絶対に死にますん！

第64話 神＝理不尽ですん！

前回のあらすじ　メティスがヒデトに黙ってエロスと連絡をとっていた

「お前エロスと連絡取れんのかよ！！」

「連絡ってそんな気軽にちょ、あばばば、離して、ちょ」

メティスの細い肩を掴んでガクガクと揺さぶる。

「なぁ！どうなんだよ！！」

「ちょ、っと、離しなさい、よっ！！」

「グフっ！！！！」

メティスが膝で股間を思い切り蹴り上げる。

「オマエ、ヒーヒーフー、ブツリコウゲキ、ヒーヒーフー、デキナイ？」

「厳密に言うと出来ない訳じゃないのよ？特にズッキーにはなんでも出来るわ」

「ナンデモ？ヒーヒーフー、ドウイウコト？ヒーヒーフー」

口から内臓が出てきそうだ。

「別にエロス様と連絡が取れるとかそういうんじゃないのよ？ズッキーにわかりやすくいうとなんだろ？……天啓？ていうのかしらね？」

「人間に…真理を…示す事的…な？天の啓示…とか…そういうの…？」

「はっきりしゃっきり喋りなさいよ？」

「いてーんだよ！！！！う゛〜〜〜〜〜〜〜〜」

大きな声を出すとタマタマに響く。

「お前、物理攻撃、できないんじゃないの？」

「だから出来ない訳じゃないわよ。けどズッキーを叩くのはなんだろ？……自傷行為？」

「お前は俺のなんなんだ？」

神様の設定がいい加減過ぎて辛い。

「っていうかヒールしろよ！」

「何言ってるの？嫌に決まってるじゃない。私に乱暴した罰よ。反省しなさい」

「……」

「昨日ね『最初の街から動いてないみたいだけどどうなってるの？』ってエロス様がおっしゃっててね」

「おっしゃってて？お告げみたいなもんか？昨日のいつ？」

「寝てる時」

「夢でって事？」

「夢って言っても神様だもの。起きたらフォーチューンソードが枕元にあったって事は夢じゃないでしょ」

「ふーん。で？なんて言ったら貰えたの？」

「ズッキーが弱々プーだから今は修行に励んでいるって、嘘偽りなく答えたわよ」

「プー？……いや、それも確かに間違いじゃねーけどさ。そしたらなんて？」

「『どうせ生き返れるんだからサクサク進みなさいよ』って仰ってたわ」

メティスも最初の頃おんなじような事を言っていた。

エロスのモノマネをする時ちょっとだけ良い顔で言うのなんなんだ？ただでさえ似ているメティスがエロスの真似をするとマジでそっくりになる。

まぁ分身な訳なんだが。

「そうじゃなくてさ……、まぁいいや。とりあえず聞こうか」

「だからズッキーが日頃から言ってるじゃない？『いや俺だってチート能力があればすぐ行くよ？けどないからしゃあないじゃん？まじ残念だわー』って」

「全然似てねぇし。そんでなんで俺のモノマネする時はそんなクシャッとした顔するの？もっとイケメンだし俺」

「はいはいイケメソイケメソ。ズッキーがそんな言い訳をして先へ進もうとしないってお伝えしたら…」

「待て待てーい！いや間違っちゃいないけどさ？確かにそんな事言ってるけどさ、それそのまま言うか？もっとこう俺を庇う為にっていうかさ？」

「そもそも私がエロス様に嘘付ける訳ないじゃない」

メティスはエロスの分身である。

「それでエロス様が『チート武器かー。じゃこれ使ってみ』って頂いたのがこれ」

「軽っ！？神様、戦争が起きるくらいのチート武器の貸与に躊躇無さすぎじゃね？」

「ん？」って顔をするメティス。

「いや確かにこれはチート武器なのかもしれないけどさ。どうせだったら呪い（イ○ポ）のせいでモチベがあがんないからそっちをなんとかしてくれよ？」

「知らないわよそんなの。自分で言いなさいよ」

「俺んとこに来れば自分で言うわ！治してくれなかったら戦争だわ！！」

「んまー恐れ多い。誰に向かって宣戦布告していると思っているの？」

「絶対近くにたまたまあったから『あ、これで良いや』って、こんな戦争の火種にしかならないようなチート武器寄越したろ？これじゃあ売って金に換金する事もできやしねぇ」

「ねぇズッキー？いい加減にしないと天罰が下るわよ？」

「今以上（主にイ○ポ）の天罰が下るの？神様はヤ○ザか何かの化身なの？神＝理不尽なの？」

イ○ポ。これ以上の地獄がこの世にあるのなら教えて欲しい。※一杯あります

「神は時に理不尽とも思える試練を与えるの。けどね、超えられない試練は決してお与えにならないの。分かる？」

「そもそも俺はエロス教徒でもなんでもないから試される謂れがないと思うんだけどな。そこんとこメティスから言ってくれれば良いじゃん？」

「多分よ？ズッキー勘違いしていると思うんだけど、私がエロス様に何か意見するなんて恐れ多くてできないわよ？」

「してんじゃん？チート持たせてやろうって言ったんだろ？」

「端折って言ってるからそういう風に聞こえたかもしれないけど、私はただエロス様がおっしゃっていた事にお答えしただけよ？」

「だったら尚の事言ってくれよ？この呪いのせいでやる気でねーよって」

「だから聞かれた事に答えてるだけなんだってば。ズッキーのシモ事情なんて聞かれる訳ないし、こっちから『鈴木秀人のシモが下を向いているせいでやる気も人間性も品性も運も何もかも下向いてしまっていて、そろそろ名前をシモじろうに改名しようか悩んでいます』なんて言わないでしょ？」

