第5話 やっぱり持つべきものは悪友なんだよなぁ?

ガラガラッ!


 俺は何時ものように(なるべく)普通の顔をして教室へ入り、自分の席に鞄を置くと仙石バカの元に向かう。めっちゃ平常心みたいな顔しながら向かってるけど、クラスの視線を全力で集めてる感覚が凄い。

そりゃ遅刻してきた奴が堂々と入ってきたら皆見るよな普通、俺はもちろんガン見する。その上ソイツが見たことない奴だったら尚更だよなぁ……。はぁ……俺は忍者みたいなモン陰の者なので注目されるのに慣れてはないし、されたくもねぇのになぁ……お、相変わらず仙石は机に突っ伏して話しかけるなって感じのオーラ陰キャオーラ出してるな……


「よォ仙石〜聞いてくれよ〜」

「あー?誰っすか、女の子の知り合いなんて俺には居ませんが??」

「俺だよ俺、さっきLINEしたろ?杏弥さんですよ分かるだろ?」

「え?LINE?あー?うん?」

「だから、TS女の子化したって言ったろ?見てなかったっけ?授業真面目に受けてたん?

「いや、既読着いてたろ?見てはいるんだが????」

「そんな所で誇るんじゃあねぇよ。真面目に授業受けろや」

「つーか、マジ?お前マジ?杏弥なん?」

「マジ過ぎて魔法戦隊マジレンジャーって感じだが?」

「マジかよ、ウケるな傑作だろ妄想かと思ったのによォ?」

妄想癖拗らせてないからな俺は。」

「つーかお前なんでそんなに堂々と入ってきたん?国連でも脱退我が代表堂々と退場すした並じゃん。お前のせいでクラスの視線が此処にバチバチに集まってるぞ?」


 お前とは違うって強調したのに華麗にスルーされたの微妙に納得いかないな……

それは兎も角、確かに滅茶苦茶視線集めてるしもうそろそろしたら陽キャグループ辺りが弄りに来そうな匂いがする。いやもう薄ら笑いでこっち向かってね……?クラスメイトが突然TSしたら少しは怯むだろ!?早すぎる……ッ!


「ヘイ彼女ぉ〜可愛いねぇ?どこ住み?つーか誰?」

「杏弥のアホがTSした姿らしいっスよw笑えるwww」

「顔は良いから逆にイイかもしれん……LINE交換しね?」


 うーんこれは面倒そうだ。仙石に助け舟を……あ、アイツぅ!?もう知らん顔して絵を描いてやがるッ!?クソ上手いけど俺を助けろよぉ!?


「あっ……えっ……う……、えっと……」


 ……突然話しかけられてコミュ障カオナシが発動した。うん?野郎に話しかけられた時はもっとまともに話せる筈なのになぜ?前まで女子に話かけられた時になるヤツだったのに????つーかモジモジすんな俺ッ!!!!キツすぎるだろ!?この姿男子高校生が顔を少し赤くしながらモジモジする姿


「あっ……いや……なんかすまんな……思ったよりもなんか可愛いくて罪悪感が……」

「なんか笑えないッスね……女の子虐めてるみたいな構図じゃないっスか……」

「トゥンク……」


 結果オーラィ……?いやなんか1人反応がおかしい、目がハートになってないか????ふぅ……落ち着いたらしい、やっと声が出そうだ。


「いや、俺は……男だが……?」

「無理でしょ」「その姿で男は無理があるッスよ」「自分のこと認められないの好き……」


うーん、間髪入れない否定の嵐!w

つーか最後のヤツ大丈夫か?腐ってない?


「騙されちゃいけませんよ。ソイツ中身は完全に杏弥なんで女の子として扱って恋にでも落ちてしまったらホモですよ?」


 やっと仙石アホが顔上げて会話に混ざってくる。は???俺は男なので恋に堕ちないが????


「まぁ、それもそうだな……」

「そうッスね……」

「なんだァ?テメェ……?」


 仙石のバカ!最後のヤツ『男とTS少女の恋愛はホモじゃん』理論にキレて愚地独歩になってるやん!


「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて実は俺、精神的には全く変わってないから仙石の言うことに一理はあるっちゃある。まぁ恋に落ちるわけが無いがなガハハ」

「そうなんか……まぁ、その大変だな。」

「応援するッスよ!なんかあったら頼ってくれてもいいッスよ!」

「……」(いい笑顔でサムズアップ)


 じゃあまた、みたいな雰囲気で陽キャグループは日常に戻っていく。俺の日常は戻ってこないがな……つか最後のヤツ陽キャの癖に完全にTSのめんどくさいヲタクじゃん。人は見た目に依らんのよな……


「つーか最初お前、俺を見捨ててなかったか???」

「見捨ててねーよ」

「目を逸らしながら言うなや、人の目を見て話しましょうって小学校で習っただろ。」

「健康優良不良少年だったから小学行ってねぇわ」

「お前なぁ……」


 キーンコーンカーンコーン


っと授業始まる鐘がなってるし席に戻らんとな。見捨てたと思うのであとでなんか奢らせよっと……

 さて、俺は授業を真面目に受ける惰眠を貪るとするかな。



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