちは?バイトの予定とも照らし合わせないと……」


 美姫はフリーのようだが、雛菊はアルバイトとの兼ね合いもあるようだ。

 ちょっと訊いてみる、と静香は駿河へ返信する。




 送信から数分後、駿河のスマートフォンがRINE通知のバイブを告げる。


「おっ、来た来た……」


 駿河は一旦カツカレーを食べる手を止めて、スマートフォンをポケットから取り出す。


「んーと……『あたしと美姫はオッケーだけど、ヒナがちょっと怪しい。具体的な日にちプリーズ』……蓮、鞍馬。明後日の4日でいいか?」


 駿河の確認に、蓮は「大丈夫だ」と、鞍馬は「問題ない」と続いた。二人合わせるとあまりよくなさそうに聞こえるが、ただ遊びに行くだけなので、フラグも何もない。


「あいよ、4日だな。……ほいっと」


 二人の確認をしてから、駿河は手早く文字を打ち込んで送信ボタンを押し込む。




 直後、再び静香のスマートフォンにRINEの通知が届く。


「ほい来た……んー、「4日でいいか?」だって」


 明後日はどうかと静香は雛菊に訊ねる。


「あ、4日なら休みだから、大丈夫よ」


「オッケー。じゃ、4日ね。……『4日ならヒナもオッケーだって』っと」


 再び返信される。




「……んよしっ、向こうも4日は三人ともオッケーらしい!」


 色好い返信を確認し、駿河はガッツポーズを見せる。

 これで5月4日の予定は取り決めることが出来る。


「遊びに行くと言っても、どこに行くんだ?」


 ごちそーさま、と食器を纏めていく鞍馬は、その4日に何をするのかと問う。


「そこは無難に、センター街のラウイチにしようと思ってる。ボウリングにカラオケ、ダーツ、ビリヤード、なんでもあるしな」


 日本各地にある、大手アミューズメントスポットのことを指す駿河。

 それを聞いた蓮は、途端に表情を険しくする。


「ボウリング……ボウリングか……かなり昔に一度やったきりだな」


 ちゃんとやれるだろうか、ときつねうどんの最後の一本を啜る。


「そんな真剣に考えんなさって。ただの遊びなんだし、気楽にやろうぜ、気楽にな」


 肩の力抜けよと笑う駿河に、鞍馬は真剣に考え込む蓮の横顔を盗み見る。


「(せっかくなら朝霧さんにいいとこ見せたい、って言うのは分かるけどな……)」


 男の子とは、好きな女の子の前では『えぇカッコしぃ』をしたくなるものだ。

 ただ、いいところを見せようとして空回りするようでは意味もない。……尤も、空回りしたところで美姫の蓮に対する評価は恐らく変わるとは思えないし、場合によってはそれすらもプラスになるとも見える。


 それはともかくとして、駿河が静香とのやり取りでもう少し詳しい内容を送信し合い、明後日の予定が決まる。






 放課後。

 駿河は部活へと行き、鞍馬は彼女との約束のために足早に去る。

 そして蓮は、毎日のように美姫と一緒に下校だ。

 その二人の邪魔はしてはいけないと言うことで、静香と雛菊は二人でウインドウショッピングへ駆り出す。


「明後日のお昼から、私と九重くんに、静香ちゃんとヒナちゃん、それと芝山くんと有明くんの六人で遊ぶんだよね」


 二人並んで下校する中で、美姫は明後日の予定を確かめる。


「うん。でも俺、ラウイチで遊んだことないし、ボウリングとかビリヤードとか、上手く出来るかちょっと不安でさ……」


 カラオケなら三人でたまに行くんだけど、と蓮は自信無さげに頷く。


「私も、よく静香ちゃんが誘ってくれるんだけどね、ボウリングもカラオケも全然ダメだし。不安はお互い様だよ」


「お互い様……で、いいのか?」


 二人とも不安では、あまり良くないのではないか?

 一瞬、そんなことを脳裏に過ぎらせた蓮だが、「彼女を不安がらせてどうする」とすぐに振り払った。

 