「なんでお前ちょっと上手い事言ったみたいな顔してんだよ？全然上手くないし、し○じろうだろ？なんで『しもしもしものシモじろう』ってシモばっかかよ！？」

メティスは親指を立て「うんうん」と頷いている

「何に感心してんだよ！？前を向かせてやろうって言えば良いじゃねーかよ！？」

「知らないわよ。何を前に向かせようとしてるのよ？自分の事なんだから自分でなんとかしなさいよ」

日本人はすぐ管理責任だの言って他人に自分の事をなんとかさせようとする。自分の事は自分でなんとかしなくてはならない。

正論パンチを喰らって「むぐぐ、メティスの癖に生意気な」と悪態を吐くくらいしかできない。

「もっとフランクな関係なのかと思ってた」

「ないない。恐れ多い」

「自分の分身をお供に付けるとかなんとか言ってたんだぞ？分身ったらあれだろ？……なんだろ？あれだよな？」

「例えばピッコ○大魔王が死ぬ間際自分の分身の入った卵を飛ばしたでしょ？あんな感じよ。創造主様なのよ。私如きが恐れ多い」

やっぱりそんな感じだったのか。（第14話　呪いすん！参照）

「けどさ、呪いのせいでモチベがあがんねーってのも本当だぞ？」

「まだその話引っ張るの？どんだけ勃○したいのよ？」

「あれが勃てばやる気も奮い勃つかもしれないだろ？」

「ドヤ顔してるけど何一つうまい事言えてないわよ？ベリアが聞いたらちょっと喜びそうだけど」

「確かにな」とベリアが喜ぶってところには同意しておく。

メティスが何か嫌疑的な視線を向けてくる。

「なんだよ？」

「この世界の成人が15歳からだからって色街行ってハッソゥしたいだけでしょ？そっちのやる気を奮い勃たされてもねぇ」

「違うよ？ハッソゥしたいとか（笑）何言ってんだよ(笑)(笑)(笑)大前提全然違うけど、絶対にそんな事はない根も歯もない言いがかりだけど、仮にハッソゥしたいだけだったとして何か悪いのか？通りすがりの人を襲うって言うのなら咎められるかもしれないけどちゃんとお金を払って同意の上でいんぐりもんぐりする訳であって誰にもそれこそエロスにだって文句言われる筋合いはなくね？違うぞ？色街でハッソゥできない事に憤っている訳ではなくて、俺の自由を奪われている事に対しての憤っているんだからな？これで仲間に手を出す為とかさそういう事をするような奴って言うのなら分かるよ？けどそれこそお前は俺の考えている事が分かる訳でしょ？だったらそういう事をしない奴だって理解してる訳だよな？だからと言って『仲間を女として見れないから』とか言ってる訳じゃないぞ？そりゃ俺だってマリアと結婚して愛人としてベリアを囲ってメティスをハウスメイドとして雇って全員と肉体関係があるハーレムな生活を送るのだって吝かではないぞ？けどあくまでも本人たちの同意があってのものであってだな何も無理矢理手籠にしてやろうって訳じゃないんだからね？だったら俺がどこで何しようがお前に関係ないじゃん？それこそお前俺のなんなん？彼女気取りかよ？さっきも言ったけどお前を彼女になんて前にも後にもごめん被りたいでござる」

