第3話 それでもやっぱり日常は続く……よな?

「申し訳ないです。よく叩き聞かせますので……」


 3度目のナースコールで慌てて来てくれた看護師の沙友理さんが佐藤先生へんたいを鉄拳制裁しながら謝罪してくれた。


「いや……そんなにボコボコにしなくても大丈夫ですよ……?」

 沙友理さんはあけぼの病院の看護師でめっちゃ美人で優しい白衣の天使なのだが、あけぼの病院の実質的ボスとして君臨するスゴい人なのだ。

 そもそも院長兼経営者の佐藤先生がダメ人間なので病院の経営や管理を沙友理さんが行っている上に面白そうという理由で機材の導入を決めたり勝手に診療科を増やしてみたりする佐藤先生をある程度まともに働かせることの出来る唯一の人でもある。


「とりあえずご両親をお呼びして診断結果をお伝えするので杏弥くんは先に待合室で待っててくださいね」


 俺は言われたとおり待合室のわりとふかふかの椅子に腰掛けると暇つぶしにスマホを取り出した。

 ポンッ

『今日どうした?突然休むなんてお前らしくないな』


 丁度来た通知を見ると悪友の仙石 寿咲せんごく すざくからのLINEだ。


『ちょっとした緊急事態でな〜』

 ポンッ

『それはそれは……5とかか?羨ましいな代われよ』


 寿咲は顔はまぁまぁ良いのだが……この通りロリコンで妄想癖を持つのでクラスではとても残念な立ち位置に居る。あと今は一応授業中の筈だがなんでLINEしてるんだ?授業に集中しろ。

『違うが?これを見てどう思う?』


 思いついたことがあったので先程撮影した自撮りを送信してみる。前情報なしで回線を通してならば、もしかすると俺を男と認識できるのでは……と。

 ポンッ

『まぁまぁ あと少なくとも4才若かったら惚れてたかもしれん』

『これがどうしたんだ?』


 チッ……ダメか……

『実はこれが俺が休んだ理由なんだよな』

 ポンッ

『は?お前にカノジョなんて居るわけないし認めないが?』

『あのなぁ……飛躍しすぎだぞ、朝起きたらこうなってたんだよ』

 ポンッ

『TS妄想は創作の中だけにしような????』

『だからマジなんだって、因みに俺の認識は何故か変わってないからまだちん〇んがあると自信を持って言える』

 ポンッ

『は????』

『お前……大丈夫か……?お大事にだぞ……?』

明らかに頭がおかしくなってると思われたっぽい。仕方ないのでTwitterでも見てるかな……


だいたい10分後、佐藤先生と親が戻ってきた。TSに効く薬等は恐らくないので今回はもう帰っていいよとの事。元気そうだし学校は行っても大丈夫と言われて少し残念な気持ちになるのであった。

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