「ま、まぁ、そんなに深く考えなくていいんだし、気楽に遊ぼう」


 もっと気楽に構えろと言うのは駿河からの受け持ちであり、むしろ蓮こそが一番気楽に構えるべきなのだが、不安と緊張で遊ぶどころでは無くなってしまっては本末転倒だ。


「そそ、そうだよね。何か勝負するわけじゃないんだし、私がヘボヘボさんでも、芝山くんも有明くんも笑ったりしないよね」


 大丈夫大丈夫、と美姫は自分に言い聞かせるように二回頷く。


 そうこうしている内に、もう別れ地点の駅前広場に辿り着いてしまう。


「じゃぁ朝霧さん、また明後日に」


「うん、またね九重くん」


 今日のところはここでお別れだが、また明後日に会えるし、メッセージだけのやり取りならRINEでも出来る。

 美姫が自分の傍から離れる都度に、名残惜しさを覚えるのも、最近の楽しみのひとつになっている。


 お互い手を振りつつ、美姫の姿が見えなくなるまで見送ってから、蓮も踵を返して自宅への帰路を辿る。






 蓮と美姫が仲良く一緒に下校している頃、雛菊と静香は繁華街の雑貨店を物色していた。


「んでさ、美姫が九重くんと付き合うようになってから、もう一ヶ月になるよね」


 目に止まったキャラクターグッズを手に取りつつ、静香は美姫に関する話題を切り出した。


「あぁ、もうそれくらいになるのね」


 始業式が始まったその三日後に美姫が蓮に告白したので、正確には30日も経っていないのだが、おおよそ一ヶ月と言う期間に値する。

 気が付けば月替りになっていることに、雛菊は頷く。

 キャラクターグッズをハンガーに戻して、静香は雛菊に向き直る。


「でもさ、あの二人ってまだやっと手を繋げるようになったばっかりで、全然それより先に進んでないんだよねぇ。もう現状で満足しちゃってると言うか」


「別に、今が満足ならそれでも良いんじゃないかしら?満足出来なくなったら次の段階に進んでまた満足する……美姫と九重くんには、それくらいゆっくりで良いと思うけど」


 物色を終えて、売り場から離れていく二人。


「いや、付き合い始めて一ヶ月も経ってるのにキスのひとつもしてないなんて……美姫が牛で九重くんが亀でも、さすがに遅過ぎない?」


 あたしは別の意味で心配なんだけど、と静香は眉をひそめる。


「静香が事を性急に進めようとするから、遅く見えるのよ。あの二人には、あの二人なりのペースがあるんだから……」


 雛菊は「静香が耳年増過ぎて"お付き合い"の速度を計り違えているのではないか」と捉えたが、その答えは違った。


「いや、ペースとかじゃなくて……なんて言うか、お互い異性として見てない、友達の延長線みたいな?」


「それは考えすぎじゃないの?」


 自動ドアを潜り、表通りに出る。


「考えすぎ……なんだったらいいけどさぁ」


 だってほら、と静香は自分の懸念を雛菊に明かす。


「元々、美姫は九重くんに告白なんてするつもりじゃなくて、フラれる前提だったんだし、もしかしたら"ホントは九重くんとのお付き合いなんてやめたい"なんて思ってるんじゃ……」


「って言うかそもそも、告白するように仕向けたのは静香でしょうが」


 あの二人を付き合わせた張本人が何を言っているの、と雛菊は呆れる。


「それに……美姫の様子を見る限り、九重くんとのお付き合いを嫌がってるようには見えないわ。むしろ、楽しそうなくらいだし」


「嫌じゃないなら、なんであんなにゆっくりでいいのかが、あたし的には分かんない。そりゃね、初心な二人を見ているのは愉し……ン"ン"ッ、見守ってあげたいって気持ちはあるよ?でも、やっぱりもどかしくてさぁ」


「……今、「初心な二人を見ているのはたのしい」って言いかけたでしょ」


 静香が二人の距離を縮めようとするのは間違いなく善意であり、それは雛菊にも分かっている。

 ……ただ、その善意の中に幾分か、自分の愉しみを含ませているだけであって。






 同じ頃。

 鞍馬は繁華街の一角――彼女との待ち合わせ場所で、自分の恋人を待っていた。

 待っていた……否、今も待っていると言う方が正しいだろう。

 本来の待ち合わせの時間はとっくに過ぎているが、彼女の方から「少し遅れるけどちょっと待ってて」と連絡が来たのだ。

 その"ちょっと"がどれくらいの時間かは分からないが、15分も掛かるようなことはないだろうと高を括り、少しばかりスマートフォンのアプリゲームで時間を潰しているところだ。


「いや、ペースとかじゃなくて……なんて言うか、お互い異性として見てない、友達の延長線みたいな?」


「それは考えすぎじゃないの?」


 ふと、すぐそばにあった雑貨店から聞き覚えのある声が聞こえ、その方向に目を向ける。

 美姫の友人である、静香と雛菊だ。

 ちょうど鞍馬から見て背を向けているような形で、向こうはこちらには気付いていないようだ。

 とは言え、今は彼女を待っている時だ。

 ここであの二人に声を掛けて、言葉を交わしているところに彼女が来たら誤解を与えかねない。

 そう思って鞍馬は気付いていないフリをしようとしたが、


「元々、美姫は九重くんに告白なんてするつもりじゃなくて、フラれる前提だったんだし、もしかしたら"ホントは九重くんとのお付き合いなんてやめたい"なんて思ってるんじゃ……」


「って言うかそもそも、告白するように仕向けたのは静香でしょうが」


「(……は?)」


 耳を疑うような言葉が、鞍馬の聴覚に届いた。


 元々、美姫は蓮に告白するつもりじゃなかった?

 告白するように仕向けたのは静香だった?


 どう言うことか問い質そうとして、その追うための足を一歩目で踏み留まる。

 ここで追い掛けていい状況ではない。

 これからここに来る彼女を考えてのことだけではない、少なくとも往来で堂々と訊いて良い内容ではないだろう。

 それに、今のは聞き違いだったのかもしれない、と鞍馬の冷静な部分がそう主張する。


「それに……美姫の様子を見る限り、九重くんとのお付き合いを嫌がってるようには見えないわ。むしろ、楽しそうなくらいだし」


「嫌じゃないなら、なんであんなにゆっくりでいいのかが、あたし的には分かんない。そりゃね、初心な二人を見ているのは愉し……ン"ン"ッ、見守ってあげたいって気持ちはあるよ?でも、やっぱりもどかしくてさぁ」


「……今、「初心な二人を見ているのはたのしい」って言いかけたでしょ」


「………………」


 聞き違いであればいい。

 しかし、一度芽生えた疑念は簡単に拭えるものではない。

 それどころか、その疑念の芽は次々に鞍馬の中で萌芽していく。


 もし、聞き違いでなかったとして、その言葉の通りの意味だったのなら……






 その日の晩。

 蓮は自室のベッドで寝転がりながら、RINEを通じて美姫とやり取りしていた。


『静香ちゃんから聞いたんだけど、ラウイチって色々あるんだね。場所にもよるけど、フットサルとかもあるんだって』


「『フットサルもあるのか。バッティングルームとかもあるって駿河から聞いたことはあったけど、意外と豊富なんだな』」


『そう言えば、サッカーとフットサルってどう違うの?サッカーが11人で、フットサルが5人って言うのは知ってるけど』


「『サッカーとフットサルは人数以外にもいくつかルールが違いがあって、後ろにパスをしてはいけないとか、オフサイド(相手の最後尾のディフェンダーよりも後ろにパスすること)が無いとか、ボールが外に出たら、スローイングじゃなくてキックインで再開するとか、足でやるバスケみたいな感じかな』」


『なるほどです、さすが元サッカー部さんは詳しいね』


「『小学生の頃に友達と一緒にやってたんだ。最初はルールの差異に混乱したけど』」


 そんな風にやり取りを続けていると、不意に無料通話の着信が告げられる。

 相手は鞍馬だ。


「『ごめん電話に出る』」


 それだけ送信してから、通話に応じる。


「もしもし?」


『……もしもし蓮、今って大丈夫か?』


「大丈夫。それで、どうしたんだ?」


 ふと、蓮は鞍馬の声色に違和感を覚える。

 いつもより声のトーンが低く聞こえるのだ。


『その……なんだ。蓮は、朝霧さんのことをどう思ってる?』


 加えて、どこか端切れが悪い。


「唐突だな……答えるまでもないと思うけど、恋人だって思ってるよ」


『そうだな、そうだろうさ。……んーと、そうだな、タチの悪い質問をしていいか?』


「た、タチの悪い質問?いいけど……」


 美姫と付き合い始めて一ヶ月になったからと、確認のつもりだろうか。

 だとしても、それは鞍馬の発言の端切れの悪さに繋がるとは思えない。


『…………もし朝霧さんが、お前の見てないところで二股掛けてたって知ったら、どうする?』


「な、なんだその質問……え、えぇ?」


 それはまた、なんとも悪い質問だ。

 何しろ蓮自身、美姫と出逢うまでは色恋など縁もゆかりもなかったのだ、二股を掛ける側の心境も、掛けられる側の心境も分からない。

 芸能ニュースなどを見ていると「何故そんな簡単に浮気や不倫など出来るのだろうか」と思うことはあるが、そんなつもりなど無くとも、なし崩しでそうなってしまうのかもしれない、とも思える。


「その……実際はどうか分からない。でもやっぱり、悲しいし、裏切られたって気持ちにはなると思う」


『……そこで"怒る"って選択肢は無いんだな?』


「怒るかもしれないぞ?……分からないけど」


『まぁ……二股が出来るほど、朝霧さんも器用じゃ無さそうだしな』


「それ、もしかして俺にも言ってるのか?」


『蓮は朝霧さんと言う彼女がいながら、他の女に手を出すのか?』


「そんなことするわけないだろ」


 しかしこれだけはハッキリと言える。

 相手のことを考えられるなら、自分から浮気や不倫などするはずがないし、そんなことはしたくもない。

 その答えが聞きたかったのか、鞍馬から安堵したような溜め息が聞こえる。


『……その様子なら、大丈夫そうだな。いや、もし蓮と朝霧さんが倦怠期に入った時のことを考えたら、ちょっと思うところがあってな』


「倦怠期ってなぁ……」


『僕が心配する必要も無さそうだし、朝霧さんと末永く爆発すればいいさ』


「他に言い方ないのか?そりゃ、朝霧さんとは永く付き合っていきたいけど」


『ノロケてるなぁ。んじゃ、また明後日にな』


「うん、それじゃまたな」


 互いに通話を切ってから、蓮は美姫とのトーク画面に戻るが、未読メッセージに『先にお風呂入ってくるね』と届けられている。

 今から入浴となれば、もうしばらくはトークに反応出来ないだろう。


「俺も風呂に入るか」


 一瞬、美姫の入浴姿を想像してしまったのは、仕方の無いことだと割り切ることにして、蓮はベッドから飛び起きてバスルームへ向かった。




 ――彼の知らぬところで、疑念が交錯していることも知らず。

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