「すんっっっごい早口で何を言っているかいまいち分からないけど、願望がダダ漏れになってるわよ？あと、語尾が『ござる』になってるけど大丈夫？」

「いつも通りでござるよー。メティスどのには困ったもんでござるなー」

「……別に良いけど」

願望じゃなくて夢だし。

「その天啓ってのは俺にも来ることあるのか？」

「ズッキーに用事があればくるんじゃないの」

進捗状況なんて直接俺に聞けば良いのに。照れ屋なの？

「くっそー、やっぱ御神体があるところ行かないとダメか」

「一応言っておくけど御神体があるところに行ったとしても、必ずしもエロス様に声が届く訳じゃないわよ？」

「そうなの？メティスも？」

「私は届くわよ。……届くわよね？」

「なんでちょっと不安になってんだよ？しっかりしてくれよ？」

「ちょっと待ちなさいよ？なんで私からズッキーのシモ事情のお伺いを立てさせようとしてるの？」

「お前なんの為に俺と一緒に旅してんだよ！？」

「魔王討伐」

「最初の街から動けてないのに？」

「少なくともズッキーのシモをなんとかする為ではないわね」

「良いじゃん、言ってくれよ〜。なんだよ聞かれた事にしか答えれないのかよ？」

「別に答えられない訳じゃないけど恐れ多いって言ってるの」

「創造主様には意見をする事も憚れるってか？」

「そうよ。そんな雑事エロス様の耳に入れるのも憚られるわ」

「そこは憚ってくれよ……」

「意見をするのも憚れる」っていう感覚は俺には分からないけど、ここまで頑なに言い張るという事はメティスの中では譲れないところなのだろう。ハラスメントになってしまうので無理強いはできない。

「俺がエロスと話せる確率何％くらい？」

「5パーあれば良い方じゃない？」

「消費税だって10％なのに5％ってなんだよ？もうちょっとなんとかならなかったのか？」

「知らないわよ、ズッキーは信心が足りないのよ」

「信心ってエロスに祈るの？エロス教徒でもないのに？？」

「そりゃいきなりイ○ポにされれば怒るのも分からないでもないけどさ、そんな態度じゃ一生許されないわよ？」

「怒るのが分かるんだったら言ってくれったって良いじゃん！？ていうか『許されない』ってなんだよ？俺はエロスになんもやってないぞ？？」

「やる」と言質さえ取れれば「お前俺に嘘吐くの？神様でしたよね？吐いた唾飲むんですか？」とかいってエロスと無理矢理交渉させるのに。

あ、ハラスメントする気満々じゃん？ま、メティスだし良いか。

「おい貴様！さっきからエロス様に敬称も付けずに悪態をつくはなんのつもりだ！！」

エロスをDisるっていうよりも、メティスを詰めていただけなのだが神官服の男にいきなり大声で怒られた。