第6話
俺は昔から困っている人や生き物を放っておけない性格だった。
捨て猫や捨て犬を拾ってきて両親に怒られたのは数知れず。幼稚園や小学校では、からかわれたりいじめにあっている子がいると助けに入り、よくいじめっ子と喧嘩ばかりしていた。
中学に入り部活を始めると、自分が喧嘩をすれば周りにも迷惑がかかるし、幸いいじめをするような幼稚な生徒はいなかった。
リュウヤとナナと一緒のソフトテニス部に入部して、部活に打ち込んでいた。リュウヤとペアを組んでいたダブルスでは県内では上位に行けるくらいの実力だった。三人で自主練習することもありナナも女子の大会でまずまずの成績を残していた。
テストの前には三人で勉強し、遊ぶ時は目一杯遊んだ。
勉強の甲斐あってか、三人揃って県内有数の進学校に進み、また同じソフトテニス部に入部した。
ある日三人で街に出かけていたとき、リュウヤと二人でトイレに行っていた隙に、ナナがガラの悪い男たちに絡まれていた。それを見て頭に血が上った俺は、間に割って入り止めるように言った。しかし男たちはそれに怒り、俺を殴ってきた。人数差はあったがナナを守るために、全力で男たちに反撃を試みた。全員は倒せなかったしぼこぼこにされてしまっていたが、俺が男たちと戦っている間に、リュウヤが近くの交番から警察を呼んできてくれた。それで何とか事なきを得たが、ナナは俺が傷だらけで泣き止まないし、リュウヤにも怒られた。
「なぁアマネ、お前のその人を守るための行動力や正義感はいつも尊敬している。だけど、俺もナナもお前のことを大事に思ってることも忘れないでくれよ」
俺にそう言ってから、リュウヤはナナにも言葉を促す。
「アマネ!守ってくれたことはとても嬉しいけど、アマネが傷つくのはすごく嫌だった。アマネはもっと自分の体を大事にするって約束してちょうだい。私もトラブルに巻き込まれないように気を付けるから」
泣きじゃくりながら俺に懇願するナナ。守っていたつもりが泣かせてたんじゃ意味ないよな。
「ああ、約束するよナナ。次はこんなことにならないようにするし、もっとうまく立ち回るよ」
その言葉に苦笑いで答えるナナ。
その時のナナの顔はいまだに忘れることが出来ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます