第4話 此処を絶対防衛ラインとする

病院の帰り、親父は仕事に向かい俺はお袋と共に家に帰って学校に行く支度をすることになったのだが……


「絶対に着ねぇよ!なんでなんて、つけなきゃいけねぇんだよ!?」

「そんなこと言っても流石にノーブラで学校に行くのは問題よ?杏ちゃんは女の子になっちゃったんだからある程度の妥協は必要なの。」


世間的に見ればノーブラの美少女はまずいかもしれないけど、俺から見れば鏡に映るブラジャーをつけた男子高校生世間的には変態と呼ばれる姿の方が精神的にとても苦痛なんだ。分かってほしい。


「とりあえずサイズだけでも測っておきましょう?ね?何かあった時に困るわよ。」

「わざわざ測りに行く必要はありませんよ……?アンズちゃんのスリーサイズはもう既に計測済みです……!」


いつの間にか佐藤先生が現れてドヤ顔している。


「さっき二人きりの時、理由なくセクハラしていたわけではありませんよ……?ちゃんとこれからを見据えて行動してましたとも……」


助かるといえば助かるが、あのセクハラはどう考えても趣味も兼ねているだろ……目がマジだったもん。ジト目で佐藤先生を見つめていると視線に気づいたようでほんの少しだけ気まずそうに咳払いするとお袋にメモ紙を手渡した。


「あとアンズちゃんの精神的なケアも必要ですしね……?アンズちゃんがブラジャーを付けるの嫌ならばサラシを巻くってのはどうでしょうか……?それなら抵抗感も少ないと思いますよ……」

「あらあら、何から何までありがとうございます。」

「いえいえ……患者さんの為ならこのくらい普通のことですよ……(ボソッ)むしろ役得というか……こんなただでさえ美少年風に可愛かったのに今度は美少女的に可愛くなって来るなんて……」


なんかボソボソ呟いてるけど佐藤先生が変なのはいつもの事なのでお礼を言って帰ろう。また1ヶ月後に来るんだしな。


…………

というわけでサラシを巻いて学ランを着直して学校に向かう。一応学校にはTSしたという連絡は入ってるらしく大きな混乱もなく職員室で担任に迎えられた。


「本当に女の子になってるなぁ。流石のオレも教員人生で初めてだぞ。こんな事。」

「そりゃそうでしょうよ。病院でも珍しい症例って言われましたし。」

「でもこれでお前も多少は大人しくなるな。その見た目で問題児な訳ないもんな!」

「あっはっはっ!俺は俺っすよ。なんも変わってないっすね!今まで通り楽しくやらせてもらいますわ!」

「「HAHAHAHA!」」

「あ、一限目のオレの授業で課題の提出あったが今出して行くよな?」

「TSしたりでゴタゴタしてたので課題やってないです!時間なのでもう行きますね!失礼します!」

「あっ、まて!」

キーンコーンカーンコーン♪


ちょうど終業の鐘がなったので教室に逃げることにした。実際課題は学校についてから朝やる予定だったし無問題モーマンタイなんだよな。そんなことを思いながら教室に向かう。さて、教室に入った時のみんなの反応が少し怖いし目立たないように入れねぇかな。

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