第71話 リア充は許しますん!


前回のあらすじ とんでも神器フォーチューンソードの対策をしたいヒデトvsただ酒を飲みたいメティスvsメティスと仲良くしたいナルシス


「ナールーシースー!見つけたと思ったら何を騒いでいる!?」と声をかけてきたのはシルバーメイルにロングソードを携えた大きな女だった。うちのマリアよりも大きい。


「自分はヒデシスと言う者だが人違いではないか?二つ名はクソヤロウだ」

「誰がクソヤロウだコノヤロウ」


シルバーメイルの女に振り向きもせず顔を背け気持ち声を高くし、自分が『ナルシス』である事を否定するナルシス。そんなんで誤魔化せないだろ?

だがシルバーメイルの女は「失敬、人違いでした」と一礼して去っていった。そして「そんな訳ないでしょ!!」とすぐ戻ってきた。お手本にしたいほど綺麗なノリツッコミ。

メティスに至っては「お手本にできるくらい綺麗なノリツッコミ!!マリア、参考にしなさい!」等と大絶賛している。


「あんた先にギルドに行くって言ってたのにどこに行ってたの?」

「一生に一度しかない出会いがあったんだ!頼むから見逃してくれ!!」

「はいはい、また振られて泣くんだから私で手を打っときなさいって」

「ち、振られてなどいない!渡りの冒険者は街から街へとゆっくり口説いている時間がないだけだ!!」


重そうなシルバーメイルを着用しているせいで体が大きく見えるが身長はナルシスと同じくらいか?鎧の分だけナルシスよりも大きく見える。つか縦にも横にもデカい気がするが、プリーストのナルシスと違って前衛職な装備をしている訳で、俺が装備したら動けなくなるヤツだ。


「あー、女だらけのパーティなのね」テーブルの面々を見回し、ナルシスがくっついているメティスに向かって「こいつ誰にでも言ってるから気にしないであげてね」と片目を瞑ってみせる。

「ん。こちらとしてはお財布だけ置いていってくれれば付属品はあってもなくても」とメティスもニッコリ返す。


「ハハハッ」と笑うシルバーメイルの女とショボーン(・ω・`)となるナルシス。


「いくら本当の事でももうちょっとオブラートに包んであげようぜ?プギャー」

「だってー『ムキー私のナルシスに何すんのよー!!』みたいになったら悪いじゃない?」

「メティスさん!!……今の『ナルシスは私のものよー』というところをもう一度お願いしてもよろしいですか?」

「なるしすはわたしの……」

「そんな事言ってねーだろ!?しかも『何すんのよー』ってなるのはそっちの人(シルバーメイルの女)でメティスじゃねーよ!!そんでメティス!お前も普通に言おうとしてんじゃねーよ!?」


三人掛りで次から次へと襲いくるボケの波状攻撃。オレでなきゃ捌ききれないね。


「何故貴様が怒るんだ?」

「怒ってる訳じゃねーよ」

「もぉ〜ズッキーったらツンデレ?キモいのよ」

「最後のお前の感想いるか?」

「なんだ?すっかり仲良くなったのか?」

「なってねーから!ほら、お仲間が迎えに来たんだからさっさと帰れよ!」

「ほら、他のパーティに迷惑かけてないで行くよ」


ナルシスの首根っこを掴んで連れて行こうとするが「ちょ、待て!まだ飲んでる!!」と机にしがみついて離れようとしない。


「あちらの女性、さっきサラッと『私で手を打っとけ』って言ってましたよね?」

「言ってたわね」

「ナンダッテー!?」

「聞いてなかったんですか?」

「多分ズッキーの脳みそが理解する事を拒んだのよ」

「随分器用な脳みそをしてるんですのね?」

「実は尻に敷かれた『なんちゃってハーレムナンパ野郎』だったのか!?」

「誰が『なんちゃって』だ!」

「そーなの、こいつってばフットワークは軽いのに肝心な所で押しが弱くって……」

「時間がないだけだ!ゆっくり時間をかければ押し倒すくらい……」

「はいはい、そういうのは一度でも無理矢理押し倒してから……」

「自分は紳士だぞ!?無理矢理なんて……」

「あぁぁあぁぁ!なんだよ!!クソヤロウ(ナルシス)もちょっと満更でもない感じがすっげームカつくんだよ!イチャネチョベッチョリヨロシクしてんじゃねーよ!!」

「イ、イチャネチョ!?」

「ベッチョリヨロシク!?」

「いつもの発作なので気にしなくても大丈夫です」

「いつものただの言いがかりですわね」

「メティス!!こいつらどうなってんだ!?」


メティスは腐っても愛と性の神様の端くれなので、人の下心と言う名の恋心があるのかどうかが分かるらしい。


「まぁ、待ちなさいよズッキー。何でもかんでも知れば良いってもんじゃないわよ。ここはスッタモンダイングリモングリをニヤニヤしながら見守るのが大人の楽しみ方ってもんよ」


「イングリモングリ?」と何の事だか分からないのか呟くシルバーメイルの女を見て「イングリモングリに興味津々じゃねーかよ!?」「え?イングリモングリってそう言う!?」と満更でもなさそうなシルバーメイルの女を見てさらにイライラを募らせる。


「見てるとイラつくんだよ!さっさとくっつくなりして……あぁああぁあ、それが一番ムカつく!!」

「ヒデトさんに落ちる事のない女性な訳ですから別に良いのではないですか?」

「そんな事わかんないじゃん!!」

「わかるわよ」

「なんで言い切れるんだよ!!」

「だって私、一応愛の神様だし」

「何即答してんだよ!?スッタモンダを楽しむんじゃねーのかよ!?」

「……ヒデトさんは誰でも良いんですか……?」

「今はそういう話をしている訳じゃないだろ!」

「何の話をしているんですの?」

「俺以外の男が幸せになるのが許せないって話をしてんだよ!!」


「大丈夫よ。私は知ってるから」

「……クソムシたる所以ですね」

「……みんなで幸せになるって発想がないんですのよね」

「そうか、これがクソムシか」

「ねぇ、この人大丈夫?」


俺に呆れる事により、なんかこのイチャイチャな感じをぶち壊してやったぞ。

作戦通りだから別に悲しくなんてない。本当だよ?

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