第6話 やっぱり絵になる姿っていうのはお得なんだな……

キーンコーンカーンコーン……


 ふぅー、やっと授業終わったわ。寝過ぎて頭痛てぇな……

とりあえずTSして良かったと思ったことは教師陣から俺は美少女に見えるので寝ててもあまり強く怒られないことだな、これはとても良い要素。どうも担任の野郎は見た目に関係なく拳骨飛んでくるみたいだけどな、原因はだいたい俺にあるから文句言えた筋ではないが……因みに仙石はボコボコに怒られてる、男だから。


「お前がTSしたせいで分散されてた授業態度への注意が俺に1人に向いてるんだが?」

「俺の分も怒られてくれるなんて仙石は優しいな!」

「お前が授業態度改善すれば俺も動きやすくなるんだよなぁ……真面目に授業を受けないか俺に授業中遊ばせてくれ?」

「お前が遊ぶ為に俺が頑張るのは納得いかねぇよ、死なば諸共だ。ばーか」


 なんて駄弁ってると仙石があ、そういえばとか言いながらルーズリーフを取り出す。無地のヤツだから多分お絵描き用だな、なんだ?


「そういや、お前のTS後の姿、写真でも鏡でも見れねぇんだろ?だったら絵ならどうかなって思ってだな。描いたんだが……見るか?」

「マジ?見るわ。お前最高の友達だな!」


 仙石の癖にちょっと気にしてたらしい。仙石の癖に、

 少し見直した、仙石は良い奴かもしれない。有難く見させていただこう。


「って、お前なぁ!?なんで!?全裸はともかくなんで幼女なんだよお前には俺がこう見えてるのか!?」

「いや、16歳のお前を描こうとしたら蕁麻疹が出てきたから幼少期のお前ロリにした、それだけだ。あと大声で全裸とか幼女とか叫んでると犯罪者予備軍みたいだぞ?良かったな。女の子な見た目のおかげで通報はされてないぞ。数人スマホを取り出して電話しようとしてるけど」

「てめぇっ……!つーかお前らァ!動くなぁ!!!いや動かないでくださいっ!!!!!通報だけは勘弁をぉー!!!」


 クラスメイト達の通報を何とか止めていると、仙石は笑いながら帰る準備をしていた。お前のせいでこうなってるんだよな?分かってる?分かってないよな、だってコイツ馬鹿だし。

 慌てて俺も帰る準備をすると先に出ていった仙石を追いかける。少しは待ってくれよ……


「遅かったね、なんかあった?」

「お前なぁ……はぁ……まぁいいやお前そういう奴だもんな。帰りに幸楽苑安くてちょっと美味いラーメン屋のギョーザセット奢れや」

「あー?俺今日くさび豚骨が美味いラーメン屋の気分なんだが……」

「そっちでもいいけどよ……」

「ほいほい、じゃあくさび、行きますかぁ」


 とりあえずラーメンでも食って落ち着くことにしよう。


……………………


 さて、我らがくさびに着いた訳だが、何にするかなぁ……店員のおじさんに学生証を提示して学割のネギチャーシュー飯を頼みつつしばし考える。うーん今日の気分は……炊き出し豚骨醤油毎度頼むヤツだな!


「お前いっつもそれだよな。」

「しゃーないやん。なんか冒険するのやじゃん?旨いと分かってるのに落ち着くわけよ。」

「わからなくもないが。」


 おじさんに脂多め麺硬め味濃いめと伝えつつチキった事を非難する仙石を軽く小突く。仙石も炊き出し豚骨醤油なのでお前もチキってると思うのだが?なんなら学割も麺増量に使ってるしめちゃくちゃ守りの姿勢じゃんかよ。


「そういえば絵で俺の姿を確認する話ってどうすんだ?ロリ以外をお前は描けんのか?」

「無理だが?とりあえずTwitterの知り合いで絵上手いヤツにお前の写真からリアルよりの絵柄で描いてもらうのはどうだ?」

「それは良さみだな。やって貰えると有難い。」


 やっぱ絵上手いヤツには絵上手い知り合いが居て良いよなぁ……拡散力の相乗効果でバズりやすそうだしな?因みに俺はたまに描く絵が20いいね行くか行かないかくらいの拡散力なので雑魚絵師だ。神絵師になりてぇ〜〜〜!

 それはさておき、くだらなく話していると豚骨醤油とネギチャーシュー飯が目の前に置かれた。縮れ細麺に豚骨の良い香り。そして沢山浮く背脂に蕩けるチャーシュー。相変わらず美味そうだな。脂を吸った海苔を食い、玉子の黄身を白身の器の中でスープと混ぜて食い、麺を啜る。やっぱらーめん食ってる時が1番生を実感する。全人類らーめんさえ食ってればQOL生活の質は爆上がりなので、困ったららーめん食おうぜの気持ちになる。やっぱらーめんっしょ!

 爆速で麺を食い終わるとネギチャーシュー飯に豚骨スープをかけつつレンゲでパクつく。やっぱこれうめぇわ。世界平和って感じ。


「「ごちそーさまでした」」


 俺らはほとんど同時に食い終わった。俺は仙石に会計を任せて外に出る。今日は仙石の奢りだしな。もちろん外に出る時に店員に美味しかったですってのとご馳走様と伝えるのは忘れない。俺のマナーみたいなもんだ。


「んじゃ、また明日な〜」

「おうともよ。とりあえず絵の件上手く行きそうだったら連絡するわ」

「感謝します」


 そして俺と仙石はそれぞれ別の電車に乗り込むのであった。

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