第74話 勘違いできますん!
前回のあらすじ エロスの呪いが治る(予定)
「くっそー!離せー俺は自由だー!!」
「シーッ、またお店から怒られますよ?」
マリアに組み付され床に突っ伏す俺の背中に座るメティスとマリア。
このままでは話もできないので「分かったからどいてくれ」と言うとあっさりどいてくれたものの、しっかりと恋人繋ぎをするメティス。
「トゥクン……。俺と離れたくないんだね?」と、相手がメティスでさえなければ勘違いできるんだけどな……。
「いずれにせよゲージMAXは譲れないぞ」
「ズッキーが自○しない以上、一回はゲージをMAXにしないといけないのよね」
「そもそも俺はリザレクションで生き返る訳じゃないんだろ?本当に無駄死になるかもだろ」
「リザレクションで生き返れない訳ではないんですよね?綺麗な状態で亡くなれば良いんですよ」
「発想がこえーんだよ!綺麗な状態で○ねってどんなサイコパスだよ!?そもそもリザレクションは面倒臭いから嫌なんだよ」
「ッハン」と3人から鼻で笑われる。
「言い訳とかじゃなくて!」
まず、リザレクションはブルーストーンという魔術具を使うのでお金がかかる。遺体の損傷が激しいと蘇生する事ができない。それに生き返る時に人によってはごっそり筋力とか精神力とかありとあらゆる力が減少する事になるのでノーリスクとはいかない。分かりやすく言うとレベルダウンが起こるので元に戻すのが面倒臭い。だからノーリスクでどんな状態でも復活ができる俺のチートスキルがチートスキルたる所以な訳で。
ノーリスクだったら一回○ねば良いじゃん?って思うじゃん??うっかりならともかく分かってて○ぬのは俺のSAN値が減るからまったくのノーリスクという訳ではないのだ。
いやいや、運剣の力でイ○ポを治すんだから、いずれにせよゲージをMAXにしなければならないので死んだら死に損になる。危うく騙される(?)ところだった。
「混雑時の市場に行って一気に……」と言うとメティス達3人がなんとも言えない、殺人犯を見るような目を向けてくるので「っていうのは、まぁ冗談としてだな」と続けた。半分冗談で半分本気だ。
「もしかしたら運剣のせいで死人が出るかもしれないのよ?だったらズッキーが死ねって話よね」
「酷すぎじゃね?」
「酷いのはどっちよ?何にも言わなかったら人の多い所に行く気満々なのよ」
「だから感情を読むなと……」
「感情が読めなくてもバレバレでしたよ……」
だって……早くイ○ポを……。
「冗談はさておきですね、ゲージが貯まるまで人がいない所へヒデトさんを放逐するしかないですね」
「放逐……。しゃあない、もう暗いから明日の朝イチで出るぞ」とメティスに声をかけるが、知らん顔して片手が塞がっているのでマリアに「あーん」してもらってツマミをいただいている。
「おい」と手を引っ張ると「まむよ?」とモチャモチャしながら返事をする。お行儀が悪い。
「明日、朝イチで街の外出るぞ」
「ムグムグ。あ、そ。行ってらっしゃい」
「お前も行くんだよ!」
「……why?」
「もし俺が死んだらどうするんだよ!!つか、高確率で多分俺死ぬぞ!?」
「なんて男らしくない事を堂々と言うんですの?」
街の外へ出るという事はモンスターと遭遇するという事で、運を吸い取るなんて呪いのアイテムと一緒にいたら確実に死ぬ。
「チッ」
「あれ?今、舌打ちした?」
「もーしょうがないわね。ズッキーは勝手に生き返る事もできないの?」
「無茶苦茶言ってんじゃねーよ……」
「まったくもう」とご立腹のメティス。
夜に寝る時も離れないように手をしっかり縛っている。近いのは良いんだけどイビキがうるさい。後、酒臭い。ドキドキではなくイライラして眠れなさそうだ。
早朝に街の外へ出てきた俺とメティスとマリア。
