第7話

さてあれから一夜明け、こちらの世界に来てからようやく一息つける状況になった。全てが突然過ぎてガーディアにはまだ聞けていないことも多い。


 ただ、他の全てを犠牲にしてもリュウヤとナナを元の世界に連れて帰りたい。これだけは譲れない。また三人であの他愛のない日々を続けたい。


 そのためにはまず戦争を終わらせてこの世界のどこかにいる二人を探す環境を整えなければ。


「ガーディア、今の腕輪の状態でも話は出来るんだろ?返事をしてくれないか?」


 すると予想通りガーディアの声が頭の中に響いてきた。


『なんとかあのピンチを切り抜けることが出来たな。アマネよ。もちろんこの状態であろうと会話は出来るぞ』


「いや、中々話しかけてこなかったから鎧の時にしか話せないのかと思ったよ」


『そんなことはないがこの世界のことはこの世界の者が話すべきだと思っているので昨日は私は口をかさまなかった。そもそも私が召喚者と契約するのも約百年振りのことだからな。王家の者といえど私と直接話したことのあるものは今は生きてはいない』


「そうだったのか。ようやく一息つけたことだし、ガーディアとの契約の力について、デメリットや失う記憶のことを教えてくれないか?」


『分かった。順番に話していこう。私の能力は暗黒鎧と黒剣による装備者の全能力の上昇。デメリットは魔力の消費量が大きなことだ。そして魔力を使い過ぎれば生命力を削っていく。分かりやすく言えば寿命が縮まると言ったところか』


「なるほど。戦いなんてしたことがない俺が、クレア達を守れたのもガーディアとの契約のおかげだったんだな。ありがとう。それと次は倒れないように頑張るよ」


『まぁ力の使い過ぎにいは注意したほうが良いな。そして記憶についてだが、私はアマネの記憶の一部をもらうことで、その対価としてアマネに強大なスキルを貸し与えることが出来る。この間のようにな。そして貸し与えた力の強大さに比例して失う記憶の量も増える。こちらに来てからの記憶を失うことは無いが、追加スキルを使用し過ぎれば元の世界の記憶はほとんど失われることになる』


 だいたい最初にガーディアが話してくれた内容と大きな違いはなかったな。ただ、俺も元の世界に帰る時のために出来る限り追加スキルは使わないようにしたいな。


「あ、そうだ。ガーディアに教えてもらいたいことがもうひとつあるんだが、俺とリュウヤとナナが元の世界に帰る方法ってあるんだよな?」


 連れて帰るって意気込んでたけど、方法がないなんてことはないよな?


『安心しろ。もちろんあるぞ。過去の契約者は元の世界に帰った者もいるし、こちらで最後まで生きた者もいるぞ。詳しい方法は王女に聞くとよい』


「そうか、帰る手段があると分かっただけでも安心したよ。まずは帝国軍との戦争のことを考えなければな」


『ふむ、そのことでひとつ言いたいことがあるのだが、今のままではあのベルトールという男や、あの男に匹敵する強者には追加スキルなしでは勝てないだろう。勝つためには、私を装備した状態、素の状態どちらの能力の底上げが必要だ。私ももちろんアドバイスはするがまずは王女に相談し訓練できる環境を整えてもらったほうが良い』


「分かったよ。帰る手段の話を聞きながらクレア達に相談してみるよ。いろいろ教えてくれてありがとうな。ガーディア」


『良いのだよアマネ。お前が成長することによって私にもメリットがあるのだ。だから気にするな』


 ガーディアとの会話を終えた俺は、クレアとティアのいる砦の執務室に向かうことにした。


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