第16話 掴みかけていたのに

今日はバイトは休み。


既読にならない

大滝さんのLINE画面


モヤモヤしたが

どうする事も出来なかった。


不安な気持ちが胸を過ぎる。


次の日の朝

大滝さんからの返事は無かったが

私が送ったメッセージには

既読がついていた。


いつも通り18時からのバイトに行くと

大滝さんはいた。

笑って挨拶を交わしたが

どことなく何かいつもと違う様な気がした。


閉店後締め作業が終わると

「今日はちょっと

やらなきゃいけない仕事残ってるので

本田さん先上がっていいですよ。」

と大滝さんが言っていた。


その後、本田さんが

「大津さん、帰り歩き?

夜遅いし送ってくよ」

と声をかけてくれた。


「夜危ないからそうしな

本田さん、

大津さんよろしくお願いしまーす」


と大滝さんが合わせてきたので

強制的に帰らされてしまった。


しかたなく

本田さんと店を出た。


10歩ほど歩くと

「よかったら

これからご飯どう?」

と本田さんは誘ってくれた。


お腹も空いていたし

大滝さんの「本田さんよろしくー…」

にも少しイラとしていたので

誘いを受ける事にした。


23時も過ぎていたので

夜中も空いてるファミレスへ行った。


席へ座りメニューを見る。

久しぶりに来ると

やはりワクワクするものだ。


何にしようかと迷っていると

まずドリンクバーを頼もうよと

本田さんがさっとオーダーしてくれた。


「俺も迷ってなかなか

決められないんだよね」


と最初は一緒にメニューを見ながら

悩んでいたが

雑談が広がって

ドリンクバーで1時間ほど経っていた。


「あっ、まだ頼めてない!」笑

なんて2人で笑って

深夜1時近くにやっとハンバーグと

チゲうどんを頼んだ。


本田さんは本当に話しやすい。

今流行りの塩顔で童顔かもしれない。

年齢は大滝さんよりも2つ年上で

驚いたほどだ。


(絶対大滝さんの方が

5歳くらい上に見える…)


ゲームやアニメなんかも好きらしく

話をしていても

歳の離れた人という感じがしない。


おそらく自分のタイプじゃないって

事も大きいのかもしれない。


出会ってすぐくらいから

イケメンですね〜なんて

その場のノリで言ってしまえるほどだ。


大滝さんみたいに

ちょっと肩幅があって守ってくれる感じや

大人びた雰囲気はすごく

ドキドキするのにな…

無邪気なとこも好きだけど…


なんて

ふとすると

大滝さんの事が頭を過ぎる。


私がチゲうどんを食べ終わると

本田さんはまだハンバーグを食べていた。


あれ、瞼落ちかけてる。

大丈夫かな…


「大丈夫ですか?眠いですよね」


話し過ぎてしまった。

本田さん仕事慣れたとはいえ

朝も早いし疲れてるよね…


「大丈夫だよー」


と言ってハンバーグをゆっくり噛んでいる


本田さんってめっちゃ食べるのゆっくり。

あれ、でもやっぱり眠そう。


なんだかんだそれから

30分くらいかけて完食した。


加えていうなら

本田さんって、少し不思議なんだよな。


眠そうだったが

さっき外の風を浴びて目が冷めたよ

うちもすぐ近くだから大丈夫!

と言って家まで車で送ってくれた。


自分の事は棚に置きながら

本田さんが明日寝坊しないか

心配になった。


家に帰って

スマホを開く。


メッセージは来ていないが

大滝さんのLINE画面を見る。


私も眠気で気が緩くなっていたのもあり


〝会いたいです〟


と大滝さんにLINEを送って

そのまま眠りについてしまった。



スマホアラーム音で目を覚ますと

大滝さんからのLINEがきていた。


〝今日仕事終わり話そう〟


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