放逐ポイントまで手を繋いでいいないといけない俺たちの護衛役としてマリアにだけついてきてもらった。ベリアはお留守番だ。
人が来なければ良い訳で、街からそんなに遠くまで離れるつもりもない。トコトコと3人で歩いているとメティスが突然何かに納得したように頷くと言った。
「やっぱり一回は試すべきよね」
「何をだよ?」
俺から繋いでいた手を離すのと同時に「マリア、やっちゃって」とメティスが言うと、物凄いプレッシャーを感じたと思ったら抜き手の手刀が全力で飛んできた。間一髪の紙一重で交わす事ができた。
交わされた事にマリアは目を見開いて驚いていたが「ヒュー」と口笛を吹いて嗜虐的に口角が上がった。
「ちょーっと待てぇぇぇえぇーー!!」
「なんだよ?苦しまないように一撃で止め刺してやろうとしたのに避けんな」
「問答無用で息の根を止めにくるな!!!」
「よく交わせたじゃねーか?嬉しくなってきちまったぞ」
「殺気がちげーんだよ!絶対来ると思ったわ!!」
「ほー、分かってきたじゃねーか」
マリアにはちょいちょいイジメという名の戦闘指導を受けている。
一気に沸いた殺気は確実に命が奪われると直感した俺は「一撃でトドメを刺したい時は喉を狙え」という教えに救われた。来ると分かっている攻撃であれば流石にね?
マリアは愛弟子?の成長に嬉しくなってしまったらしい。
「顔!その顔怖いから止めろ!!」と言うと更に口角が「ニィィ」と上がった気がしたので「止めてくださいー怖いんですー」と思わず敬語になってしまった。
マリアが初めて♀オークとタイマン貼ってた時よりも嬉しそうだ。
「メティス!お前は急になんなんだよ!!面倒臭くなっちゃったのか!?」
「そういう訳じゃないんだけど、まぁいいわ」
「ほらおいで」と離してしまった手を差し出してくる。
「俺を捕まえてマリアにトドメを刺させるつもりだろ!その手には乗らんぞ!!」
「違うわよ。こうしてる間にもマリアの運は吸っちゃってるから早く」
「ん?今吸われてんのか??」とか言いながら、さっきまでまったく気配がなかったはずなのだが、どこからか沸いてきたモンスターと戦っているマリア。
戦っている最中も足が滑ったり、何処かから石が飛んできたりしているのだが、マリアはものともせずにモンスターと応戦している。
「……マリアは放っておいても大丈夫そうだけどな」
「ハンデにもなってないわね」
仕方がないのでメティスと手を繋ぐ。
「いずれにせよ運ゲージはMAXにしなくちゃいけないんだから俺が死んでも生きても関係ないだろ!」
「そうなんだけど折角素敵な神器があるんだから性能は把握するべきだと思うのよね」
「と、いうと?」
「気付いてない?あのズッキーがマリアの全力の攻撃を交わすとかあり得ないでしょ?」
「あり得ないってほどじゃないだろ?俺だって最近はそこそこ頑張って……(ブツブツ」
「どこの馬の骨とも分からない殴り神官にフルボッコにされたのに?」
「だってあれはさー、殴りだと思ってなかったし、わざとやられにいったみたいなところもあるしさー……」
ていうか財布ごと取り上げておいて馬の骨呼ばわりは酷いな(笑)。
「あーはいはい。運剣のせいでマリアの運が吸われていたから避ける事ができたんだと思わない?」
「まぁ〜一つの可能性として、そういう事も?あるかもしれないかなぁ〜っていうね?」
言われてみれば……、と思ったのは言うまでもない。
「つーか、分析ってメティスの癖にまともな事言ってんじゃねーよ」
ニッコリと笑うメティスがそっと手を離す。
「マリアやっちゃいなさい」
「イエッサー♪」
「てめー!メティス!!!」
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